国際関係学部卒業の栃井裕美氏による翻訳本が2023年2月20日に出版されました
『ポスト・ヨーロッパ
共産主義後をどう生き抜くか』
東欧のボーヴォワールともいわれ内戦を経験した著者が描く西側の論理だけからはみえないヨーロッパ像
著者:スラヴェンカ ドラクリッチ(著)
栃井 裕美(訳)
ジャンル:社会 歴史
出版年月日:2023年2月20日
定価:本体3,000円+税
出版社:人文書院
目次
- 日本語版に寄せて
- 序文 想定外の変化
- 昔々、一九八九年のある日のこと
- ヨーロッパのフードアパルトヘイト—すべての胃袋は同じにあらず?
- ウクライナの不機嫌な女の子—人は何を見て、何を見落とすのか
- アンゲラおばさんとドナルト・トランプの会談—アンゲラ・メルケルとオルバーン・ヴィクトルのシーソーゲーム
- 一九六八年プラハ:なぜ共産主義はウールのセーターに似ているのか—あるいは、犠牲者の追悼が不快な理由
- 女性、ハラスメント、東、西—暴力に耐性のある女性なんていない
- 恐怖を煽る—ナショナリズムが感情を呼び起こす理由
- 北マケドニア共和国—より良い過去をいかに構築するか
- スウェーデンのオウム、移民問題など—かつての移民と新たな難民をめぐって
- お気に入りのカード—一枚の魔法のプラスチックカードにできた亀裂
- ロスト・イン・トランジション—-社会的所有から私有財産への長い道のり
- ホロコーストと盗まれた記憶—追悼のさまざまな方法をめぐって
- ヨーロッパ合州国?—東欧の移民熱
- 未来の音楽—二〇一一年イタリア:古きよきヨーロッパ、新たなヨーロッパ、変わりゆくヨーロッパ
- 私のブレグジット
- 謝辞
- 訳者あとがき
栃井裕美氏のプロフィール
栃井 裕美(とちい・ひろみ)
2003年 中部大学国際関係学部卒業。中部大学国際関係学部優秀卒業論文賞受賞。
2003年~2007年 セルビア政府奨学生。
2007年 ベオグラード大学哲学部社会学専攻修士課程修了。
2010年~2013年 日本学術振興会特別研究員。千葉大学大学院人文社会科学研究科博士後期課程満期退学。名古屋グランパス公式セルビア語通訳。共著に『学問の森へ 若き探求者による誘い』(2001年)
栃井裕美氏から一言
「憧れから幻滅、そして戦争へ」
スラヴェンカ・ドラクリッチはクロアチア出身のジャーナリストです。激しい民族紛争が起こった90年代に旧ユーゴスラヴィアを去り、周縁から母国を眺めながら多くのエッセイを執筆し、国内外で高く評価されています。本書は、再び迎えた激動のヨーロッパに噴出する諸問題を予見する、珠玉のエッセイ集となっています。東西ヨーロッパの分断、ウクライナ問題、ブレグジット、#MeToo運動、移民問題、ポピュリズムの台頭などをテーマに、ソ連崩壊後から30年後の東欧世界を描き出しています。ヨーロッパへの幻想がいかに変化したのか、人々を失望させたものは何であったのか。「ポスト共産主義」の世界を通して見るヨーロッパ最新論、学生の皆さんにぜひ読んでいただきたい一冊です。