広がる「流域治水」 川全体で水害に備える

知恵を絞った取り組み、各地で

川の流域全体で、新旧のハード、ソフトの様々な防災対策を組み合わせて水害に備える「流域治水」が全国で活発化している。知恵を絞った取り組みが各地で行われている。

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福井県南越前町では「輪中堤」

2022年8月に鹿蒜(かひる)川の堤防が決壊し、計約220棟が全半壊や浸水などの被害を受けた福井県南越前町では、県が町内の3集落を囲む「輪中堤(わじゅうてい)」(高さ2~3m)の整備計画を進める。

一般的な堤防は、川沿いの数キロにわたって切れ目なく築く。浸水を防ぐ効果は高いが、費用がかさみ、工期も長い。

江戸時代のリバイバル…低価格が魅力

一方、輪中堤は集落の周囲数百メートルに築き、非住家地帯には築かない。住民の命や住居を守ることを最優先し、非住家地帯への浸水はある程度許容する。費用が比較的安く、工期も短い。輪中堤は江戸時代に盛んに造られた。集落が点在する農村地帯で近年、有効な対策として見直されつつある。

■輪中堤のイメージ図

全国初の「流域治水型災害復旧」に採択

輪中堤を利用した南越前町の災害復旧は、全国初の「流域治水型災害復旧」に採択され、国土交通省が総事業費30億円の3分の2を負担する。

県はソフト面の対策として、鹿蒜川に水位計や監視カメラを増設し、その情報を活用して住民に早期の避難を促す仕組みも整備する。

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