前回の連載の最後に登場した、メアリ・アメリアが築き上げたソールズベリ侯爵家に、いよいよ傑物が登場するのが19世紀後半になってからのこととなる。
苦労人だった第3代侯爵
それがメアリ・アメリアの孫にあたる第3代侯爵ロバート(1830~1903)なのだが、彼の幼少期は悲惨なものであった。5歳のときに祖母が焼死し、9歳のときには母に早世され、ロバートの少年時代は孤独そのものであった。背が高くやせっぽちで、人見知りの激しい彼は、パブリック・スクールの名門校イートンに入学したものの、すぐに壮絶ないじめに遭ってしまう。15歳で退学し、以後はハットフィールド・ハウスへ帰り独学を続け、オクスフォード大学でのびのびと学問を楽しむことができるようになった。
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