マスやコイ、ヒラメetc. 自宅で魚を養殖することはできるのか

公開日:2013年10月31日

近年、自宅で野菜を育てる家庭菜園がブームになっているそう。そこでふと思った。自宅で魚を養殖することはできないものか、と。

「外来種を飼う場合は最後まできちんと処理をし、絶対に自然界に放流しないでください。生物の環境破壊につながる恐れがあります」(野原さん)

「外来種を飼う場合は最後まできちんと処理をし、絶対に自然界に放流しないでください。生物の環境破壊につながる恐れがあります」(野原さん)

少し前、ベランダで米やとうもろこし、かぼちゃを育てる「ベランダ菜園入門」という記事をお届けした。家庭菜園のブームの背景には、消費者の食の安全性に対する関心の高まりがある。確かに自分が育てた野菜なら安心だし、猛暑で高騰している野菜を購入するよりもはるかに財布の負担は少ない。

そこで考えたのが、野菜に限らず自宅で魚を養殖するということ。早速、陸上養殖システムの開発・製造を手掛けるアイ・エム・ティーの専務取締役、野原節雄さんに話を聞いてみた。

ズバリ自宅で魚を養殖することは可能なのでしょうか?

「基本は熱帯魚の飼育と同じなので可能です。養殖は小さい魚を大きく育てることなので、熱帯魚よりエサの量が多くなるだけの違いですよ」(野原さん)

想像以上に答えはあっさりとイエス。では具体的にどのような品種なら養殖が可能なのか?

「共食いせず、水質悪化に強く、成長の速い品種が適しているといえます。一番飼いやすいのはテラピアですね。マスやコイ、ナマズ、ヒラメなども比較的育てやすいです。養殖した魚を食べるときは餌の安全性を考慮して、配合飼料を使う等の要注意が必要です」(野原さん)

テラピア(ティラピア)とは、カワスズメ科テラピア属の淡水魚の総称。アフリカやアメリカ熱帯部、西部アジアに生息しており、世界各地で養殖されている。ムニエルや天ぷら、フライなどにして食べられることができる魚だ。

とはいえ、ここで一番気になるのはコスト面。いくらぐらいが目安なのだろう。

「裏庭で行う少し大きい水槽になると、循環ろ過システムを含めて30~50万ほどでしょうか。賃貸物件のように限られたスペースで行う場合は、60リットル水槽くらいが適しているかもしれません。これは10万円以内で購入できますね。これに、エサ代や水道代、電気代が維持費として加算されます」(野原さん)

なるほど。維持費まで具体的な金額は算出できないが、10万円以内なら少し頑張れば購入できる値段だ。

あまり自宅で魚を養殖している人をみかけたことはないが、地方では自宅の裏庭でコイやマスなどを養殖している人がいるらしい。世界に目を向けると、オーストラリアやアメリカでは、アクアポニックという水耕養殖システムが普及しているという。アクアポニックシステムとは、自宅で魚を育て、その排水を循環させてレタスやハーブを育成し、両方食べるという仕組みだ。自分で育てた安心なものを食べたいというのは、世界共通のニーズなのかもしれない。

(播磨谷拓巳/ノオト)

<関連リンク>
▼アイ・エム・ティー
http://www.imt-japan.co.jp/

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