▲「道の駅」発祥の地って、いったいどこなんだろう? ▲「道の駅」発祥の地って、いったいどこなんだろう?

何を基準に発祥とするか定義が難しい「道の駅」

全国に着々と増えている「道の駅」。4月4日に16駅が追加され、全国で1030駅となった。ドライブ途中の休憩に、産地直売物産の購入に、そして最近人気の車中泊にと、様々な形で利用したことのある人も多いだろう。

そんな道の駅1030駅のなかで最初にできたところはどこなのだろうか? 結論から述べてしまえば、1993年4月22日に正式登録された103駅が第1号タイということになる。ただし、これに先駆けて1991年10月から社会実験として12駅があった。「道の駅」という看板も掲げられていたのだ。

この12駅のうち、山口県阿武町の「道の駅阿武町」と岐阜県付知町(現・中津川市)の「道の駅花街道付知」が、後に正式登録された103駅の「第1号」に含まれている。だからこの2つを「第1号の中の第1号」と言ってもいいかもしれない。

だが、話はまだまだややこしい。1991年の社会実験前後に作られた施設の中に、我こそは第1号!と主張するところがいくつかあるのだ。1つは1992年4月にオープンした、鳥取県大栄町(現・北栄町)の「道の駅大栄」。オープン時期は社会実験の実施より後になるものの、社会実験が終了し、「道の駅」の概念があいまいになっている時期に運営をスタート。「仮住まい」的な施設だった社会実験12駅に比べれば、当初から設備も充実していたため、ここが第1号という見方もある。

さらに1989年に、旧建設省によって島根県掛合町(現・雲南市)に作られたチェーン脱着場所も有力候補だ。ここは翌1990年3月に休憩施設などが整備され、現在は「道の駅掛合の里」となっている。後の社会実験が見本としたため、ここを発祥とする意見もある。

さらに話はさかのぼり、1988年11月には同じく旧建設省が新潟県豊栄市(現・新潟市)の新新バイパス沿いに、道路情報ターミナルを備えたパーキングエリアを整備した。ここも現在は「道の駅豊栄」となっている。作られた時代としては最も古いため、ここを発祥とする説にも説得力がある。しかも「道の駅豊栄」は発祥地であることへの自己アピールがちょっと強いらしい。

というわけで、実際に行ってみた。冒頭の写真は我こそが発祥の地! ということをアピールする石碑。設備はなかなかバリエーションにあふれている。

▲豊栄が「道の駅」発祥の地であることをアピールする石碑第二弾 ▲豊栄が「道の駅」発祥の地であることをアピールする石碑第二弾

現存最古を誇るだけあって「豊栄」の設備は比較的充実

そもそも道の駅は、道路利用者のための「休憩機能」(24時間利用可能な駐車場、トイレなど)、道路利用者や地域の方々のための「情報発信機能」、そして「道の駅」をきっかけに町と町とが手を結び活力ある地域づくりをともに行うための「地域の連携機能」(産地直売所など)が必須となっている。

▲豊栄にあった「道の駅」の説明。道の駅にはトイレや休憩施設などを設置することが定められている旨の説明が ▲豊栄にあった「道の駅」の説明。道の駅にはトイレや休憩施設などを設置することが定められている旨の説明が

「道の駅豊栄」には休憩施設や道路情報ターミナルの他、小規模ながら物産販売所や軽食コーナーがあり、さらに池付きの日本庭園風な公園と見晴台も設置されている。隣接した場所には除雪作業を行う作業車のターミナルも存在していた。

▲道の駅豊栄の売店や軽食コーナーは一般的なPAとそう違いはない ▲道の駅豊栄の売店や軽食コーナーは一般的なPAとそう違いはない
▲設置当初は最新鋭だった道路情報ターミナル。最近はナビやスマホで検索できちゃうけど…… ▲設置当初は最新鋭だった道路情報ターミナル。最近はナビやスマホで検索できちゃうけど……
▲とても立派な日本庭園。石造りの見晴台もある ▲とても立派な日本庭園。石造りの見晴台もある
▲隣接する除雪ターミナル。冬季はここから除雪車が出動する ▲隣接する除雪ターミナル。冬季はここから除雪車が出動する

道路情報ターミナルは全国で初めて設置されただけあって立派なものなのだが、日沿道が村上市(朝日まほろばIC)まで延伸し、新新バイパスの重要性が薄れてしまった現在となっては、ちょっと大仰すぎる施設になってしまった印象だ。

売店では物産品に交じって、なぜかダチョウの卵が売られていた。なぜダチョウ? と思ったら、どうやら道の駅の裏側にヒミツがあるらしい。そう、ここにはダチョウファームがあって、売っている卵はここのダチョウが実際に産んだものなのだ。

▲売店で売っていた卵。持ち上げるなと書いてあったので重さはわかりません ▲売店で売っていた卵。持ち上げるなと書いてあったので重さはわかりません
▲ダチョウファームは「道の駅豊栄」のちょうど裏手にある ▲ダチョウファームは「道の駅豊栄」のちょうど裏手にある
▲まさか道の駅でダチョウに出会うとは。とてもおとなしそうな感じのダチョウさん ▲まさか道の駅でダチョウに出会うとは。とてもおとなしそうな感じのダチョウさん

「発祥の地」を名乗るだけあって、「道の駅豊栄」はちょっと立派な施設があって、ちょっと変わった特色のある道の駅だった。新潟へお出かけの際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

text/渡瀬基樹