保育のコラム

<保育士必見>保育園の遠足マニュアル!準備項目やレクリエーションや制作アイデア

2020/09/08

子どもにとって遠足といえば、とても楽しみな行事のひとつです。

子どもたちが遠足を楽しいものにするために、なによりも大切なのが事前準備です。

今回の記事では、保育士が行うべき遠足の準備や、遠足中に子どもたちが楽しめるイベントアイデア、留意するべき点についてお伝えします。

“ずっと保育士編集部”

【記事監修】ずっと保育士編集部

「ずっと保育士」は、保育ひとすじ28年の株式会社明日香が運営する保育専門のキャリアサポートサービスです。結婚や出産、育児など、目まぐるしく変わるライフステージの中で、その時その時にぴったり合うお仕事を紹介したい。そして、保育の仕事でずっと輝き続けるあなたを応援したい、という想いで保育士の就職、転職、復職などのキャリア支援を行っています。また、「ずっと保育士」では保育士さんの疑問や悩みなどを少しでも解決すべくコラムを通した情報発信も積極的に行っています。

なぜ遠足を行うのか?

遠足といえば「楽しい!」ということばかりに注目しがちですが、実は遠足を行うことには次のようなねらいがあります。

  • 自然や季節の移り変わりを体感し、思い切り体を動かす
  • お友だちや保育士と親睦を深め、社交性や協調性を育む
  • いつもと違う雰囲気の昼食時間を楽しむ
  • 公共の場でのマナーを守り、他者を思いやり、譲り合うことを覚える
  • お友だちや保育士と楽しい思い出をつくる

いつもとは違う場所で、新しい経験にたくさん刺激を受けながら子どもたちが大きく成長するための保育園で遠足は行われているのです。

保育園で行われる遠足の種類

保育園で行われる代表的な遠足には以下のようなものがあります。それぞれの保育園によって内容や回数に違いがあり、年に1~3回程度行うことが一般的です。

  • 春・秋に行う季節の遠足
  • 芋掘り遠足
  • 親子遠足
  • お別れ遠足 など

乳児クラスでは子どもと保育士のみの遠出が難しいこともあり、親子遠足のみになることがあります。

遠足前に保育士が準備しておくべき事

楽しく安全に遠足を行うために、保育士が行なっておくべき準備項目を確認しておきましょう。

【1】行き先

まずは、子どもたちの興味・関心や行動範囲などを考慮して、行き先を決定しましょう。また、移動手段も一緒に考える必要もあります。

移動手段は以下の3つが考えられます。

  • 観光バス、マイクロバスなどの貸切バスを借りる
  • 路線バス・電車などの公共交通機関を利用する
  • 現地集合(親子遠足の場合のみ)
  • 徒歩

公共交通機関を利用するのであれば、目的地は駅やバス停から近い場所にする必要があります。駅から遠い場所の場合は、貸切バスを利用すると良いでしょう。

また、親子遠足なのか子どもだけの遠足なのかによっても目的地は変わります。

子どもだけの遠足の場合は、安全面から人が多すぎる場所は避けた方が賢明です。

親子遠足の場合は、保護者と子どもが一緒に移動するので、安全性の観点からはある程度人が多いところでも実施される事があります。

【2】下見

遠足の目的地が決定したら、実際に保育士が現地に下見に行きます。

下見で重要なのは、「当日の流れや子どもの様子を想定して行う」ことです。以下の点に注意して下見を行いましょう。

表1:下見の際の注意点

駐車場または最寄り駅から目的地への道順と所要時間

目的地までの道に危険な場所はないか、ある場合は他の道はないかなど、実際に歩いてみてチェックしましょう。親子遠足で現地集合とする場合は、自家用車で行ける場所なのか、駐車場の有無、駐車できる台数の確認なども必要です。

トイレの場所

どのタイミングでどの場所のトイレに行くのかも想定して確認しましょう。また、トイレットペーパーの有無も確認が必要です。ない場合は持参して使えるようにするなど、持ち物リストに追加する必要があります。

オムツ交換・授乳が出来る場所の確認

特に親子遠足の場合は、園児の弟や妹が一緒にくることも多いので確認が必要です。

写真撮影の場所

楽しい思い出を残すために、集合写真を撮れそうな場所を見つけておきましょう。

お弁当はどこで食べるか

目的地の他の利用者に邪魔にならずに、みんなで一緒にお弁当を食べられる広い場所を見つけておきましょう。必要に応じて目的地の施設職員などに確認を取っておくと安心です。

