ランニングをするときは、ランニングシューズが欠かせないけれど、実は最近、あえて裸足で走る「ベアフット・ランニング」に注目が集まっているそう。

そこで本記事では、専門家の知見をもとに、「ベアフット・ランニング」のやり方と人気の秘訣を、<ランナーズ・ワールド>アメリカ版からお届けします。

※体調に異変を感じる方は、新型コロナウイルスを含めた感染症の可能性あるものとして、感染症を拡大させないための行動をとる必要があります。新型コロナウイルス感染症に関する最新情報は、厚生労働省の公式サイトから確認できます。

※また、コロナ禍での運動については、スポーツ庁による「新型コロナウイルス感染対策 スポーツ・運動の留意点と、運動事例について」を確認ください。


【INDEX】


走り方が矯正される

理学療法士でバイオメカニクスの研究者でもあるジェイ・ディキャリーさんによると、ランニングシューズに含まれるクッションがない状態で走ると、地面からの衝撃が直接足に伝わり、歩き方や走り方の偏りなどを発見しやすくなるんだとか。

続けて、「裸足で走ることで、どの筋肉がどう使われているのか、自分の体についてより深く理解できるようになる」と話しているのは、米オレゴン大学で運動生理学とケガの予防を研究しているイアン・クラインさん。

自分の体の癖や筋肉をより強く意識するようになると、ランニングフォームが自然と矯正される可能性もあるのだそう。

「裸足で走ることで、靴を履いているときにはなかった感覚を体が感じ取り、より良いフォームを作ろうと適応するのです」

ただし、長時間裸足で走るのはNGで、短いインターバルを数回行うのが最適とのこと。新しい感覚をインプットさせることが大切なため、長時間繰り返すと感覚が鈍り、体にしみついた元の走り方に戻ってしまうのだそう。

オーバーストライド

一歩あたりの幅が大きくなりすぎて上半身が後ろに残ってしまう、「オーバーストライドというランニングフォームも、裸足で走ることで改善される可能性が。

というのも、このランニングフォームが体に与えるダメージは、クッション性に優れたスニーカーを履いているとごまかされてしまうからなのだとか。このフォームのまま裸足で走ると、腰や膝、足首の関節にどれだけ負担がかかっているか、しっかり実感できるとのこと。

2019年に行われた「Journal of Sports Science and Medicine」の調査によれば、日常的にランニングを取り入れている人のケガの原因の約3割は膝の負担からくるものだということが判明しています。

「裸足で走ることで、最適な歩幅のランニングフォームが定着し、オーバーストライドも改善されます。そうすれば、膝の痛みを37%まで軽減できるかもしれないのです」

プロネーション

着地する際のかかとの傾きと、走行中の足の傾きを指す「プロネーション」。かかとが内側に傾いたり、外側に沿ったりと、プロネーションが乱れてしまう人は、裸足で走ることで、自分の体重移動を確認しやすくなるのだとか!

「ベアフット・ランニングをすることで、自分の体重のかけ方を感覚的に確認することができます。ランニングシューズを履くとその感覚は鈍りますが、裸足で走った時に感じた重心の偏りは、体が覚えるのです」

オーバープロネーションやアンダープロネーションの癖を残したまま走ると、足底筋膜炎、膝の外側にあるITバンドの炎症、梨状筋症候群 、 脛骨過労性骨膜炎、そして疲労骨折に繋がる可能性も。

「ベアフット・ランニング」の取り入れ方

場所

裸足で走ったことがない人は、まずは芝生の上で走ることから始めるのがオススメ。コンクリートなどの固い地面の上を走ることもできますが、クッション入りのランニングシューズに慣れている場合、急に固い地面の上を走るとケガに繋がります。芝生のほかにも、断面が比較的柔らかく、ゴミなどが落ちている心配がない陸上トラックの断面も◎。

childs feet running on grassy lawn
WIN-Initiative//Getty Images

タイミング

クラインさんは、軽いワークアウトをした後のベアフット・ランニングを推奨。

「大切なのは、筋肉がイキイキとしている状態で行うこと。体が疲れている状態だと、正しい動きができなかったり、筋肉の動き方に意識を向けることが難しくなってしまいます」

一方ディキャリーさんは、本格的なランニングをする前がオススメとのこと。その方が、筋肉を活性化することができるのだとか。

「べアフット・ランニングを少し行った後、ランニングシューズを履いて、長距離のランニングをオススメしています」

長さと頻度

40~60メートルを1回とし、それを4~8回繰り返すのが、妥当なベアフット・ランニングの方法だそう。それを週に2回程度の頻度で行うことで、徐々に自分に合ったランニングフォームが作られて、体が覚えていくのだとか。

注意点

ケガを防ぐためにも、自分の筋力や靭帯の強さ、関節の状態などをチェックし、少しずつ行っていくことが重要なのだそう。

普段からあまり運動をするほうではなく、筋力に自信がない人は、裸足で歩くことから始めて、徐々にスピードを上げていくのが最適かも!

※この翻訳は抄訳です。

Translation: ARI

Runner's World