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【「○○」解散と名付けると?】コロナ禍再生 聞く耳持つのもいまのうち?

2021年10月12日 05時00分 (10月13日 12時35分更新)

4088人回答

 岸田文雄首相は衆院を14日に解散し、31日投開票で総選挙を行う。新型コロナウイルスへの対応に追われ、任期満了間際となった今回の解散を、どのように命名するか。本紙はインターネットの読者アンケート「中日ボイス」で11日まで意見を募った。
 愛知県のパート女性(59)は「コロナ解散」と名付けた。その理由を、政府の実績、岸田内閣への期待について国民が審判すると説明した。三重県の無職男性(73)は経済再生が最大かつ緊急の課題だとして、「コロナ禍再生解散」と評した。
 愛知県の無職男性(71)は「いまのうちに解散」と命名。「とにかく、ボロが出ないうちに選挙をやってしまおう」と支持率が下がる前を選んだと推測した。滋賀県の無職男性(64)は「すべりこみ解散」とし、「(感染拡大の)第六波の前に投票を終わらせたいのが見え見え」と話した。
 岸田首相が「特技は人の話をよく聞くこと」と自任することを踏まえ、「聞く耳解散」とのネーミングも。三重県の主婦(72)は「国民の声を聞くように」と要望した。一方、三重県の会社員男性(65)は「自民党の偉いさんの言うことを聞いてのことだから」と皮肉った。
 愛知県の主婦(58)は、自民重鎮の安倍晋三元首相、麻生太郎副総裁、甘利明幹事長から頭文字をとって「3A解散」とし、「(三氏の)影が透けて見える」と論評した。
 アンケートには中部九県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野、福井、滋賀、石川、富山)を中心に計四千八十八人が回答した。

 購読者向けネットサービス「中日プラス」会員の回答を中心としており、性別や年齢層などを考慮した通常の世論調査とは異なります。

関心ある政策課題 コロナ対策最多

 関心のある政策課題についても、中日ボイスで聞いた。最も多かった「新型コロナ対策」を挙げた愛知県の自営業女性(53)は「国産ワクチンや飲み薬などの開発が急務」と理由を語った。岐阜県の公務員男性(68)は「感染者数は減少しているが、第六波の心配がある。縦割り行政を打開して、スムーズなワクチン接種や医療体制の確保を」と要望した。一方、財政状況を懸念する声もあった。
 次に多かったのは「年金・福祉・医療」。三重県の無職男性(83)は「高齢化が進む中、老後の生活を安心して暮らせるようにどうすべきかは大きな課題」と指摘した。
 「その他」を選んだ長野県の公務員女性(53)は「農業問題に真剣に取り組んでほしい。日本の農業は後継者不足で大変」と懸念し、「食料自給率を高めることこそが最大の安全保障。日本も国策として、有機農業の推進に力を入れてほしい」と注文を付けた。

夜の繁華街 有権者はしらけ気味

 有権者は今回の解散をどうみるか。十一日夜、名古屋市の繁華街を歩いて尋ねた。

名古屋・名駅前を歩く人たち=11日夜

 名古屋・栄の居酒屋の店員男性(30)は「あとはよろしくな解散」と命名。突然の退任を表明した菅義偉前首相の姿勢に対して、「飲食業界でも、売り上げなどの問題がある店舗を『あとはおまえに頼む』と無責任に任せることがよくあり、同じ印象だ」と実感を込めて語る。岸田政権について「どんな政策をするのか、実績がないので分からない。判断のしようがない」とこぼした。
 繁華街の名古屋・錦三を歩いていた愛知県一宮市の男性会社員(53)は「意味なし解散」と名付ける。「どうせ任期切れが迫っていたのに、わざわざ解散した意味がよく分からない」と解散の判断に疑問を投げかける。会社の業績が思わしくなく、経費削減の声も強まる中、「今日もおとなしく家に帰ります」と足早に地下鉄駅に向かっていった。
 解散に向けて慌ただしくなる政治家の動きに対し、国民の関心が十分に高まっているとは言えない。名古屋・名駅近くで、友人たちと雑談中だった名古屋市中村区の高校三年の女子生徒(18)は、「解散があるとか全然知らなかった」と驚いた表情。選挙権を得て初めての衆院選になるが、「選挙があっても、誰が当選してもいいやと思っちゃう」と本音を漏らした。

早めの「意図隠し」 田原総一朗さん

 ジャーナリストの田原総一朗さん(87)は、岸田首相が解散を早めたとして「意図隠し解散」と名付けた。新型コロナの感染者数が減っており、野党共闘の調整も付いていない間に解散総選挙をやろうとしたと指摘。また、森友学園を巡る公文書改ざんや「桜を見る会」前夜の夕食会などの問題を、野党に追及されないよう、国会の会期を短くする狙いもあったと分析した。

ずる賢い「AAA」 やくみつるさん

 漫画家のやくみつるさん(62)は「AAA(スリーエー)解散」と命名し、「あこぎ、あたふた、粗ごなしの頭文字」と説明する。解散時期を決めるのに「あたふた」した上、当初の予定から一週間早くなったことに着目。「野党に準備期間を与えないずる賢さがある。解散が岸田首相の初仕事。本格的な政権運営に向け、『体裁を整える』意味もあるだろう」と述べた。

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