レクリエーションを行う場合の確認

レクリエーションを行う場所を決めておきましょう。音楽を流したり、マイクを使用する場合は、可否について施設側に確認しておく必要があります。

携帯電話の電波状況 携帯電話の電波が不安定な場所では、トランシーバーなどのレンタルも考慮する必要があるでしょう。

【3】当日の流れ

遠足当日の流れは大まかに以下のようになります。

表2:遠足当日の大まかな流れ

流れ

子どものみの遠足

親子遠足

集合

保育園に通常通り登園します。

保護者と一緒に駅、保育園、現地に集合します。遅刻している家庭には連絡します。

移動

貸切バスまたは公共交通機関、徒歩などで移動します。貸切バスでの移動の場合は、みんなで楽しめるバスレクを準備しましょう。

公共交通機関を利用する場合は、遠足前にマナーや過ごし方について園児と話し合いをしておけると良いです。

目的地に到着

到着したらすぐにトイレに行く時間を設けましょう。

記念撮影

下見で決めておいた場所で、集合写真を撮りましょう。子どもたちが疲れてしまう前に撮るほうが良い顔で撮りやすいです。

施設見学・レクリエーション

動物園や水族館などの施設見学、みんなで取り組むレクリエーション活動を行うのは子どもたちが疲れる前がおすすめです。順番やルールを守りやすく、楽しく遊べます。

昼食

事前にトイレに行く時間を設けると良いでしょう。お弁当の歌を歌ってから食べるなどの流れは事前に決めておきましょう。

自由時間

お友だちや保育士と思いっきり遊びます。遊ぶ場所の範囲は広くなり過ぎないように決めておき、お約束として園児たちに周知しておきましょう。

遊んでいる最中にもこまめに人数確認が必要です。

大好きなお父さんやお母さん、お友だちと一緒に思いっきり遊びます。遊ぶ場所の範囲は事前に決めて保護者に周知しておきましょう。

遊んでいる最中にもこまめに人数確認が必要です。

集合して帰園

人数確認をしましょう。

人数確認をしましょう。

現地解散の場合は、保育士から保護者にあいさつをします。

解散

帰園後は通常通り保育園で過ごし、保護者のお迎えの時間に帰ります。 事前に決められた駅・保育園・現地で解散します。

普段とは違う環境で過ごすので、子どもたちが想定外の動きをすることも多々あります。人数確認はこまめに行うようにしましょう。

【4】役割分担

遠足当日に大切なのは、保育士間の連携です。保育士間で事前に役割分担をしておくと同時に、以下についても共有しておきましょう。

  • 担当する役割は、一人一人が責任をもって行う
  • 携帯電話等、離れている場合の通信手段を確実にしておく
  • 自分以外の役割も把握して臨機応変に連携する

当日の役割としては以下のようなものが考えられます。

表3:当日の役割

引率係

子どもたちの先頭を歩いて引率する係です。子どもと他の保育士に見えやすいように旗などを持ちましょう。

また、トイレ援助などの個別の行動は極力行わず、他の保育士に声を掛けて任せるようにしましょう。原則として先頭の位置を動かず、常に全体を見渡して状況把握をするように努めましょう。

タイムキーパー(スケジュール管理)

タイムスケジュールに沿って遠足が進められるように必要な役割です。時間を見ながら「時間通りに進行している」「遅れている」などの情報を他の保育士に伝えるようにしましょう。

人数確認係

遠足において各クラスの人数確認はこまめに必要になります。名簿をチェックしながら、人数確認を行いましょう。

救急係

子どもや保護者が怪我をしたとき、体調が悪いときに対応をします。救急セットを必ず持参しましょう。

救急セットの中身は、前日までに確認しておく必要があります。

写真係

遠足の写真を保育士が撮って後日販売する場合は、なるべく全員を撮り、偏りが出ないようにすることを心がけましょう。また、遠足の記録のために写真を撮っておくと、後日保護者向けのおたよりを配る際に使用できます。子どもの写真を保育園のホームページなど不特定多数の目に触れる場所に掲載しても良いかは、必ず事前に保護者に確認を取る必要があります。

【5】しおりの作成

しおりを工夫してつくると、子どもたちの遠足への期待感が盛り上がります。しおりには以下の内容を記載すると良いでしょう。

  • 当日の流れ
  • 歌う予定の歌の歌詞
  • 施設のマップ
  • 雨天の場合の対応

※親子遠足の場合は、以下の情報も追加して載せると親切です。

  • 保育士の連絡先
  • 自由時間の集合場所(施設のマップにわかりやすく書き添えると伝わりやすくなります)

