ヒートアイランド現象

ヒートアイランド現象と地球温暖化は違うのですか?

 人間活動が原因で気温の上昇をもたらすという点では同じですが、その仕組みや現象の規模は全く異なっています。

 ヒートアイランド現象は、人工的な構造物や排熱を要因として気温が上昇する現象で、その広がりは都市を中心とした限定的なものです。


    図1 ヒートアイランド現象の仕組みの概念図

 一方、地球温暖化は、大気中の二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることを要因として気温が上昇する現象で、その広がりは地球規模です。


    図2 地球温暖化の仕組みの概念図

 気象庁は、全国で約150地点の気象台や測候所、特別地域気象観測所において気温等の気象観測を実施しており、ほとんどの観測所で長期的な気温の上昇が確認されています。この長期的な気温の上昇には地球温暖化が影響していますが、都市では都市化による局地的な気温の上昇が加わっていると考えられます。

 図3は、東京、名古屋、大阪といった大都市及び都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点 (注) それぞれで平均した年平均気温偏差並びに日本近海の海域を平均した年平均海面水温の長期的な変化を比較したものです。これら15地点でも都市化の影響が全くない訳ではありませんが、15地点平均の気温の上昇率は、日本近海の海面水温の上昇率と同程度の値であり、地球温暖化による影響を反映しているものと考えられます。一方、都市部の気温は、地球温暖化の影響に都市化によるヒートアイランド現象が加わり、全国平均を上回る割合で上昇しています。

    (注)全国の地上気象観測地点の中から、観測データの均質性が長期間確保でき、かつ都市化等による環境の変化が比較的小さい地点から、地域的に偏りなく分布するように選出した、網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島です。



    図3 東京・名古屋・大阪の3都市平均と都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点平均の年平均気温及び日本近海で平均した年平均海面水温の長期的な変化

    東京・名古屋・大阪の3都市平均(赤線)、都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点平均(黒線)の年平均気温の偏差(1901~1930年平均からの差)及び日本近海の海域で平均した年平均海面水温(水色線)の偏差(1901~1930年平均からの差)の時系列。1901年から2022年まで。東京、大阪及び都市化の影響が比較的小さいとみられる15地点中の2地点(飯田、宮崎)は観測所の移転に伴い移転前のデータを補正している。また、日本近海における年平均海面水温の偏差は、「海面水温の長期変化傾向(全海域平均)」のデータを用いて作成している。

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