シリア・アレッポでも深刻な被害 内戦で荒廃、その上に大地震

Syrian rescue teams search for victims and survivors at the rubble a collapsed building in the city of Aleppo

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画像説明, シリア北部アレッポでも多くの建物が倒壊し多数の死傷者が出た

トルコ南東部で6日に発生した地震では、隣国シリアの内戦で荒れ果てた同国北部の都市アレッポでも、深刻な被害が出ている。

シリア政府の発表と、反体制派支配地域で活動する救援団体「ホワイト・ヘルメッツ」の発表を合わせると、同国北部の地震による死者はこれまでに1400人を超えている。

救助隊によると、多くの建物が倒壊や損傷しており、人々ががれきの下に閉じ込められたままだという。

この地域では、シリア政府軍、クルド人勢力、他の反体制派による内戦が続いている。何百万人もの住民が住む家を失い、避難生活を送っている。

すでに地震の前から、悲惨な状況が広がっていた。凍てつく寒さが続き、インフラは崩壊し、コレラが流行していた。

そこを今回の大地震が襲った。

ソーシャルメディアに投稿された動画には、アレッポでビルが崩壊し、その周囲で大勢が安全な場所へと急ぐ場面が映っている。BBCはこの動画が本物だと確認した。

自宅が倒壊した人や、さらに地震が起きるのを恐れている人たちがアレッポ市内で行き場を失っていると、ロイター通信は伝えた。

The clean up begins in Idlib after two earthquakes struck nearby Turkey

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画像説明, シリア北西部イドリブ県は、同国で最も大きな被害を受けた地域となった

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シリア北部の町ジャンダリスの男性は、地震で家族12人を失ったとAFP通信に話した。別の住民は、親族の何人かががれきの下で閉じ込められているとし、「声が聞こえるのでまだ生きているが救い出せない」、「救助してくれる人もいない。機械もない」と言った。

政府が掌握している地域では、軍や学生ボランティアを含む国のすべての緊急サービスが利用可能になっている。しかし、中東に詳しいBBCモニタリングのヘシャム・シャウィシュ記者によると、これは被害に対処するのに十分な規模ではないという。

厳しい寒さと大雨も、救助活動を妨げている。

反体制派の支配地域でスタッフ1000人以上が活動している慈善団体、国際救済委員会(IRC)の中東担当マーク・ケイ氏は、現状を「危機の中の危機」だと説明。通信網に被害が出ており、広い範囲で連絡が取れなくなっていると述べた。

諸外国が支援のチームや物資を送り出しているが、到着に時間がかかる可能性がある。シリア北西部は、最も支援が届きにくい場所のひとつとなっている。反体制派の支配地域へのルートは、トルコ国境の1カ所を通るものだけとなっている。

シリア北西部イドリブのアル・シファ病院の集中治療室で7年間勤務しているシャジュル・イスラム氏は、病院の状況は過去最悪だとBBCラジオ4の番組で説明。ベッド1台に患者2~3人が横になっており、生存の可能性が高い人を救うため、別の人から人工呼吸器を外すこともあると話した。

2011年から続く内戦

シリアでは2011年に、バシャール・アル・アサド大統領の政権に対する平和的な抗議行動が暴力化し、内戦が勃発した。

これまでに何十万人もの民間人や戦闘員が死亡。近年は同国史上最悪の経済不況により、人道危機がいっそう悪化している。

シリア各地では、今回の地震が発生する前にすでに、地域社会や病院などの重要インフラが破壊されていた。

シリア政府は、国連加盟国、赤十字国際委員会、その他の人道支援団体などに、国際支援を要請した。

しかし、イスラエルにも支援を求めたという観測については否定したとされる。両国はまだ厳密には戦争状態にあり、国交がない。

支援を表明した国は、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールなど数十カ国に上っている。国連は、被害の状況を調べ支援を提供するチームが、現地にいるとしている。

BBCのリーズ・ドゥセット国際報道主任特派員は、シリアのアサド大統領が、西側および近隣の諸国から支援を受け入れざるを得ないかもしれないと解説した。アサド氏はそれらの国々を、内戦において敵を支援していると非難してきた。

内戦でシリア政府を支援し、すでに同国に軍隊を配置しているロシアも、支援を表明している。