ニューアルバム「OVER THE 9」（22年11月リリース）をひっさげての全国ツアー「KIKKAWA KOJI LIVE 2022-2023“OVER THE 9”」（～23年2月）、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ！』への出演－－。
これに続き、2023年8月から9月にかけて豪華ミュージシャン参加によるライブ「KIKKAWA KOJI Premium Night 2023 “Guys and Dolls”」の開催や、7月クールのTBSドラマ『トリリオンゲーム』への出演など、吉川晃司は音楽活動・俳優活動の両面において充実した活躍を見せている。
やっておきたい
Жここ数年、特に、自分にも周囲にもいろいろなことがありましたからね。いつまでステージに立てるのか、といったことを考えさせられる機会がどうしても増えたんです。だから、やれることを、やれるうちにやっておきたい。一緒にやりたいミュージシャンたちとも「また、いずれ」とか言っているうちに時間は過ぎていきますからね。僕だけじゃなく、周りにもそういう思いを持っている人が多くなったと思います。
2月までやっていたツアーにしても、純粋に楽しかったんですよ。サポートメンバーのみんなも、なんだか気合いの入り方が違っていました。それぞれ、ステージに立ちたくても立てなかった時期がありましたから……。まだコロナ禍も完全に終わったわけじゃないけど、一時期に比べたら状況も少しずつ良くなってきて、日本武道館のファイナル２日間は久しぶりに声出しもOKだったので、客席のみんなも心から喜んでくれているのが、ステージから見ていてもわかりました。本人たちに、そのときの自分の表情を鏡で見せてあげたいくらいですよ。何も考えず、夢中でライブを楽しんでくれている顔でしたЖ
一方、近年は俳優としての出演作も増えており、ドラマや映画から「吉川晃司」という存在に興味を抱いて、やがて歌手・吉川晃司のことを知ったという人も少なくないそうだ。
もともと主演映画の公開とデビューシングルのリリースがほぼ同時だった吉川だが、活動の軸は常に音楽に置いてきた。とはいえ、俳優としての仕事も決して「余技」ではない。そのことを端的に示すエピソードがある。
Ж 最初に大森一樹監督とやった「民川裕司三部作」（※）の頃からそうなんですけど、僕は危険なシーンでも、できるだけ自分でやらないと気が済まないんですよ。だから、役で必要となれば、バイクの訓練をしたり、流鏑馬に挑戦してみたり、最近では（スキューバ）ダイビングも始めましたЖ
（※）『すかんぴんウォーク』『ユー☆ガッタ☆チャンス』『テイク・イット・イージー』
学生時代、吉川が水球で日本代表に選ばれたことは有名だ。その抜群の運動神経と身体能力が、アクション映画や時代劇などで活かされた。
Жバイクのときは骨折したけど、そのままの状態でツアーもやりました（笑）。流鏑馬も、時代劇の撮影が終わった後も続けたかったんですけど、危険だから、50代から始める人なんていないらしいんです。年齢的に、昔よりも骨折が治りにくくなってきたのも感じていたので、残念ながら諦めて……。
ただ、このときにお世話になった「弓馬術礼法小笠原流」の方々には感銘を受けたので、いまも弓術（弓道）は続けています。それから、ダイビングにも新鮮な驚きがありました。水には昔から慣れ親しんでいたし、素潜りで漁をやっていたこともあるけど、漁とダイビングはまた全く違うんですЖ
Ж潜っていると、時間の観念が飛びますね。ゆっくり時間が流れている感じで……。そういえば、200ｍ防水仕様のG-SHOCKもあるとうかがったので、今度、買わせていただこうと思っています（笑）。
ハンマーヘッドシャークの大群と出会ったりすると、興奮しますよ。ただ、びっくりするのは、地球温暖化の影響が、もう如実に出てきている。日本で少し前までは沖縄あたりまでにしかいなかったはずの魚が、東京湾にいたりするんです。冬も水温が下がらないから、海藻が育たない。それで貝類がいなくなり貝を食べる魚もしかりで、漁師さんたちは困っている。……そういう問題も見えてきて、考えさせられますね。
弓に関しては、もう4～5年ほど「小笠原流」の門人として稽古を続けていますけど、まだまだ奥が深いですね。先輩にあたる方々は、みなさん「立ち姿」からして美しいんです。余計な力が一切、入っていない。僕は、いろいろな意味を込めて「しなやか」でありたいとよく言うんですが、弓術を続けることで、その理想に近づいていきたいと思っていますЖ
弓やダイビングにとどまらず、日々のトレーニングにも余念のない吉川だが、学生時代からそんな日々を送っている本人にとっては、何も特別なことではなく、それが「日常」なのだという。鍛え抜かれた肉体が、いまや吉川の代名詞ともなっている「シンバルキック」をはじめとするステージパフォーマンスを可能にしている。
しかし吉川は、見た目の「若さ」には全く、固執していない。
Ж僕がひねくれているのかもしれないけど（笑）、「いつまでも若いですね」とか言われてもうれしくないんですよ。「若い」は「愚か」と同義語だと思っているし、若い＝美しいとも思わない。ちゃんと年相応の知恵をつけて、シワを刻んで、その人の「生きざま」が見える顔こそが、いちばん美しいんじゃないか。
それこそ、素晴らしいミュージシャンのシワにレコード針を落としたら、良い音が出そうな気がするんですよ。自分も、そんな顔になっていきたいですねЖ
