「農業用ビニールハウスの巻取り軸が早く錆びてしまう…」
それは、”犠牲防食反応の逆転現象”が発生しているからかもしれません。
今回は、”犠牲防食反応の逆転現象”という比較的珍しい現象について解説します。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は金属製品を使用する際に身近で起きている現象です。錆対策につながる情報ですので、ぜひご参考にしてください。
”犠牲防食反応の逆転現象”をわかりやすく解説
”犠牲防食反応の逆転現象”とは、鉄を守る筈の亜鉛メッキが、逆に鋼鉄の腐食を進行させてしまう現象のことです。
言葉の意味を分解して、1つひとつ確認していきましょう。
”防食”とは何か
”防食”とは一言でいえば、腐食を防ぐ手段のことです。金属が腐食すると表面が損耗し、強度や美観が損なわれる為、安全/安心して使用できなくなってしまいます。
腐食という現象が起きた結果として錆が発生することから、メッキパイプを長期間にわたって安全/安心に使う為には、いかに腐食を防ぐかが重要となります。
“犠牲防食”とは何か
“犠牲防食”とは、物質の化学的な特徴を活用した腐食を防ぐ方法です。
通常、亜鉛メッキを施された鋼鉄が、表面に何も施されていない裸状態の鉄よりも錆びにくいことはイメージしやすいのではないでしょうか。
これは、亜鉛が鉄よりも先に溶け出す、すなわち亜鉛が犠牲となることによって、電気化学的に鉄の表面を保護し、腐食を防いでいるのです。
“犠牲防食”についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
ブログ:犠牲防食とは亜鉛と鉄の弁慶/牛若丸な関係?!亜鉛メッキのユニークな強味。
”犠牲防食反応の逆転現象”とは何か
”犠牲防食反応の逆転現象”とは、チョッとムズカシイですが一言でいうと、本来鋼鉄を保護する役割の犠牲陽極となる筈の亜鉛メッキが、逆に被保護陰極である鉄の腐食を進行させてしまう現象のことです。
一般的に、亜鉛メッキは耐食性に優れており、紫外線や雨風といった厳しい環境下でも比較的良好な防食性能を発揮します。
しかし、特定の条件下、特に高温多湿な環境においては、亜鉛メッキの防食性能が低下してしまう場合があります。
これは、高い気温や湿気によって亜鉛メッキ表面に形成される水分や酸化物が、亜鉛メッキ層の物理的な特性や電気化学的な性質を変化させてしまう為です。
”犠牲防食反応の逆転現象”の問題点
”犠牲防食反応の逆転現象”の問題点は、犠牲陽極として機能する筈の亜鉛メッキと、保護される鉄鋼の極性が逆転し、鉄が陽極になって先に腐食し、保護すべき鉄が守られないことです。
この現象が発生すると、強度を保つための鉄の錆の発生がより早く進行し、安全/安心してメッキパイプが使えなくなってしまいます。
”犠牲防食反応の逆転現象”が発生しやすいのは、前述のとおり、高温多湿な環境下においてです。
高温多湿な環境下では、亜鉛メッキ層の酸化亜鉛(ZnO)や水酸化亜鉛(Zn(OH)2)が生成されやすくなります。こうなると物質の状態が不安定となり、結果として亜鉛メッキ層が鉄を攻撃する因子にもなってしまうのです。
高温多湿の環境って具体的にどんな環境?
それでは、高温多湿の環境とは、具体的にどのような環境でしょうか。
典型的な例としてあげられるのが、農業用ビニールハウスの巻取り軸の巻取ったシートと軸の接触部です。シートや巻取り軸を濡れた状態で巻き上げて、巻取り軸表面に水が溜まった状態にしておくと、夏場の屋外では温度が100℃近くまで上がる場合があります。
このような状態になると、”犠牲防食反応の逆転現象”が起こりやすくなります。
”犠牲防食反応の逆転現象”から鋼鉄を守るためには?
メッキパイプの使用環境を、常に最適な条件になるよう完璧にコントロールすることは現実的に不可能です。それでも、”犠牲防食反応の逆転現象”から可能な限り鉄を守る方法はあります。こちらの項では、対策方法をお伝えします。
追加の防食対策を講じること
1つ目は、追加の防食対策を講じることです。
具体的には、亜鉛メッキ層の保護や補修/湿気や酸化物の除去/適切な塗装やコーティング等が挙げられます。
高耐食加工を施した製品を使用する
2つ目は、高耐食加工、すなわち金属が腐食しにくくなる加工を施した製品を使用することです。
市販されている製品の中には、高耐食加工された様々な商品が販売されています。耐食性が高くなるほど価格も上がる傾向にありますが、錆びにくい分だけ、頻繁に買い替える手間を削減できる為、長期的に見ればトータルでコストメリットがあります。
高耐食に自信アリ!当社のオススメ製品“スーパーカラー”
当社では、”犠牲防食反応の逆転現象”が起こる可能性を見越して、高耐食加工したメッキパイプも製造/販売しております。
“スーパーカラー”は、農業用ビニールハウスの巻取り軸としての使用を想定し開発されたパイプです。
巻取り軸に錆が発生しやすいのは、パイプの使用環境が太陽光や雨/雪にさらされて高温多湿になりやすい、すなわち”犠牲防食反応の逆転現象”が発生しやすい条件である為です。
“スーパーカラー”は、当社独自の製法で作ったパイプであり、従来品に比べ3倍以上の耐食性を持ちます。腐食に強い理由は、原材料と表面の加工にあります。“スーパーカラー”はZ18相当の溶融亜鉛メッキ鋼板を使用し、内外面の両方に厚く亜鉛メッキを施すことで、高い防錆効果を実現しています。
さらに、粉体塗装の中でも難しいと言われている”ポリエステルコーティング粉体塗装”を内外面共に塗布し、強力な防錆力を保てるようにしています。このように、豊富な亜鉛とコーティングを重ねる工夫によって、”犠牲防食反応の逆転現象”が発生するのを防ぎます。
腐食に強いパイプをお探しであれば、ぜひ当社の“スーパーカラー”をお試しください。
まとめ
今回は、”犠牲防食反応の逆転現象”と、それに力強く立ち向かう当社のパイプ、”スーパーカラー”についてご紹介しました。
高温多湿な環境下では、この現象が特に起こりやすいです。その為、環境に注意を払ってご使用いただくことに加えて、当社の”スーパーカラー”のような高耐食加工を施した製品をお使いいただくことをオススメします。
本文中で紹介した“スーパーカラー”のお見積もりは無料で承っておりますので、以下のお問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。担当から折り返しご連絡させていただきます。ご質問やご相談についても喜んで承りますので、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき感謝申し上げます。当社では引き続き、皆さまの"為になるお役立ち"に繋がる情報発信を続けて参りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。ありがとうございました。
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