ロシアに対抗、NATOが保有する強力な兵器10選

合同演習トライデント・ジャンクチャーに参加したベルギー軍の榴弾砲部隊。NATOの高度即応統合任務部隊(Very High Readiness Joint Task Force:VJTF)の一翼を担う。2018年10月27日、ノルウェーのレナ射撃演習場にて。

合同演習トライデント・ジャンクチャーに参加したベルギー軍の榴弾砲部隊。NATOの高度即応統合任務部隊(Very High Readiness Joint Task Force:VJTF)の一翼を担う。2018年10月27日、ノルウェーのレナ射撃演習場にて。

Photo by Sergeant 1st Class (OR-7) Michael O’Brien USA-A, JFC NATO PAO

  • 70年間にわたって、NATOは集団的自衛と抑止力を行使してきた。
  • NATOの最も「強力な兵器」は「同盟国の結束」と新アメリカ安全保障センターのジム・タウンセンド氏は語った。
  • NATOは、ロシアが超音速巡航ミサイルや他の新たなシステムなどで近代化することに伴い、ハイエンドな戦闘に備える必要があると他の専門家は語った。

70年間にわたって、NATOは拡大し続ける国際的脅威に対して集団的自衛と抑止力を行使してきた。そして長年にわたって、その能力は徐々に変化している。

NATOの最も「強力な兵器」は「同盟国の結束」と新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security)のジム・タウンセンド(Jim Townsend)氏は語った。だが、各国はまた、それぞれ高度な侵略に対抗し得る大きな攻撃能力を保有している。

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies:CSIC)のヘザー・コンリー(Heather Conley)は、ロシアはネットなどを使ったローエンドな影響力とサイバー攻撃を使ってNATOに圧力をかけ続けるだろうと考えている。

さらに彼女は、ロシアが超音速巡航ミサイルや他の新たなシステムなどで近代化することに伴い、ハイエンドな戦闘をよりシリアスに検討する必要があるとBusiness Insiderに語った。

戦闘はどのようなものになるのだろう?

「私はいつも、持ち寄りパーティーにたとえる」とタウンセンドはBusiness Insiderに語った。

「NATOが持ち寄りパーティーを開くとしたら、同盟国はどんな料理を持ち寄れば最も喜ばれるだろう?」

「もしNATOが良い料理を持ち寄りそうな客を招待したいなら、まずアメリカを招待するだろう。あらゆるカテゴリーで、アメリカがリードしている」

とはいえ、他の客もさまざまな品物をテーブルに並べる。

ロシアに対抗するために、NATOが保有する強力な兵器の一部を見てみよう。

F-35 ライトニングII

F-35ライトニングII

アリゾナ州のデイビス=モンタン基地にて。2019年3月1日。

U.S. Air Force photo by Senior Airman Alexander Cook

F-35は戦闘力を飛躍させると考えているNATO同盟国もあるが、一方でドッグファイト能力と地上攻撃能力を併せ持つ旧式の超音速戦闘機F-16に頼り続けている国もある。

そしてドイツなどの国は、ヨーロッパ製の戦闘機を配備している。

ユーロファイター タイフーン

ユーロファイター タイフーン

着陸前に低空で飛ぶイギリス空軍のタイフーン。リバプール空港にて。

Getty Images

ユーロファイター タイフーンはNATO加盟国のうち、イギリス、ドイツ、イタリア、スペインが共同開発したマルチロール機。

開発プロジェクトから離脱したフランスは、独自にダッソー ラファールを開発した。

爆撃機

B-52

2019年3月14日、イギリスのフェアフォード空軍基地で待機するアメリカ・ルイジアナ州バークスデール空軍基地所属のB-52ストラトフォートレス。

U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Tessa B. Corrick

Military.comによると、2014年にロシアがクリミアを併合して以来、アメリカの爆撃機はこのエリアを定期的に飛行している。同じ年、アメリカ国防総省は2機のB-2スピリットと3機のB -52をヨーロッパでの演習に派遣した。