Жもちろん、老いには残酷な面もあって、たとえば動きなんかはどうしても、昔よりはカタくなってきたりしている。骨折が治りにくくなったのと一緒ですね。ただ、それを自分なりに他のことでカバーしていくことはできる。たとえば歌は前より上手くなっていると思うし、総合力としては、いまが全盛期だなと。
それぞれ、仕事によっても全盛期は違いますよね。アスリートだと、種目にもよりますけど、だいたい20代から30代。ミュージシャンの場合は、たとえばスピード的な部分が加齢で衰えても、それを経験や技術でカバーして、味が出てくる。だから、50代から60代でピークを迎えられるんじゃないかと、個人的には思っていますЖ
いわゆる「円熟」ということだろうか。しかし「熟」はともかく「円」……「丸くなる」という感覚は、本人の辞書にはないようだ。
Ж歳をとることと「大人になる」ってことはまた、僕の中では違うんですよ。知識を増やしたり、人間として大事な礼節を学んだりすることは大事だけど、悪い意味での「大人の事情」とか、「長いものには巻かれろ」的なことは大嫌いでね（笑）。
おかしいと思ったことはおかしいと言い続けられる自分でありたいんです。そうやって生きてきたから、ぶつかってばかりの人生ですけどね（笑）。それでも、自分の信念というか、物差しはこれからも変えないと思いますЖ
ひとりのエンターテイナーとしての意識に大きな変化が生じたのは、東日本大震災がきっかけだった。
Жコロナも大きかったけど、やっぱり僕の中では震災ですね。被災地へ行って、いろいろな方と触れ合ったりする中で、自分という人間に何ができるのか、ということをあらためて考えさせられました。そこからは、アーティストとしてのエゴのようなものにあまりこだわらなくなった。ファンの人たちが喜んでくれることを、何よりも優先で考えるようになりました。余計な力が抜けたというか……それは俳優の仕事でも言えると思います。
そこへきて、コロナ禍があって、個人的には心臓手術も経験しました。われながら「いろいろあるなぁ」とは思いますが（笑）、結果的には手術をしたことで得たものも多かった。コロナでいえば、確かにこの3年くらい、失われたものもたくさんあるんですけど、そんな時期を経て、たとえば僕らミュージシャンは音楽への思いがより深まった気がしますし、一緒にやる仲間たちとの絆も強くなりました。悪いことばかりじゃなかった、と思いたい。
世の中全体は、まだまだ明るい話題が少ないですけどね。良い方向へ進んでいってほしいし、そこで自分が誰かの力になれるような存在でいられれば、とてもうれしいですЖ
Model /
KIKKAWA Koji
吉川晃司（キッカワ コウジ） アーティスト・男優。1965年8月18日生まれ、広島県出身。B型。シングル「モニカ」で歌手デビュー。アイドルとロッカーの間的な立ち位置で当時、若い男女に強く支持された。1989年にはギタリスト･布袋寅泰とロックユニット･COMPLEXを結成。1992年再びソロに戻り、以後、コンスタントに作品のリリース及び全国ツアーを行っていく。近年は役者としても活躍中で、2020年に関西テレビ制作・フジテレビ系列で放映されたドラマ『探偵・由利麟太郎』では主演を演じ、横溝正史原作の名探偵を見事に演じる。現在、U-NEXTで配信中。直近では、TBS系列の7月期 金曜ドラマ『トリリオンゲーム』に出演。また、8月2日（水） DVD＆Blu-ray『KIKKAWA KOJI LIVE 2022-2023 “OVER THE 9”』発売。8月4日（金）広島上野学園ホールを皮切りに、KIKKAWA KOJI Premium Night 2023 “Guys and Dolls”がスタート。
公式サイト
Photograph / Hiro Kimura
Styling / Ryo Kuroda
Hair & Make-up / ShinYa
Interview Text / Kuninori Mochida
G-SHOCKの最上級ライン「MR-G」シリーズから、2022年3月に登場した「MRG-B5000」それは1983年にその歴史の第一歩となった初代モデル「DW-5000C」の角型デザインを引き継ぎながら、熟練の研磨と先端素材を用いた上質な輝きと風格が漂う耐衝撃ウオッチです。
それは“強さ”ばかりでなく“美しさ”も、そして“精度”までも追求する…卓越した存在価値を目指す腕時計－－まさにG-SHOCK最高峰の誇りを持った「MR-G」。そこには一切の妥協も、一瞬の揺らぎも見受けられない…まさに、1984年のデビュー以来進化し続ける吉川晃司さんの生き様と重なります。
とは言え両者は、互いのブラインドサイドでは刻苦奮闘の日々を過ごしているに違いありません。そんな崇高なる2つの気概はこの撮影で溶け合い、そのうえシナジー効果も加わってさらなる高みへ――。まさに「威厳」とも言える、誇り高き存在感が放っていました。
初代G-SHOCKのDNAを継承しつつ、G-SHOCKブランドの最高峰としてこだわりをどこまで極められるか？ その過酷なテストの現場を、この動画で確認してください。
通常は一体成型されるベゼルを、このモデルは25ものパーツに細分化されています。そして、それらを継ぐことで強さと美しさを兼ね備えながら、緻密な研磨によって高次元の輝きを実現している…そんなCASIOのクラフトマンシップと、常に最先端を突破しようと邁進し続ける卓越したテクノロジーの現場をぜひ目撃してください。
●お問い合わせ先
カシオ計算機お客様相談室
TEL 0120-088925
公式サイト
Web Direction & Product Text/ Kazushige Ogawa（HDJ）
