PLAYISMは、Steamでのアーリーアクセスが好評を博していた『常世ノ塔』(とこよのとう)のフルバージョンアップデートを2022年6月2日より実施。合わせて、Nintendo Switch版の配信を開始した。

 『常世ノ塔』は、24時間ごとにランダム生成される不思議な塔を攻略する、ローグライク2Dアクション。敵を倒す手段が限られている中で塔を登っていく、手応え抜群のユニークなシステムが見どころとなっている。

 本記事では、『常世ノ塔』のNintendo Switch版のプレイレビューをお届けしていこう。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

※本記事はPLAYISMの提供でお届けしています。

『常世ノ塔』ニンテンドーeショップサイト 『常世ノ塔』Steamサイト

「通常攻撃? そんなものは無い」。限られた手段で敵を制する独特のアクション

 『常世ノ塔』はローグライクの2Dアクションで、5人から好きなキャラクターを選んで操作して、塔の最上部を目指すのがプレイの目標となる。

 レベルなどの概念はなく、HPが0になったら死亡して1Fからやり直し。塔内部で集めたアイテムなどもすべてロストするため、純粋にプレイヤーの知識と経験だけを積み重ねて攻略していくことになる。

 特徴的な要素として、本作は現実世界の24時間ごとに塔の構造やギミックが自動生成で変化していくことが挙げられる。一日ごとにまったく違ったダンジョンに変わるため、毎日新鮮な気分で遊ぶことができるのだ。

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 本作の操作方法はシンプルで、左右の移動と2段ジャンプのみ。回避アクションなどもないため、敵にぶつからない立ち回りが求められる。うまく回避する、逃げる選択肢が、本作では非常に重要になるのだ。

 そして、本作で特徴的なのが敵を倒すための通常攻撃コマンドすらないという点。チュートリアルでは、「通常攻撃? そんなものは無い」と容赦なく突き放される。邪魔する敵を気軽に倒せないからこそ、回避テクニックが生死に直結していく。

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 もちろん、一切攻撃ができないわけではない。各キャラクターは時限で回復するスキルを保有しており、それらを使えば付近の敵を倒せる。

 しかし、一度スキルを発動すればクールタイムに入るため、使いどころは見極めなくてはならない。敵が多くて回避が難しい場面や、落ち着いて進めたい難所など、ここぞという場面でスキルは役立ってくれる。

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 5名のプレイアブルキャラクターのスキル性能についても、簡単に紹介していこう。キャラクターによって攻撃範囲やその威力、挙動が違うため好みの性能を選んで攻略するのがオススメだ。

 魔界のメイド“ココア”(少年)は、スキルを発動すると自身の周囲でナイフが回転し始める。一定時間キャラクターを守りつつ、近づいてくる敵を倒せる安定した性能のスキルだ。クセがないぶん使いやすく、初心者向けのキャラクターとなっている。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 上下左右に火炎放射を放ち続けるスキルを使う、自走型清掃ロボット“カナエ”。お掃除ロボットだけあり、汚物を消毒してくれそうな勢いだ。火炎放射を放つ方向は自動的に動いていくため、狙ったタイミングで上空の敵などを狙いにくいのが扱いの難しいポイント。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 病弱系ヒトドラゴン“シッポ・デテール”のスキルは、遠距離まで届くレーザーを横方向に発射し続ける。壁も貫通するため、遠距離にいる敵が行動する前に処理できるのが強み。一方で真上からの攻撃への対処がやや遅れるので、立ち回りには工夫が必要だ。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 敵をホーミングする十字手裏剣を大量に放出する、飯綱のくの一“菊理”は初心者にもオススメのキャラクター。威力は低いものの、大量に発射されるため敵は十分に倒せる上、発動後に自分で向きなどを変える必要がないのが便利なスキルだ。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 自称気高き妖狐“忌火”のスキルは、範囲内に入った敵を自動的に剣で攻撃するというもの。こちらも発動後に方向を変える必要がなく扱いは楽だが、敵を補足してから攻撃するまで若干のラグがあるのが難しい。倒したつもりで突撃したらまだ倒せていなかった、なんて事態になることも……。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 これらのスキルを使って、ギミック満載の塔を登っていくのが、本作の基本的なプレイ方法となる。1キャラクターの立ち回りを極めるもよし、失敗したら気分転換にべつのキャラクターを使うのもアリだ。キャラクターによって立ち回りが大幅に変わるため、何度もくり返しプレイできるのは本作の魅力のひとつだと感じる。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 筆者がスキルの仕組みを見て最初に思ったのが、リチャージするまで隠れて待つという作戦。時間はかかるが、敵を一掃して進めるのではと考えていた。しかし、そんな甘い考えへの対策もしっかり講じられており、プレイ中に絶妙な緊張感を与えてくれる。

 塔内にいると自動的にカルマポイントというものが減っていき、これが0になるとプレイヤーをゲームオーバーに導く存在が追跡してくるのだ。カルマポイントの回復手段はいくつかあるが、おもな手段はフロアの切り換わり時の回復。極力立ち止まらずに先に進むのが最適解で、スキルのリチャージを待つ猶予を与えてくれない。

