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【能登半島地震】今も断水5万戸超なぜ 奥能登は集落点在、修繕進まぬ一因に

2024年1月19日 05時05分 (1月22日 22時16分更新)

七尾まで 基幹の送水管復旧に2カ月超

 能登半島地震の発生から2週間余りとなったが、石川県内ではまだ5万戸以上で断水が続く。漏水箇所の特定などに時間がかかり、完全復旧へのめどは立っていない。被災地では給水車による支援が続くが、水不足による感染症のリスクも指摘される。なぜ復旧が進まないのか-。 (田嶋豊、小川祥)
 「地域ごとにインフラの復旧度合いを示し、情報を提供したい」。馳浩知事は16日の対策本部員会議で、被災者の不安を払拭するため職員にそう指示した。
 県は手取川ダムを水源に、総延長約200キロに及ぶ水道を運営し、七尾市以南の9市4町に供給する。13市町のうち内灘町を除く12市町は、県の水道用水供給事業(県水)以外にも井戸水などの自己水源も活用し、住民に供給する。
 県水は基幹水道管「送水管」が根幹を担っており、各戸に届ける枝の管「配水管」は市町が管理する。送水管が復旧しないと、その先の地域全域で給水できないため、県は七尾市まで延びる送水管の復旧に力を入れる。
 地震発生直後、津幡町内で送水管の漏水が判明。金沢調整池-七尾市間の送水を止めた。その後、漏水箇所を確かめながら水を送り、4日までに中能登町の「金丸供給点」までが回復。だが枝管の配水管が損傷しており、内灘町や羽咋市の一部では断水が続く。
 震源地に近づくに従い、埋設された送水管の被害も目立つ。県は漏水場所の修繕を進めながら、金丸供給点から次の「七尾市藤橋供給点」まで、16キロ区間の復旧を進めている。
 送水管はさらにそこから北約10キロ延びており、県は段階的に復旧を進める。県は送水管復旧まで「2カ月以上」との見通しを示すが、配水管の修繕がどこまで進むかだ。
 一方で地理的に離れた奥能登地域は、県水の供給対象外だ。ダムなどを設け、市町が配水している。
 それぞれ多くが独自の水道網を持つが、配水施設への送水管、各戸に供給する配水管など、至るところで損傷があるとみられる。
 水道事業の応急復旧を支援する日本水道協会(東京)によると、特に七尾市以北6市町の被害が深刻だ。陥没した道路や土砂崩れの影響で復旧作業が思うように進んでいない。
 一般的に都市部の水道は、管が網の目のように広がり、ある場所が損傷を受けても他ルートから供給が可能だ。だが家が少なく、点在するような地方では、管が網の目でなく枝葉状なことが多く、ある場所が漏水すればその先全域が断水。修復にも時間がかかる。
 地理的条件などが異なり単純比較はできないが、土木学会の報告によると、約127万戸が断水した阪神大震災では被災から42日後に仮復旧が完了し、90日後に全戸への通水が完了。熊本市を中心に最大44万5800戸が断水した熊本地震では本震から5日後には復旧率が90%を超えている。

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