本文へ移動

なぜKANは弾き語りにこだわるのか 「弾き語りばったり」全国ツアー開催中のアーティストを直撃

2021年12月25日 04時00分

このエントリーをはてなブックマークに追加
インタビューに答えるKAN

インタビューに答えるKAN

  • インタビューに答えるKAN
  • 弾き語りツアーなどについて語ったKAN
 「愛は勝つ」のヒット曲で知られるミュージシャンのKAN(59)が9月から「弾き語りばったり #31+ 小さい土器みつけた」と題した全国ツアーを開催している。来年は1月9、10日の東京・日本橋三井ホール公演からスタートし、2月6日に名古屋・中電ホールなどを回る。自身の原点であり、ライフワークともいえるピアノ弾き語りについてのこだわりやツアー開催のきっかけなどについて語ってもらった。
 KANというアーティストをひと言で表せば、独特な感性を持った生粋のエンターテイナーだ。バンドを従えて開催するツアーや自身が出演するライブイベントでは、必ずコスプレをして登場する一方、2005年からスタートさせた弾き語りツアーは、一切の演出を排除し、ピアノと歌でじっくり聴かせる形式で、両極端を併せ持っている。
 割れない数字という縁起にかけて、弾き語りツアーは回数を重ねるごとに素数でナンバリング。今回の「#31」で通算11回目ということになる。ツアータイトルは、自身の公式サイトのウェブ会員から募集し、親交の深い「スキマスイッチ」の常田真太郎(43)と一緒に決めているという。
 02年から2年半、フランスの「エコール・ノルマル・ドゥ・ミュジーク・ドゥ・パリ」のピアノ科へ音楽留学したことが弾き語りライブ開催のきっかけとなった。先生が遅刻したため、待っている間にフランス人と中国人の練習生に「普段日本でやっている曲を聴かせてほしい」とリクエストされたが、適当にごまかしてしまったという。
 「後ですごくダメだなと思って。相手が日本語を分からないとしても、なぜ堂々とやれなかったんだって。それもあって、一人だけでコンサートをやったことがそれまでなかったので、来ていただいたお客さんに納得してもらえるものをやれるようにならないとだめだなと」
 帰国後の05年から「弾き語りばったり」シリーズがスタートした。
 「緊張しないために、お客さんが会場に入ってきたときにはもうステージで練習しています。ピアノがあるだけで、照明を曲によって変えるとか何もしない。完全にそれだけでちゃんとお客さまが楽しんでもらえるかという考えでやっています」
 そのフランス留学から来年で20年となる。今では弾き語りはライフワークのひとつになっている。
 「40歳の時に行きましたけど、弾き語りを始めるきっかけになったことはものすごく大きいですし、演奏に対してものすごく謙虚になりました。クラシックピアノをやり直したことで、それまでいかに手慣れでやっていたか分かりましたね。自分がちゃんとピアノ1個だけでどこにいっても演奏できるアーティストであることを保つためにずっと続けないといけないことだと思ってやっています」
 ツアーは3月6日の山形・長井市民文化会館まで来年は9公演が予定されている。
◇ちゃんちゃんこ回ってくる?
 ○…来年はデビュー35周年で、一般的には節目ともいえるが、素数にこだわるKANは「次に何かやるなら『37』ですね。そのための準備を来年からしなきゃいけない」と語った上で「来年はできるだけ今やろうとしていることをいい状況にして頑張るだけです」とキッパリ。
 また、還暦を迎えることについては「特に(意識は)ないですけど、アーティストの間で回っている赤いちゃんちゃんこがあるらしく、ASKAさんから『KANのところにきっと行くからな』って言われているけど、『僕はいらないんですけど』っていう話を2、3年前にしました」と秘話を明かした。
 ◆KAN 1962年9月24日生まれ、福岡県出身。本名は「木村和(かん)」。87年にアルバム「テレビの中に」でデビュー。90年のシングル「愛は勝つ」は200万枚を超えるセールスとなり、91年の第33回日本レコード大賞(ポップス・ロック部門)を受賞。同年、NHK紅白歌合戦にも初出場した。Mr.Childrenの桜井和寿と親交が深く、桜井らが主催する音楽イベント「ap bank fes」の常連となっている。現在までに35枚のシングルと17枚のオリジナルアルバムをリリース。

関連キーワード

おすすめ情報

購読試読のご案内

プロ野球はもとより、メジャーリーグ、サッカー、格闘技のほかF1をはじめとするモータースポーツ情報がとくに充実。
芸能情報や社会面ニュースにも定評あり。

中スポ
東京中日スポーツ