サカナクションはどれくらい“天気”について歌っているのか? 楽曲ごとの天候を調査
イメージ画像

サカナクションのニューアルバム『834.194』が発売された。6年ぶりとなる待望のアルバムということもあり、今頃ファンの方々は狂喜して聴いていらっしゃることかと思う。


もちろん、私もそんな大喜びしているうちの一人なのだが、今回アルバムが発売されるにあたってひとつだけ、サカナクションファンの積年の疑問を解消したいと考えた。

そう、それは「サカナクション、天気について歌いすぎではないか」問題である。

何の話かと思われる方もいるかもしれないが、サカナクションの歌詞では天候・気候に関する言葉が頻出する。例えば「Ame(A)」「あめふら」など、タイトルに雨が入っている曲だけでもいくつかあるほか、「多分、風。」「陽炎」のように自然現象に関するタイトルも多い。また、これはタイトルだけではなく歌詞にも多い傾向があるように思う。

というわけで、今回はそんなファンとしてのなんとなくの実感を検証するため「サカナクション、どれくらい天気について歌っているのか」を調べていきたい(対象曲は新アルバム初収録の曲とインストを除いた全73曲とする)。


サカナクション、どれくらい天気について歌っているのか


まずは、サカナクションの歌詞のうち、天気に関する単語が出てくる曲がどれくらいあるのかを見てみよう。

今回は厳密な調査にすべく、気象庁が発表している「天気種類表」に含まれる国内の主な天気15種類を対象とした。その結果が以下である。
サカナクションはどれくらい“天気”について歌っているのか? 楽曲ごとの天候を調査
サカナクション、どれくらい天気について歌っているのか(C)エキサイト

天気について歌っている:26.0%
天気について歌っていない:74.0%

結果としては、大体4曲に1曲は天気についての単語が出てくるようである。これを多いと感じるか、少ないと感じるかは人によるかと思うが、個人的には「割と多いな」というのが率直な感想だ。

4曲に1曲ということは、およそアルバム1枚につき、少なくとも2-3曲は天気の話が出てくるということであり、なかなか調査のしがいのある頻度といえよう。

サカナクション、どの天気について一番歌っているのか


では続いて、どの天気について歌っているのかを見ていこう。これについても、分類は先ほどと同じ、気象庁による天気種類表をもとに見ていきたい。

サカナクションはどれくらい“天気”について歌っているのか? 楽曲ごとの天候を調査
サカナクション、どの天気について一番歌っているのか(C)エキサイト

快晴:0回
晴:1回
曇:3回
霧:9回
雨:24回
にわか雨:1回
雪:10回
雷:1回

結果を見ると、全体的に天気が悪い。天気の中で最も多かったのは冒頭でも触れた「雨」で、その中でも最多の曲は2ndアルバム『NIGHT FISHING』に収録されている「雨は気まぐれ」である。

<雨は気まぐれ/心変わりはこの雨のせいだとして/雨は気まぐれな僕のようで>というサビだけでもかなり雨を前面に打ち出しており、雨の全盛期である今の季節に聴いてもらいたい1曲だ。

また、珍しい天候としては「霧」が挙げられるだろう。これは10thシングル「さよならはエモーション」で特に集中的に歌われており、その名の通りエモーショナルな霧の曲でもあるので、ぜひ霧に遭遇した際にはこの曲を思い出していただければと思う。

唯一「晴」について歌っているのは、意外にもシングル「セントレイ」のカップリング曲である「Ame(A)」。
タイトルからして雨の曲というイメージがあるが、実際その通りで、晴について歌っているのは<きっと僕が何も言えないのは/この雨のせいで/雲が晴れる前に言い訳しておくんだ>というフレーズのみとなっている。

そのため、事実上ほぼ雨の曲といっても過言ではないのだが、他のサカナクションの曲に比べると一応このあと晴れそうな空気が漂っているため、サカナクション唯一の“晴れ曲”としてここでぜひ紹介させて欲しい。

サカナクション、特に天気が悪い曲はどれなのか


では、全体的に天気の悪い曲が多いサカナクションだが、特に天気が悪い曲はどれなのだろうか?
サカナクションはどれくらい“天気”について歌っているのか? 楽曲ごとの天候を調査
サカナクション、特に天気が悪い曲はどれなのか?(C)エキサイト

なんてったって春:雨、風、雷
スローモーション:雪、雨
アイデンティティ、あめふら、壁:雨、風
ライトダンス、ワード:曇、風
明日から:雨、霧

最も天候が激しいのは「なんてったって春」。タイトルにふさわしい結果と言えるが、<今年始めの春の雷がサヨナラ告げた>という、かなり穏やかでない天候からスタートする1曲である。

北海道出身で知られるサカナクションだが、意外にも雪の曲は少なく「スローモーション」と「ネイティブダンサー」の2曲のみ。そのうち天候が悪そうなのは<降り落ちる雪はスロー/少し黙って僕はそれを見てた>から始まるスローモーションで、雪景色の中でもの思いにふける様を描いた名曲である。

サカナクション、どれくらい夜に思いを馳せているのか


では最後に、天候以外のサカナクションの歌詞を見てみよう。
今回調べた上で特に多かったのは時間帯に関する言葉である。

これについては結果を見るのが一番早いと思うので、どういうことかを見てみよう。
サカナクションはどれくらい“天気”について歌っているのか? 楽曲ごとの天候を調査
サカナクション、どれくらい夜に思いを馳せているのか(C)エキサイト

朝:22回
昼:0回
夕:23回
夜:124回

圧倒的に夜についての曲が多い。言わば、サカナクションは夜型バンドである。歌詞で夜が使われているのは124回で、これは天気に関する単語の73%にあたる。いかに夜について歌っている曲が多いかわかっていただけることかと思う。


ちなみに、サカナクションは過去のCDジャケットやPV、ライブ演出なども全体的に青色や藍色のものが目立つが、歌詞も雨や夜など青色のイメージを持つ単語が多く、こういう細かい点からバンド全体のイメージが出来上がっているのかもしれない。

というわけで、今回の調査はここまでである。6年ぶりとなるサカナクションの新アルバム、既にお聞きの人はもちろん、あまりサカナクションを知らない人にもぜひ手に取って欲しいと思う。

■まいしろ
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。

Twitter:https://twitter.com/_maishilo_
note:https://note.mu/maishilo