3月8日は「国際女性デー」。ジェンダー平等について考えましょう!

目次
  1. 2022年の「国際女性デー」のテーマは
  2. 日本が156カ国中120位とはどういうこと?
  3. なぜ、日本の女性活躍は進まないのでしょう?
  4. 女性活躍に向けた富士通の取り組み

2022年の「国際女性デー」のテーマは

3月8日は「国際女性デー」。その歴史は古く、1908年のニューヨークにおける女性の参政権を要求するデモがルーツです。1975年には国連が「国際女性デー」を制定し、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのためにその時代に応じたテーマを掲げてきました。
2022年のテーマは「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」です。国連女性機関(UN Women)では「ジェンダー平等が今存在しないのであれば、持続可能な未来、そして平等な未来は私たちにとって手の届かないものになるでしょう」と言っています。
日本でもジェンダー平等は叫ばれ、女性活躍推進法も定められていますが、その一方で日本のジェンダーギャップ指数は「156カ国中120位」というデータが出ています。先進国の中で、最低レベルと言っても過言ではありません。
いったいどういうことなのか。「国際女性デー」を機に、日本のジェンダー平等の現状や背景、解決の道などを探ってみましょう。

日本が156カ国中120位とはどういうこと?

日本のジェンダーギャップ指数が120位だといきなりいわれても驚きますよね。
「ジェンダーギャップ指数」とは、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が2006年から行っている調査で、経済、政治、教育、健康の4分野について男女格差を測って数値化しているものです。
2021年3月に公開された「Global Gender Gap Report 2021」で、日本は156カ国中120位と過去最低を記録しました。

それぞれについて日本のスコア(※1)を見てみましょう。
まず「教育」は92位、「健康」は65位。ただ、教育の日本のスコアは0.983。対してスコア1.0(最大値)の国が37カ国あります。そもそも僅差なのです。高等教育における男女比で、やや劣っているのがあげられるくらいです。「健康」に関しても同様で、1位の国は0.98なのに対し日本は0.973ですから、世界トップクラスとほとんど変わりません。順位ほどの差はないのです。

注目すべきは残り2つです。
「政治」は156カ国中147位と非常に深刻な結果で、最下位を争うレベルです。他国に比べて、女性議員や女性閣僚の数が極端に少ないのが主な理由です。女性衆議院議員の比率(※2)で見ると、日本は、9.7%。190カ国中168位です。ちなみにアメリカは27.3%、フランスは39.5%です。かなり少ないのがわかります。
そして「経済」。117位と下位です。仕事への参加率では、他国とあまり変わりませんが、管理職の男女比では139位と大きく遅れています。女性社員の率は低くないのに、管理職に就任する人が極めて少ないということです。経団連の会長・副会長計19名のうち、女性は一人だけですし、上場企業において女性役員がいない企業が約1/3もあります。

こうして項目別に見ると、日本がジェンダーギャップ指数で下位であるというのも納得ではないでしょうか。
ゴールドマン・サックス証券株式会社元副会長のキャシー・松井氏の試算によると、もしジェンダーギャップが完全に是正されるとしたら、日本のGDPはおよそ13%も上昇するといいます。日本のジェンダーギャップが経済に悪影響を与えているとなると看過できません。

なぜ、日本の女性活躍は進まないのでしょう?

日本でも女性活躍推進の政策が採られていますが、なかなか進まないのが現状です。
正確に言えば、進んではいるものの(ジェンダーギャップ指数の経済のスコアでも2006年が0.545だったのに対し、2021年は0.604と少し上がっています)、それ以上に他国が先を行っているのです。

