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交通事故で負った怪我は、通院を続けても完全に元通りになるとは限りません。見かけ上の傷はなくても、うまく身体が動かなくなってしまうといった後遺障害も存在します。
その場合、医師から可動域制限といった単語を聞くことになるかもしれません。日常生活では触れることのない単語ですが、実は後遺障害の認定には非常に重要な単語なのです。
本稿では、可動域制限とはなんなのか、更に後遺障害の認定や慰謝料にどのような影響があるのかについて解説していきます。
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目次
可動域制限とは簡単に言うと、ケガをした関節が障害のない正常な関節に比べて曲がりにくくなっている状態のことです。
関節の可動域が制限される後遺障害は、痛みや痺れといった神経症状と同様、後遺障害として多数認定例があります。
この関節の動かせる本来の範囲、つまり可動域がどれだけ制限されてしまったかについては検査の測定値によって表します。この測定値から後遺障害等級に該当するのかが判定されることになります。
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では、この可動域制限はどのようなときに起こりやすいでしょうか。事故によって骨折や脱臼、もしくは神経が麻痺するようなケガの場合に、可動域制限の症状がよくあらわれます。
また、人工関節の挿入施術を受けたときにも可動域制限がみられます。
しかし、事故による後遺障害として認定をされるには、後遺障害の原因部分を医学的に確認できることが前提とされます。
つまりエックス線写真やMRI画像、検査などでその損傷を明らかにできないといけません。
可動域制限が起こる主な原因は以下の3つに分類されます。
可動域制限がある=後遺障害等級に認定とはなりません。可動域制限と一口に言っても、その程度は人それぞれだからです。
一般的に後遺障害として認められるレベルには以下の3つがあります。
どのレベルに該当するのかは、医師等の第三者が関節を動かし(他動運動といいます。)、その角度の測定値から判別します。
では、それぞれの程度と状態について確認してみましょう。
関節の「用を廃したもの」とは、関節が全く動かせないか、もしくは関節の可動域が通常の10%以下まで制限されている状態をいいます。
この状態は、関節内の筋組織が壊死した関節強直や、筋肉に関連した末梢神経の機能不全による完全弛緩性麻痺などによって引き起こされます。
また、人工関節等を挿入した関節であれば、健側(障害のない側)に比べて患側(障害のある側)の可動域が2分の1以下(健側が100度であれば、患側は40度など)に制限されている状態を指します。
「著しい機能障害」は、「用を廃した」場合よりも、多少関節の動かせる範囲が広い状態を指します。
具体的には、患側(障害のある側)の関節が、健側(障害のない側)に比べて、可動域が2分の1以下に制限されている状態を指します。
また、人工関節等を挿入した場合にも同じく、可動範囲を広げて定義されています。
人工関節挿入では、健側に比べて患側の可動域の制限が2分の1まで(健側が100度であれば、患側は60度など)になっている状態とされています。
「機能障害」として認められるには、患側(障害のある側)の関節の可動域が、健側(障害のない側)に比べて、可動域が2分の1以上4分の3以下に制限されていることが必要です。
前述の「用を廃したもの」や「著しい機能障害」と比べると、かなり動くイメージがあるかもしれませんが、等級認定の対象となる後遺障害です。
可動域の制限状態を確認する他動検査では、角度のちょっとした違いが後遺障害の認定に大きく影響します。
無理に曲げられてしまうケースもあるので、正確な検査を受けるようにしましょう。
前述のとおり、可動域制限の程度は後遺障害の等級に大きく作用します。
では、実際に、後遺障害の内容に対する後遺障害等級とその慰謝料額を部位別に見ていきましょう。
等級が1つ変わると慰謝料額は大きく増減します。適切な等級を獲得するには関節の状態が「用を廃した」状態なのか、「著しい機能障害」なのか、「機能障害」のレベルなのか正確な判定が非常に重要であることが、下表から見てとれるでしょう。
等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料 (弁護士基準) |
---|---|---|
1級4号 | 両上肢の用を全廃したもの | 2800万円 |
5級6号 | 1上肢の用を全廃したもの | 1400万円 |
6級6号 | 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの | 1180万円 |
8級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 830万円 |
10級10号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 550万円 |
12級6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの | 290万円 |
等級 | 後遺障害の内容 | 後遺障害慰謝料 (弁護士基準) |
---|---|---|
1級6号 | 両下肢の用を全廃したもの | 2800万円 |
5級7号 | 1下肢の用を全廃したもの | 1400万円 |
6級7号 | 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの | 1180万円 |
8級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの | 830万円 |
10級11号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの | 550万円 |
12級7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの | 290万円 |
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【事案概要】
信号機のないT字路交差点を左折した被告車両が、横断歩道上にいた原告自転車に衝突。原告は約9カ月の通院後、症状固定となり、左上肢の疼痛、可動域制限、筋力低下等の反射性交感神経性萎縮症(RSD)に伴う「神経系統の機能障害」として、自賠責等級第7級第4号として認定された。
しかし、原告は左上肢の機能に関する障害として第5級6号を主張。
被告は原告の脱臼歴が本件後遺障害に寄与しているとし、RSDの後遺障害が生じていると断定できないとして主張。
【判決】
RSD診断の不十分性について、原告通院先の医師より意見を求め、RSDの後遺障害が存在すると認定。
また、当初の後遺障害診断書では、肩・肘・手(全指)についての検査値のみであったが、新たに手関節についての検査も踏まえた後遺障害診断書を用意した。
その結果、左上肢については「一上肢の用を全廃したもの」に該当するとされ、自賠責等級第5級第6号に認定された。
(甲府地方裁判所判決平成17年6月24日)
可動域制限を伴う後遺障害の認定は非常に専門性が高い内容になります。加えて、医師との連携も必要になりますが、医師が交通事故対応や自賠責の認定基準に詳しいことは非常にまれです。
医師の協力を仰ぎ、適切な検査・診断書を受けるには専門家である弁護士の介入が重要と言えます。
弁護士に依頼すれば、必要な検査の漏れを防ぎ、等級認定手続きの後遺障害診断書作成についてアドバイスを受けることができます。
ただし、弁護士であれば誰でもできるわけではありません。医療記録を判断し、後遺障害等級を見立てるには数多くの経験と特別な知識が必要だからです。
弁護士法人ALG&Associatesでは、経験豊かな交通事故専門チームが対応にあたり、社内の医療事件に特化したチームとの連携を図ることで、医学的知見についても専門性を発揮します。
可動域制限の後遺障害が残ってしまったら、まずはお気軽にご相談ください。
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