記事のポイント

  • 南極大陸付近で40年近く停滞していた世界最大の氷山が、ウェッデル海から移動を始めています。
  • 氷山は、南大西洋海流域の「アイスバーグアレー」に向かっているようです。
  • アメリカのロードアイランド州(およそ 4000平方キロメートル)ほどの大きさの氷山について、世界がその動きを注視しています。

世界最大の氷山は
どこへ行くのか

巨大な氷山が流れ込む場所として知られる(カナダ東部ニューファンドランド・ラブラドール州フェリーランド周辺海辺)「アイスバーグアレー」ですら、こんなものは見たことはないでしょう。現在、世界最大の氷山とされている「A23a」が動き出し、南極大陸の北側を自由に漂っているとのことです。

「A23a」はアメリカのロードアイランド州とほぼ同じ大きさで、ニューヨーク市のおよそ3倍の大きさに及びます。そんな巨大氷山が間もなく南極環流に乗り、南極海の「アイスバーグアレー」に突入する可能性があるため、世界の専門家が注視しているところです。なぜなら、その行き着く先は予測できないからなのです。

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英国南極観測局の氷河学者オリバー・マーシュ氏は、ロイター通信に次のように語りました。

「この規模の氷山は、温暖な南極海でもかなり長い間残る可能性があり、さらに北上して南アフリカまで到達し、海運を混乱させる可能性があります」

厚さ1300フィート(約400メートル)の「A23a」は、1986年に西南極のフィルヒナー・ロンネ棚氷から分離した後、近くのウェッデル海の海底に固定されました。そこで40年近く動かずにいましたが、1年以上かけてようやく動き出し、急速に移動を始めました。すでに、南極半島の北端を越えています。

英国南極観測所のリモートセンシング専門家であるアンドリュー・フレミング氏はBBCに、「『A23a』はこれまで固定の要因となっていたものがなくなり、動き出すのに十分な大きさまで小さくなったに違いありません。ちょうど『その時が来た』ということになります」と説明しています。

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またマーシュ氏は、「時間が経つにつれて氷がわずかに薄くなり、浮力を得て海底から浮き上がり、海流に押し流されるようになったのでしょう」と話します。

「A23a」が速度を上げている現在、南アフリカの航路をはじめ、氷山の行き先にはさまざまな可能性があります。もしアザラシ、ペンギン、海鳥の生息地として知られるサウスジョージア島に向かえば、浅い大陸棚に着底、もしくは最悪の場合は島と衝突するかもしれません。ですが、「南極大陸付近に留まる可能性のほうが高い」とも考えられています。

また、このようなことが起こらず「A23a」が途中で分裂を始め、最終的には野生生物や海運への脅威とならない可能性も…。世界最大の氷山がもたらす潜在的な影響を、科学界はなおも追跡調査しています。

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World's largest iceberg on the move from Antarctica
World's largest iceberg on the move from Antarctica thumnail
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Translation & Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Popular Mechanics