日本の社会における価値観のアップデートがなされていないというのはよく指摘されます。男は外で働き、女は家を守るもの、という日本の高度成長期を支えた価値観を標榜する人はさすがに減っていますが、人は年をとるほど価値観のアップデートが難しくなるもの。古い価値観からなかなか脱却できない男性管理職が多くいれば、能力や実績に差がなくても男性が登用されがちになります。「ガラスの天井」と呼ばれる現象です。
ワーク・ライフ・バランスという言葉が定着して久しいですが、今でも日本の男性が家事労働や育児に割く時間は、OECD(経済協力開発機構)諸国の中では非常に短く、女性への負担が大きいことも見逃せません。
負担が大きければ、キャリアの途中で職場を離れる、あるいは長期離脱せざるを得なくなります。これは男女どちらにも言えますが、一度キャリアを離れた人が再び戻ったとしても、給与や出世で大きく不利になるという現実が待っています。終身雇用時代の慣習で、長年同じ企業で勤務した男性がもっとも有利なキャリアパスとなっているからです。実際、従業員1万人以上の上場企業の社長は、ほとんどが勤続年数30年以上で社内昇進となっています。
ですが、厚生労働省のレポートでは、労働時間が短いほど労働生産性が高まるという調査結果(※1)が出ています。ワーク・ライフ・バランスの実現に積極的な企業ほど売上が多く、離職率も低い傾向があり、長時間労働が尊ばれた時代はすでに終わったことを感じとらなければならないでしょう。

男性社会の女性活躍を、そういうご時世だから、乗り遅れるわけにはいかないから、という表面的な理由で捉えていてはいけません。内閣府男女共同参画局(※2)のレポートでは、女性が活躍できる企業ほど利益率が高く、経営幹部に女性の割合が高い企業の株価パフォーマンスが高いという分析結果が出ています。

女性活躍に向けた富士通の取り組み

日本でも多くの企業が女性活躍を推進しています。最後に富士通の取り組みを紹介します。
富士通では、性別、障がいの有無、人種などの表層的な属性の多様性実現にとどまらず、個々の多様性を活かす「インクルージョン」に向けた取り組みを加速していくための指針として、「Global D&I(ダイバーシティ&インクルージョン) Vision & Inclusion Wheel」を策定しています。目指す姿として「誰もが自分らしくあるために」を掲げており、それを実現するための重点領域の1つにジェンダー・ダイバーシティを定め、富士通グループ全体で取り組んでいます。

また、経営方針における非財務指標GRB(グローバルレスポンシブルビジネス)の1つにD&Iを位置づけ、D&Iに関するKPIの1つとして、女性管理職の比率向上を掲げています。

具体的な取り組みとしては、出産や育児で分断されるキャリアパスをサポートするために男女ともに仕事と育児を両立させる制度があるほか、事務所内保育所も設置。スムーズな職場への早期復帰が可能になっています。
また、キャリア支援として、女性社員向けのキャリアワークショップを実施しています。富士通は、2020年度に新たな人事制度として「ポスティング制度」を導入し、管理職への登用を、従来の推薦型から、本人が実現したいキャリアプランを自律的に考え、本人の選択により管理職のポジションを目指す制度へと変更しました。この制度変更に伴い、管理職としてのやりがいを学び、キャリアオーナーシップを持てるようにするために、管理職手前の非管理職の女性社員を集めたキャリアワークショップを実施しています。
これらの施策により、女性幹部社員の比率は、2017年には5.7%、2020年度には7.4%と着実に増えています。
また、富士通のみならず、様々な企業で働く女性が自らのキャリア形成を考える機会となるよう、キャリアイベント「働く女性Festa」を開催。多様な経験を重ねてきた富士通の役員や様々な場所で活躍する社員が、IT業界で女性が働くリアルをお話し、自分らしく働くためのヒントをお伝えしました。

そういった女性社員活躍促進への取り組みが評価され、大阪市が女性にとって働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組む企業として認証する「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」の中から、令和3年度大企業部門の「最優秀賞」を受賞いたしました。

ジェンダー平等はSDGsの17の目標のうち、5番目に挙げられています。今はまだ企業のみならず社会全体でジェンダー平等を意識し、価値観を変えていかねばならない段階ですが、最終的には「女性活躍推進」を声高に言わなくてもよい社会が目標です。
当たり前のように能力や実績、資質で評価され、結果としてジェンダー平等、いやジェンダーのみならず、より多様性を持った「誰もが自分らしくある」社会になり、その結果として生産性が上がり、より持続可能な社会になっていくことを願います。

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