B-1Bランサーも、定期的にNATO同盟国とともに行動している。

P-8A ポセイドン

P-8Aポセイドン

2014年7月15日、イギリスのファンボロー国際航空ショーでエキシビション飛行を行うボーイングP-8Aポセイドン。

AP Photo/Sang Tan

「海上勢力もある。特にロシアが潜水艦の核抑止力に依存し続けていることがその理由。我々はより強い存在感を示さなければならない。それゆえにノルウェー、アメリカ、イギリスが多数のP-8Aを配備している」とCSISの専門家コンリーはBusiness Insiderに語った。

フリゲート艦

フリゲート艦

ノルウェーのフリゲート艦HNoMSヘルゲ・イングスタッド(先頭)がトルコのフリゲート艦TCGオルチレイス、ベルギーのフリゲート艦BNSルイーズ・マリー、スウェーデンのヴィスビュー級コルベットを先導。合同演習トライデント・ジャンクチャーにて。

NATO/LCDR Pedro Miguel Ribeiro Pinhei

もう1つの強力な対潜水艦能力は、多くのNATO同盟国が運用するさまざまなフリゲート艦。

「NATO同盟国、特にイタリア、フランス、スペインは優れた対潜水艦戦闘システムを備えたフリゲート艦を保有している」と戦略予算評価センター(Center for Strategic and Budgetary Assesments:CSBA)のブライアン・クラーク(Bryan Clark)はBusiness Insiderに語った。

「ノルウェーとデンマークにも優れたフリゲート艦がある」と彼は続けた。北海/バルト海に「出撃し、対潜水艦戦闘を展開できる。非常に高い能力を持っている」。

AH-64 アパッチ

AH-64アパッチ

2011年9月1日、朝鮮半島を二分する非武装地帯の南にある演習場で行われた米韓合同軍事演習でロケット弾を発射するアメリカ軍のAH-64 アパッチ。

AP Photo/Ahn Young-joon

アパッチは、一度に最大16発のヘルファイアーミサイルを積載できる。ヘルファイアーは1発で敵の戦車などに大打撃を与える。

ヘルファイアーは今後、さらに高性能なJAGM(Joint Air-to-Ground Missile)に更新される計画。

レオパルド2戦車

レオパルド2戦車

ドイツ連邦軍のレオパルド2A7主力戦車。2016年10月14日、ブンデスヴェール訓練場でのメディア公開日にて。

Alexander Koerner/Getty Images

レオパルド2主力戦車は「破壊できない」という評判を得ており、当初はソビエトの侵攻を真っ先にくい止めるために開発された。万一、NATOとロシアが衝突した時に、おそらく最前線に配備されることになる。

ニミッツ級空母

空母USSハリー・S・トルーマン

大西洋で訓練中のハリー・S・トルーマン空母打撃群(HSTCSG)。2018年2月16日。

US Navy/Mass Communication Specialist 2nd Class Scott Swofford

2018年に実施された合同演習トライデント・ジャンクチャー(ロシアとの大規模な衝突を想定したNATOの大規模軍事演習)の最後に加わったのは、ニミッツ級空母USSハリー・S・トルーマンとその打撃群。

空母USSハリー・S・トルーマンはノルウェーで行われた近年で最大規模の演習に、約6000人の人員とF/A-18 スーパーホーネットの空母航空団を送り込んだ。

パトリオット地対空ミサイルシステム

パトリオットミサイル

パトリオット地対空ミサイルシステムの前に並ぶアメリカ陸軍の第10防空ミサイル防衛コマンドの隊員。NATOの多国間防空演習「トブルク・レガシー2017」にて。

AP Photo/Mindaugas Kulbis

パトリオット(PATRIOT)は、「Phased Array Tracking Radar to Intercept on Target」の頭文字。高性能な地対空誘導システムシステムで、NATO同盟国を含む、世界中で使われている。

バージニア級原子力潜水艦

原子力潜水艦USSノースダコタ。

大西洋で試験中の原子力潜水艦USSノースダコタ。

U.S. Navy Photo

バージニア級原子力潜水艦は世界最強の潜水艦。敵の潜水艦や水上艦を沈めることができる魚雷を搭載し、また敵の基地やミサイル施設をトマホーク巡航ミサイルで沖合から攻撃できる。


[原文:10 of the most powerful weapons NATO has to take on Putin's Russia

(翻訳:忍足 亜輝、編集:増田隆幸)

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