三権分立とは?国会・内閣・裁判所の役割を解説します!【中学公民|高校入試頻出】

更新日:2024/04/23

公民の政治分野の中でも少し複雑に感じやすい三権分立。聞きなれない言葉も多く、覚えづらい単元でもあります。しかし中身はとても重要で、テストや入試でも出題されることも多いです。
各機関の役割や性質を覚えてしまえば、難しくはありません。この記事を最後まで読んで、三権分立について完璧に答えられるようにしていきましょう!

目次

三権分立とは?

三権分立とは、国の権力をいくつかに分立させる「権力分立」のうちの1つの形態です。
そもそもなぜ権力は分立させなければならないのでしょうか?権力が一つにまとめられている国を考えてみましょう。

16世紀~18世紀のヨーロッパに見られた「絶対王政」を思い出してみるとイメージしやすいです。国王や皇帝(以下、国家元首)1人がすべての権力を持っている場合、国家元首が国民を想うとても良い人であれば、良い国となるかもしれません。しかし、自分のことだけを考えるような国家元首であればどうなるでしょうか。国民に重い税を課したり、国家元首にとって都合の良い法律を作ったりするかもしれません。このように、権力が1か所に集まっている場合、国民の権利が侵されてしまう可能性があります。そのため、権力をいくつかに分立させることで、お互いを監視し、国民の権利を守る仕組みが必要なのです。

日本の場合は権力分立の中でも「三権分立」という、権力を3つに分ける仕組みを取り入れています。

三権分立を担う機関

三権とは、「立法権」「行政権」「司法権」の3つを指します。これらの権力をそれぞれ担うのは「国会」「内閣」「裁判所」となっています。

立法権を担う国会

立法とは法律を作ることを指します。憲法第41条には「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と書かれています。つまり、国会は主権を持つ国民の代表者の集まりであるため、国家権力の「最高」機関であり、日本で唯一法律案の審議・作成ができる機関であるということがわかります。

行政権を担う内閣

行政権とは国の仕事を進めることを指します。憲法第65条には「行政権は、内閣に属する。」と書かれていて、行政の最高機関とされています。首長である内閣総理大臣とその他の国務大臣で組織されます。

司法権を担う裁判所

司法権とは、法律に基づいて争いごとを解決することを指します。憲法第76条1項には「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。」と書かれています。このことから、日本では司法権を持つのは裁判所であるとわかります。

ポイント

立法権→国会
行政権→内閣
司法権→裁判所

これらの3つの機関がお互いを監視することで、1か所の権力が大きくなりすぎないようにしています。

三権分立の中での役割

ここからは、3つの機関それぞれがどのようにして互いに抑制し、均衡を保っているのかを見ていきましょう。

裁判所

裁判所は先ほど書いたように、法律に基づいて争いごとを解決しています。
裁判所は国会の法令や、内閣による行政処分が「憲法」に違反していないかを、具体的な事件の裁判を通して審査することができます。これを「違憲審査権」と言います。
憲法では国民の権利・自由を保障していますね。この憲法に違反している法律や国の施策は進めることはできません。裁判所は国会や内閣がきちんと国民の権利を守っているかどうかを監視しているのです。
すべての裁判所がこの違憲審査権を有しています。特に、最高裁判所は最終的な違憲判断を下すことから「憲法の番人」とも呼ばれています。

国会

次に国会についてみていきましょう。国会が裁判所に対して行えるのは「弾劾裁判所の設置」です。裁判官としてふさわしくない人がいた場合、国会は弾劾裁判所を設置して、裁判官をやめさせることができます。衆参両院7人ずつの計14人の議員で構成され、審議を行います。これまでに7件辞めた例があります。

一方、国会が内閣に対して行えるのは内閣総理大臣の指名と内閣不信任決議です。内閣の首長である内閣総理大臣を、国民によって選ばれた国会議員の中から指名します。また、内閣の行政がきちんと行われていないと国会が判断すれば、衆議院で内閣不信任決議が行われます。

内閣

最後に内閣についてみていきます。内閣が裁判所に対して行えるのは「最高裁判所長官の指名」と「(最高裁判所の)その他の裁判官の任命」です。最高裁判所長官を任命するのは天皇ですので、最高裁判所長官に対しては「指名」となる点に注意しましょう。裁判官を任命するのは内閣で、弾劾する(辞めさせられる)のは国会であることもしっかり覚えておきましょう。

一方、内閣が国会に対して行えるのは国会の召集の決定と衆議院の解散です。国会は内閣の総辞職を求めることができますが、その際には内閣は国会に対して衆議院の解散を求めることができるのです。

不信任決議が可決された内閣は、「総辞職」か「衆議院の解散」を選ぶことになります。総辞職する場合は、臨時国会にて新しく内閣総理大臣が指名され、組閣されます。衆議院を解散させる場合は、総選挙がおこなわれたのちに特別国会が召集され内閣が総辞職し、新たに内閣総理大臣が指名され、組閣するという流れになります。どちらにしても不信任決議がなされた内閣は総辞職することになります。しかし、衆議院解散後の総選挙で国民の意思を問い、当選することができれば再度政権を握ることができます。
否決されることが圧倒的に多い不信任決議ですが、過去に可決されて衆議院が解散されたことが4回あります。そのほとんどは党内分裂が背景にありました。

三権分立を図で確認

ここまで文章で解説してきましたが、以下のような図で整理しておくとわかりやすいでしょう。時間があれば自分なりに図としてノートにまとめてみてください。どの機関がどのような働きをして、三権分立が成り立っているのかがわかってくるはずです。

三権分立と国民

三権分立についてその機関と役割についてはここまでで整理できましたね。では最後に、この三権と国民がどのように関わっているのかを確認していきます。

国会と国民

国会に対して国民は選挙という形でかかわっています。国民が直接選んだ国会議員で国会が構成されているからこそ、先ほど挙げた憲法第41条でも「国会は、国権の最高機関であつて」と書かれているのです。国民の意思が直接反映される場所として重んじられていることが分かりますね。

内閣と国民

内閣に対しては特別な制度はありませんが、内閣総理大臣と国務大臣の過半数は国会議員から選ばれるため、ここにも選挙の影響があります。また、世論の形成によって国民は内閣に影響を及ぼしています。 内閣支持率という言葉を耳にしたことはありませんか?内閣は支持率をはじめとした世論を聞きながら政治を行わなければ国民の信用を失い、次の選挙での当選や政権維持が難しくなることがあります。

裁判所と国民

裁判所に対して国民は「国民審査」をしています。最高裁判所の裁判官に対して、任命が適任かどうかを判断する機会が設けられています。最高裁判所の裁判官は、就任後最初の総選挙と、前回の審査から10年後以降に行われる総選挙のときに、国民の投票によって審査を受けます。しかし、適切でないと思う人の欄に「×」をつけるという形式的なものや、国民の関心の低さから、これまでに国民審査でやめさせられた裁判官はいません。

国民と三権についてまとめるとこのようになります。三権分立の基本構造が覚えられたら、国民とのかかわりについても追加して覚えていきましょう。

三権分立は国民を守るための仕組み

国は大きな力を持ちますが、それが国民を苦しめることのないように、正しく国を統治するための仕組みとして三権分立があります。
2023年現在、選挙権年齢は18歳からですので中学生はまだ参加できません。ですが、政治の仕組みを理解すること、政治に対して自分の意見を持つことは今からでもできること。これからの日本を作っていく若年層が、選挙に行って自分の意見をきちんと国に伝えることが大切になっていきます。いざ選挙権を得た時に困らないよう、今のうちから政治について、社会について知識をつけていきましょう。

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