【米大統領選2024】 スーパーチューズデー、共和党はトランプ氏が大勝 

米東部ヴァージニア州フェアファクスで投票する有権者(5日)

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米大統領選挙の民主、共和両党の候補者指名争いは5日、15州と1米領の選挙が集中する「スーパーチューズデー」を迎え、各州で投票が行われた。東部の州から順次、投票が締め切られ、開票が進められた。共和党ではドナルド・トランプ前大統領がほとんどの州で大勝し、ただ一人の対抗馬だったニッキー・ヘイリー元国連大使は6日午前、選挙活動の中断を発表した。

民主党は現職のジョー・バイデン大統領が候補者指名を獲得することが確実視されており、この日も各州で勝利した。

一方、共和党はこれまでの予備選で大差をつけてリードしているトランプ前大統領が、対立候補のヘイリー氏を一気に突き放して撤退に追い込めるかに注目が集まった。開票が進むにつれ、共和党はほとんどの州でトランプ氏の勝利が確実になったが、ヘイリー氏は東北部ヴァーモント州で勝利を確実にした。

米東部時間6日午前4時(日本時間同午後6時)までに、民主党のバイデン氏と共和党のトランプ氏はともに14州で勝利確実だと、BBCがアメリカで提携するCBSニュースは伝えた。アメリカ領サモアではバイデン氏が起業家に敗れたと報じられている。

こうした結果を受けて、ヘイリー氏は6日午前、選挙運動を中断すると発表した。

「後悔はない」と述べたヘイリー氏は、トランプ氏への支持を表明せず、「今後はドナルド・トランプが、私たちの党内とそれ以外で自分を支持しなかった人たちの票を、自ら得られるようにしなくてはなりません。彼がそうするよう願っています」と話した。

スーパーチューズデーに投票する各州

東部から西部へと開票進む

東部ヴァージニア州とヴァーモント州では米東部時間午後7時(日本時間6日午前9時)に投票が締め切られた。

CBSニュースは直後、ヴァージニア州について、民主党はバイデン氏、共和党はトランプ氏の勝利が確実だと伝えた。

ヴァーモント州に関しては、民主党はバイデン氏が勝利を確実にした。共和党は接戦となり、投票締め切りから約4時間たった日本時間6日午後1時過ぎ、CBSニュースはヘイリー氏の勝利が確実だと伝えた。同氏にとってはこの日最初の勝利確実となった。

ヘイリー氏は3日、コロンビア特別区(首都ワシントン)の予備選でも勝利している。

この2州に続いて、ノースカロライナ州も投票が締め切られ、CBSニュースはバイデン氏とトランプ氏それぞれの勝利が確実だと報じた。

米東部時間午後8時(日本時間6日午前10時)には南部など5州で投票が締め切られた。CBSニュースは、オクラホマ、テネシー、アラバマ、メイン、マサチューセッツ州の各州で、バイデン氏とトランプ氏の勝利が確実な情勢だとしている。

その後、アーカンソー州でも投票が終了。CBSニュースは同州でバイデン氏とトランプ氏が勝利確実だと伝えた。

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さらに、米東部時間午後9時(日本時間6日午前11時)には西部など3州でも投票が締め切られた。CBSニュースはテキサス、コロラド、ミネソタの各州で、バイデン氏とトランプ氏が勝利を確実にしたとした。

コロラド州は昨年末、州最高裁がトランプ氏について、予備選への立候補資格がないとした。しかし、連邦最高裁が今月4日、この判断を覆し、トランプ氏は同州での立候補が認められた。

西部ユタ州については、CBSニュースは米東部時間午後11時(日本時間6日午後1時)前に、バイデン氏が勝利確実だと伝えた。それから5時間ほどたって、トランプ氏の勝利も確実となった。

代議員が最も多い西部カリフォルニア州は米東部時間午後11時(日本時間6日午後1時)に投票が終了。CBSニュースは、バイデン氏とトランプ氏それぞれの勝利が確実だと報じた。

共和党で最後に投票が終了したアラスカ州については、現地時間午後11時(米東部時間6日午前3時、日本時間同午後5時)前、CBSニュースがトランプ氏の勝利確実を報じた。

民主党で最も遅く投票が締め切られたアメリカ領サモアでは、バイデン氏が起業家のジェイソン・パーマー氏に11票差で敗れた。得票はバイデン氏40票、パーマー氏51票だった。

CBSニュースが実施したノースカロライナ州とヴァージニア州の出口調査によると、共和党有権者にとっては移民問題と経済が重要な関心事だった。

トランプ氏は西部でまだ投票が続いていた5日夜、南部フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴで、支持者らを前に勝利演説をした。

トランプ氏は、「スーパーチューズデーと呼ばれるのには理由がある。これは大きな日だ」と述べ、アメリカを「取り戻す」と宣言した。ヘイリー氏については一言も触れず、自分が大統領だったころは何もかもうまくいっていたので、その状態に戻すのだと繰り返した。

共和党の結果について、米ハーヴァード大学の政治シンクタンク「ベルファー・センター」のシャノン・フェルトン・スペンス氏はBBCに対して、多くの共和党支持者が、トランプ氏もヘイリー氏も支持できず宙ぶらりんの状態だと話した。

「(トランプ氏は)予備選で圧勝しているものの、(ヘイリー氏は)理屈の上ではトランプ票であるべき票をかなり獲得している。3割とか4割とか。それは本選でトランプ氏にとって問題となる」とスペンス氏はBBC番組「ニュースデイ」に話した。

「(トランプ氏は)予備選では、バイデン氏がしているように、各州で7割とか8割とか9割の票を独占してしかるべきだが、それができていない」と話すスペンス氏は、今回の予備選で共和党支持者の参加がきわめて低調だとして、共和党支持者がトランプ氏もヘイリー氏もどちらの候補も望んでいないのは明らかだと話した。

スーパーチューズデーで代議員3割の行方決まる

米カリフォルニア州ロサンゼルスで投票する人々

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米大統領選では、民主、共和の両党で候補者を選ぶ「代議員」が人口などに応じて各州に割り振られており、各候補は予備選や党員集会を通して代議員の獲得を争う。

共和党の代議員は2429人で、過半数の1215人を獲得した候補が夏の党大会で11月の本戦の候補者に指名される。一方、民主党の代議員は3934人で、過半数の1968人を獲得した候補が党候補となる。

5日のスーパーチューズデーでは、共和党の代議員の約3割の865人が、民主党では代議員1420人の行き先が、1日で決まる。

トランプ氏はこの日で獲得代議員を1000人超に増やし、12日のジョージア州予備選で共和党の指名を確実にするとの見方が強まっている。

ヘイリーがそれを阻止するには、スーパーチューズデーで少なくとも97人の代議員を獲得しなければならないと、CBSニュースは予測している。

この日、共和党の予備選や党員集会が開かれたのは、アラバマ、アラスカ、アーカンソー、カリフォルニア、コロラド、メイン、マサチューセッツ、ミネソタ、ノースカロライナ、オクラホマ、テネシー、テキサス、ユタ、ヴァーモント、ヴァージニアの各州。民主党は、この15州からアラスカ州を除く14州と、アメリカ領サモアで、予備選挙や党員集会を行った。