京城駅は1900年7月、ソウルと仁川を結ぶ京仁鉄道の停車駅として設置された鉄道駅である。現在でもソウル駅として、首都の表玄関となっている。設置当初は南大門駅と呼ばれ、木造の駅舎であったが、1905年の京釜線、1905年の京義線、1914年の京元線の開通にあわせて1915年に京城駅と改称され、京城府の表玄関となるべく駅舎の改築工事が計画された。
絵はがきの駅舎は1922年に着工し、1925年に竣工。その設計は総督府鉄道局の主管のもとで塚本靖(1869~1937)が担当した。駅庁舎の外壁はレンガ風のタイルと花崗岩・人造石で仕上げられており、中央にはビザンチン風のドームが設置され、建築としてはルネサンス様式がとられており、一階には待合室・切符売場・事務室、二階には食堂・会議室などが配置されていた。京城駅から南大門を経て、京城府庁舎・朝鮮総督府にいたる景観は、当時の京城を代表するものであった。
駅舎は戦後も継続して2004年まで使用されたが、1981年には韓国で最も古い鉄道建築として史蹟284号の指定をうけた。現在では復元工事がなされ、2011年からは文化施設「文化駅ソウル284」となっている。