原爆の悲惨さ映画で 「ひろしま」浜松で7日から上映 

 1945年8月6日の原爆投下直後の悲惨さや、被爆者の苦しみを生々しく描いた映画「ひろしま」(53年制作、モノクロ、関川秀雄監督)のデジタルリマスター版が7日から、浜松市中区の「浜松市民映画館 シネマイーラ」で県内初上映される。新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境が続く同館だが、榎本雅之館主(67)は「戦後75周年の節目。映画に関わる一人として、映像を通じて戦争や原爆の恐ろしさを次の世代に受け継ぎたい」と語る。

戦争の恐ろしさを次の世代に受け継ごうと映画を上映する榎本雅之館主=7月31日、浜松市中区の「浜松市民映画館 シネマイーラ」
戦争の恐ろしさを次の世代に受け継ごうと映画を上映する榎本雅之館主=7月31日、浜松市中区の「浜松市民映画館 シネマイーラ」
映画「ひろしま」のワンシーン(奇跡への情熱プロジェクト提供)
映画「ひろしま」のワンシーン(奇跡への情熱プロジェクト提供)
戦争の恐ろしさを次の世代に受け継ごうと映画を上映する榎本雅之館主=7月31日、浜松市中区の「浜松市民映画館 シネマイーラ」
映画「ひろしま」のワンシーン(奇跡への情熱プロジェクト提供)

 映画は広島で被爆した少年少女らの手記集「原爆の子」(長田新編)が原作で、日本教職員組合が中心となって制作した。物語は終戦から数年後の広島を舞台に、原爆の影響で白血病を発症し、病床に伏せる女子高生の回想から当時の惨状を克明に映し出した。戦後も原爆に人生を左右された人々の苦悩と葛藤を104分にわたって描いている。
 広島市出身の月丘夢路さん(1922~2017年)が主演を務め、当時の市民約9万人がエキストラとして出演した。だが、過激な表現となった一部シーンの削除を巡り、大手配給会社と制作側が対立。完成時は自主上映を余儀なくされたという。
 長らく日の目を見なかった同作だが、制作関係者の孫に当たる小林開さん(47)=東京都=が代表を務める「奇跡への情熱プロジェクト」が中心となり、デジタル化に取り組んだ。
 シネマイーラでは20日までに、終戦75周年企画として同作のほかに、「野火」(市川崑監督)や「おかあさんの被爆ピアノ」(五藤利弘監督)などを上映する。榎本館主は「戦争を直接知る世代が減る中で、その記憶は決して風化させてはいけない。地域のミニシアターができることを続けたい」と声に力を込める。
 問い合わせは同館<電053(489)5539>へ。

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