出生率の低下により、中国の人口は昨年85万人減少しました。
Zhu Xudong/Xinhua via Getty Images
- JPモルガンのストラテジストは、中国が特定の経済的課題に対処しない限り、1990年代の日本のようになってしまう可能性があると警告した。
- 中国は急速に高齢化が進み、マクロ環境も厳しいが、それには長所もある。
- 中国政府は、数十年前に日本が直面したような落とし穴を避けるために、住宅市場を安定させなければならない。
JPモルガンによると、中国が早急に経済的課題に対処しなければ、やがて1990年代の低成長、財政停滞を経験した日本に似てくる可能性があるという。
同行のストラテジストは8月2日、不安定な住宅市場、金融の不均衡、人口の高齢化から生じる可能性のある大国の「日本化」リスクについて警告した。
この比較は、日本が低成長、低インフレ、資産価格の下落、「バランスシート不況」に苦しんだ1990年代初頭に由来する。
JPモルガンによれば、現在の中国にも類似点があるという。2021年以降、中国の住宅セクターは構造的にも循環的にも調整されており、これは需給ダイナミクスの変化を反映している、とストラテジストは言う。
「憂慮すべきシグナルは、住宅流通価格が2023年第1四半期に一応の回復を見せたものの、ここ数カ月で一部の都市で再び下落に転じていることだ」とJPモルガンは述べている。
「中古住宅価格が新築住宅価格を下回れば、新築住宅価格と中古住宅価格の相互補強的な下落が形成され、マクロリスクと金融リスクの両方が強まる可能性がある。したがって、7月の政治局会議で強調されたように、当面の政策優先事項として住宅市場を安定させることが重要だ」
高齢化も依然として懸念材料だ。2019年、中国の65歳以上の高齢化率は12.6%で、1991年の日本の12.7%に匹敵する。
しかし、中国の人口動態で高齢化が急ピッチで進んでいることを考えると、実際にはもっと悪い。
中国と日本の高齢化に関するJPモルガンの分析。
JPMorgan
ストラテジストはまた、2022年の中国の1人当たりGDPが1万2800ドルと、1991年の日本の2万9470ドルよりはるかに低いことを強調した。これは成長の可能性を示唆する一方で、豊かになる前に高齢化が進み、負債が増えることを示すとJPモルガンは見ている。
さらに、中国は数十年前の日本よりも複雑な対米貿易摩擦に直面しており、それが経済成長を阻害する可能性がある。さらに、ロシアとウクライナの戦争は世界のサプライチェーンの移転を加速させた。
中国は政策や財政刺激策に対する柔軟性が日本よりはるかに低いことも注目に値する。中国の公的債務は2022年にGDPの95%に達したが、日本は1991年の61.9%から始まり、2000年までに131%まで上昇した。
確かに、まだ中国に有利に働く要因もある。都市化率が比較的に低いため、生産性向上の可能性が大きく、住宅需要も拡大する余地がある。また、JPモルガンによれば、中国の住宅セクターは、その不確実性にもかかわらず、かつての日本のような割高感はないという。
その他の利点としては、中国の国内市場がはるかに大きいこと、STEM卒業生が多いこと、製造業がより強固であることなどが挙げられる。
「中国は1990年代の日本よりも厳しい外部環境に直面しているかもしれないが、いくつかの分野では技術の向上と商業化を達成できるという希望もある」とストラテジストは述べている。
「例えば、中国は近年、新エネルギーや新エネルギー車の分野で主導的な役割を果たすようになっている」
特筆すべきは、中国政府は強力な資本規制を行っているため、経済のゾンビの部分が必要以上に長く停滞するリスクはあるものの、「突然停止する債務危機」の変化は小さいことだ。
結局のところ、潜在的な「日本化」の多くは住宅市場のリスクに帰結する。
「バランスシート不況は今のところ本当のリスクではないが、未来は政策立案者が住宅価格を安定させ続けられるかどうかにかかっている」とストラテジストは言う。
「政府が比較的安定した新築住宅価格を維持できる重要な理由は、新築住宅価格が過去に(新築住宅販売価格の上限設定により)流通住宅価格より低く抑えられていたからだ。ここ数年、新築住宅価格よりも中古住宅価格の方が下落しているため、その差は縮小している(新築住宅販売価格の下限が設定されているため)」