【6】雨天の場合の対処

雨天の場合に取り得る方法は、延期・場所の変更・中止の3つです。

雨天の場合にどのような対応をするかは事前に決めておき、保護者にも伝えておきましょう。遠足の催行に変更が出る場合は、当日朝に保護者に連絡する必要があります。

雨が降っているけど、パラパラ雨程度で午後から晴れ予報が出ている場合など、判断に困る場合は園長の判断を仰ぎましょう。

園長の判断次第で、どのような変更であっても柔軟に対応できるようにしておくことが大切です。

【7】カメラマンの手配もしくはカメラの準備

手配が必要な場合は、お付き合いのある地域の写真館などに依頼する方法があります。

また、インターネット上には地域で対応可能なプロカメラマンを探すサービスもあります。18,000~35,000円くらいの予算で利用できるので、人手が足りない場合などの選択肢として検討してみると良いでしょう。

保育士が写真係を担当する場合は、防水性や耐ショック性に優れたカメラを用意しておくと安全です。

また、同行する保育士の人数に余裕があれば、カメラ担当を複数名配置しても良いでしょう。複数名いればシャッターチャンスを逃しにくく、撮影園児の偏りも回避できるのでオススメです。

【8】バスや現地で行うレクリエーションや制作

レクリエーションを工夫することで子どもたちが楽しむ機会を増やせます。ぜひ積極的に遠足に盛り込んでいきましょう。

バスでのレクリエーション

目的地に向かうバスの中でのレクリエーションには、動き回れない移動中も楽しく過ごしたり、遠足の期待感を盛り上げるなどの目的があります。

自由に動き回れないという制約の中、歌やクイズなど、動かなくても楽しめる工夫をすることで移動時間を楽しく過ごすことができます。しりとりや手遊びもオススメです。

親子遠足の場合は、バスレクを行う前に保護者に自己紹介をしてもらうことも検討しましょう。
初対面の保護者同士が打ち解けられると、目的地に到着後に親睦を深めやすくなります。

また、バスでの移動の際は、事前に保護者に子どもが乗り物酔いしやすいか確認しておく必要があります。

乗り物酔いしやすい子どもの場合、前の方の席・保育士の近くに座らせ、変化を把握しやすくしたり何かあった時に対処しやすいようにするなどの配慮をしましょう。

現地のレクリエーション

公園や広場でのフリータイムでは、体を思いきり動かすレクリエーションがオススメです。

現地のロケーションを使った簡単な「宝探しゲーム」や、保育士が背負ったかごにボールを投げ入れる「玉入れ競争」、じゃんけんをして電車をどんどん長くしていく「じゃんけん列車」などもいいですね!

親子遠足の場合には難易度をあげたレクリエーションを

親子遠足の場合は、親子のコミュニケーションを図るためにも、次のような親子で協力して行える少し難度の高いレクリエーションを盛り込むのがいいでしょう。

表4:親子遠足のレクリエーション例

借り物競争

たとえば4〜5歳の子どもが対象なら「借り物競争」などもオススメです。お題に「園長先生」「青い服の人」「ひげの生えた人」など第三者を登場させても面白いです。人に声をかけるのが苦手な子どもでも親子一緒なら安心して取り組めるでしょう。

スタンプラリー

親子で1枚のカードを持ち、スタンプのある場所を巡る「スタンプラリー」も楽しいです。当日スタンプを設置する場所を保育士が準備するのは大変なので、既にオリエンテーリングコースが園内に整備されている公園を選ぶのがオススメです。

遠足は子ども達がいっぱい楽しめる工夫をしよう!

遠足で大切なのは、いかに子どもたちが安全に楽しめる工夫ができるかです。

子どもたちは遠足をとても楽しみにしています。楽しすぎていつもよりもハイテンションになり過ぎてしまったり、反対に、知らない場所を不安に感じて動けなくなってしまったり、普段の保育園生活からは想定できないことが起こりがちなのも事実です。

せっかく楽しい遠足に行くのですから、みんなでケガなくトラブルなく、楽しい思い出とともに元気に帰ってくることは保育士のいちばんの願いです。そのためにも事前準備と保育士間の連携をしっかり行って、何よりも楽しんで遠足を企画しましょう。

お友だちと保育士と一緒に、いつもとは違う場所に行って楽しい思い出をつくる経験は、子どもたちの成長と自信につながりますよ!

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