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AI相場で衰え知らずの米株、ウォール街の弱気派は出遅れ挽回に躍起

  • 過去1週間でパイパー・サンドラー、UBS、バークレイズが上方修正
  • 「我々が見ている状況は歴史的経験とは全く異なる」-バークレイズ
A Nvidia Corp. chip
A Nvidia Corp. chip Photographer: I-Hwa Cheng/Bloomberg

人工知能(AI)を巡る熱狂はウォール街のベテランに不意打ちを食らわせている。ストラテジストらは、2024年当初の株価予想をすでに超えている相場の上昇に追いつこうと躍起になっている。

  S&P500種株価指数は23年に年間で24%上昇した後、今年は約7%上昇している。ウォール街ではすでに5社が同指数の見通しを上方修正。過去1週間だけでもパイパー・サンドラーUBSグループバークレイズが予想を引き上げた。

  UBSグループはS&P500種の年末目標水準を5400に上方修正。昨年12月に発表した24年末予想の上方修正はこれで2度目となる。5400はエド・ヤルデニ氏率いるヤルデニ・リサーチと並んでウォール街の金融機関では最高水準。

  UBSのチーフ米株ストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏は「この仕事を20年ほどしてきたが、こんなことは初めてだ」と語った。

UBS、S&P500種予想をウォール街最高に-強気足りずと再修正

The Big Chase | Equity strategists keep lifting year-end calls to keep up with S&P 500
 
 

  相場をけん引しているのは大型ハイテク銘柄で、特にエヌビディアやメタ・プラットフォームズ、マイクロソフトなど7社を称する「マグニフィセント・セブン」だ。

  これまでのところ、各社の業績が株価の動きを正当化している。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、マグニフィセント・セブンの2023年10-12月期の1株当たり利益は前年同期比59%増と、市場予想の同47%増を上回った。ウォール街きっての弱気派でさえ、考えを改め始めている。

  パイパー・サンドラーのマイケル・カントロウィッツ氏は昨年、ウォール街で最も弱気な米株見通しを示していた。しかし先週にはS&P500種の見通しを5250に上方修正。これは一部の強気派の予想さえ上回る水準だ。HSBCホールディングスのマックス・ケトナー氏は今週に入り、米株見通しを先月引き下げたことは「間違い」だったと顧客向けリポートで釈明。AI相場を正確に予想できなかったとした。

  米金融当局が高金利長期化のシグナルを発しているにもかかわらず経済が堅調を維持していることも、多くのストラテジストにとって大きな驚きとなっている。エコノミストは今後1年間のリセッション(景気後退)入り確率を40%と見ており、これは2022年以来の低水準。2023年上期には65%だった。

   バークレイズの米株戦略の責任者、ベヌ・クリシュナ氏は「我々が目の当たりにしているのは、歴史的な経験とは全く異なる独特な状況だ」と語った。

原題:Big Tech’s Boom Has Strategists Scrambling to Keep Up With Rally(抜粋)

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