 うまく進めず同じフロアで立ち往生するたびに、減少するカルマが気になって余計に焦ってしまう。そんなプレイヤーを心理的に追い込む仕組みが、本作の難易度を引き上げている。

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プレイスタイルは拾ったアイテム次第? ローグライクならではのランダム要素

 24時間ごとのダンジョンの構造変化とはべつに、塔へ登るチャレンジが毎回違ったプレイスタイルになる要素がある。

 それが、キャラクターの手助けとなるアーティファクトだ。アーティファクトは特定フロアやダンジョン内部で拾えるアイテムで、ジャンプ力の強化、敵を倒すとHP回復などさまざまな効果を発揮する。

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 これらのアーティファクトも、当然ながらどれが入手できるかは完全にランダム。そのためプレイヤーは、手に入ったアーティファクト次第で立ち回りを変えることになる。

 ジャンプ力が強化されるなら回避を主体に、敵を倒すとHPが回復するならスキル発動を狙った立ち回りが強くなるなど、戦術はさまざま。同じアーティファクトを拾うと効力が増すこともあるため、運次第ではショートカットや敵の殲滅も可能になる。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 アーティアクトの構成と併せて攻略のカギとなるのが、一定間隔で訪れることができる休憩所でのアイテム入手。休憩所では不思議なお姉さんが、ミルクやアイスクリームをひとつだけサービスしてくれる。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 サービスでもらえるアイテムは、HPを50回復する“ぽかぽかミルク”、HP回復&HP上限アップする“のうこうソフト”、HP回復&スキルリチャージを1.5秒短縮できる“メロンフロート”の3つ。

 休憩所を訪れたタイミングで瀕死なら“ぽかぽかミルク”が安定だが、余裕があるならHP上限やスキルリチャージの速度を上げられるのだ。攻撃主体のアーティファクトを複数獲得しているなら“メロンフロート”、回避と移動メインなら“のうこうソフト”と、その場の状況次第で入手する回復アイテムを変えていくことが重要になる。

 うまく調整できれば、頻繁にスキルを撃って安全に進める構成も不可能ではない。試行錯誤しながら塔を進んでいくのが、本作のおもしろいところだ。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 スキルの活用、アーティファクトや回復アイテムの構成を考えつつ、塔最上部を目指していくのが『常世ノ塔』のプレイサイクル。

 毒沼や踏むと消えるブロック、壁を貫通した攻撃や執拗に追跡してくる敵など、プレイヤーに悲鳴を上げさせるギミックや敵がたくさん盛り込まれている。かわいいビジュアルとは裏腹に、かなり鬼畜なフロアも用意されているので、高難度のアクションが好きな人でも十分な手応えを感じられるだろう。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 休憩所のお姉さんをはじめ、登場する敵が妙に色っぽいのもどことなく懐かしさを覚えた。ドット絵のRPGで、酒場や宿屋にいるNPCがドキッとする発言をしたときの、あの何とも言えない感覚が味わえる。

 サキュバスやメイドさんに捕らわれると、魅了状態にされて方向キー入力が逆になるので、間違ってもわざと被弾するような真似はやめよう。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション
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 数々の困難を乗り越えて先に進むと、弾幕避けがメインとなるボスとの戦闘も待っている。ボス戦は弾幕を避けつつ、チャンスを待ってスキルを当てる流れで、手に汗握るバトルが楽しめた。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 そのほか本作には、ネットワークを通した“ゆるいソーシャル機能”も実装されている。プレイヤーがゲームオーバーになると墓石が建ち、最後に持っていたアーティファクトが遺品として残り、最後の言葉とともにほかのプレイヤーの塔内に出現する仕組み。

 奮闘虚しくゲームオーバーになってしまったときは、先駆者としてメッセージを残してほかのプレイヤーの背中を押してあげよう。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 ゲームオーバー、あるいは塔をクリアーすると、最後にはスコアランキングも表示される。このスコアはオンラインに繋いでいれば全世界のプレイヤーと競えるので、ランカーを目指して操作を極めてみるのもおもしろいだろう。

『常世ノ塔』プレイレビュー。通常攻撃なしで回避テクが必須? 妙に色っぽい敵が待ち構える塔を登っていく手応え抜群のローグライク2Dアクション

 操作性やゲームの遊びかたはシンプルだが、通常攻撃がなく、塔の構造が毎日変わるので新鮮な気持ちでプレイすることができた『常世ノ塔』。

 キャラクターのビジュアルもかわいらしく、スキル発生時のカットインも複数あるなど、随所に開発者のこだわりを感じ取れる。1回のチャレンジ自体は2時間もかからず終わるので、サクッと遊べるローグライクを求めている人にもオススメだ。

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常世ノ塔

  • プラットフォーム:Nintendo Switch、Steam
  • 発売元:PLAYISM
  • 開発元://commentout
  • 発売日:2022年6月2日配信
  • 価格:各1180円[税込]
  • ジャンル:アクション
  • 備考:ダウンロード専売
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