Chaphters章解説
Chapter1
History of the Liechtenstein Family and Noble Life リヒテンシュタイン侯爵家の歴史と貴族の生活
リヒテンシュタイン侯爵が収集活動を始めたのは500年以上前のことで、歴代の侯爵が時間をかけて優れた美術品を集めた結果として、輝くばかりの侯爵家コレクションが形成されました。第1章ではそんな侯爵家の人々の肖像画と、貴族生活の雰囲気をよく表した絵画を紹介します。
リヒテンシュタイン侯爵が収集活動を始めたのは500年以上前のことで、歴代の侯爵が時間をかけて優れた美術品を集めた結果として、輝くばかりの侯爵家コレクションが形成されました。第1章ではそんな侯爵家の人々の肖像画と、貴族生活の雰囲気をよく表した絵画を紹介します。
リヒテンシュタイン侯爵家コレクションが所蔵する宗教画には、クラーナハ(父)やルーベンスといった北方芸術の巨匠の作品だけでなく、イタリア・ルネサンスやバロックの作品も含まれています。さらに主題も多岐にわたっていて、この多様性がコレクションの魅力のひとつと言えるでしょう。
ルネサンス期に再び芸術の主題として取り上げられるようになった神話画は、宗教画と並んで人気の主題となりました。侯爵家もまた、当代で人気の画家による神話画を積極的に収集しています。第3章では神話画とともに、実際の出来事を象徴的に描いた歴史画や、神話画が描かれた磁器作品も合わせて展示します。
東洋で誕生した磁器は、その美しさからヨーロッパで大変な人気を博し、中国や日本の磁器が大量に流入しました。そうした磁器はときにはヨーロッパ人の趣味に合わせて金属装飾が施されることもありました。ヨーロッパで磁器が制作されるようになった後も、東洋風の彩色が好まれていたのです。
ハプスブルク家のもと帝都として栄えたウィーンに1718年にデュ・パキエが設置した磁器工房は同家の庇護を受けながら大いに発展し、優れた磁器作品を多く生み出しました。工房はその後帝国直属となり、18世紀末にはゾルゲンタール男爵の下、さらなる発展を遂げました。侯爵家コレクションにはそんなウィーン窯で製作された磁器の中でも、特に華やかで技巧を凝らした作品が収蔵されています。
大貴族として都市で多忙な毎日を送る侯爵たちに、こうした風景画はひとときの安らぎを与えてくれたことでしょう。特にアルプスの山々の雄大な姿は、アルプスに抱かれた領地を有するリヒテンシュタイン侯爵家にとって特別な意味を持っていたのではないでしょうか。
本来別々の季節に咲く花を同時に鑑賞でき、また枯れることもない花の静物画は、ヨーロッパの静物画のなかでも特に人気の主題でした。侯爵家コレクションには、陶板画や磁器の絵柄として描かれたものも含めて、花を描いた作品が多く収蔵されています。本章ではその中からヴァルトミュラーのような当代の人気画家が描いた繊細かつ華やかな作品を一堂に展示します。