農薬というと、なんとなく悪いイメージを持っている人も少なくありません。しかし、それは昔のこと。安定した生産と収穫のために必要な農薬は、現代では正しく使えば安全です。実際に、米作りにも病害虫を防ぐなどの目的で農薬が使われることもあります。今回は、そんな米作りに必要な農薬の種類と安全な理由を見ていきましょう。

農薬は何のために使う?4つの理由
現在、農薬を使うのは主に以下の4つの理由があるからです。順番に見ていきましょう。

殺虫剤:害虫を防ぐ、駆除する
害虫がイネにつくのを防ぐ、またはイネについた害虫を駆除するために使われる農薬です。殺虫剤の基本は、発生初期の防除。つまり、虫が発生する前、あるいは発生してすぐの段階で予防したり、駆除したりすることが重要です。

特に、出穂期のカメムシはお米の品質を下げてしまうため、カメムシ駆除の殺虫剤は必須とも言えます。また、この時期の防除はウンカ類、ツマグロヨコバイなどの防除も兼ねていますので、お米の品質を下げないためにも、安全なお米を作るためにも重要です。

殺菌剤:病気を防ぐ、治療する
イネに病気が出るのを防いだり、病気が出たときに治療したりするための農薬です。病気が出たイネは捨てなくてはならないため、田んぼ全体に予防として撒くのが基本です。

特に、梅雨に入って温度や湿度が高く、蒸し暑くなってくるとイネの代表的な病気「いもち病」の発生が始まるため、この時期に予防散布が必要です。
穂が出てくるころには「紋枯病」「稲こうじ病」なども発生の可能性が高まるので、これらも防除していきます。

除草剤:雑草を取り除く
田んぼに雑草が生えるのを防ぐ、または生えた雑草を枯らすための農薬です。植えつけの前後に散布する「初期除草剤」や、植えつけ直後から植えつけ後15日くらいまでに散布する「一発処理除草剤」、移植後20~30日位に散布する「初中期除草剤」などが使われます。

また、害虫が隠れられる場所を減らすという意味でも、雑草の除去は必要です。

生育調節剤:育ちを調節する
実りのころのイネの長さが思ったより長くなりそうなとき、倒れないように生育を調整するための農薬です。必ずしも使われるものではありませんが、天候などが例年の予想と大きく変わるなどイネの生育に予想外の事態が起こったとき、使われることがあります。

農薬は安全なもの?
高度経済成長期など、農薬が使われ始めた当初は殺菌・殺虫能力だけを重視した結果、人体や自然環境に及ぼす悪影響も大きいものばかりでした。その頃のイメージを持っている人も多く、農薬は安全でないと思ってしまいやすいのです。

しかし、その当時の失敗を教訓として厳格な管理が行われている現在では、用法・用量や撒く時期を守って正しく使えば安全とされています。実際に、農薬の安全性は登録制度で審査され、作物にどのくらい残留するか、水産動植物にどんな影響をもたらすかについて「十分に安全である」と考えられる基準が設定されていて、この基準を超えないよう使い方が定められるのです。

つまり、それぞれの農薬について決められた量や使い方を守らず、乱用するのが問題と言えるでしょう。
もちろん、農薬を全く使わない農法は自然環境に優しいので、使わない方が良いことに変わりはありません。とはいえ、基準値や使い方をしっかり守っていれば、危険もなく食べても安全なのです。

広大な田んぼを、農薬を使わず管理し、病害虫からイネを守るのは想像を絶する大変な作業です。高い品質のお米をより多く収穫するためには、農薬が必要不可欠とも言えるでしょう。

無農薬とは?おすすめ商品もご紹介
農薬を使わない農法には、以下のようなものがあります。

合鴨農法
田んぼの雑草や虫などをきれいに食べてくれる合鴨を使った農法です。フンはそのまま畑の堆肥になるので、化学肥料を使わなくても済みます。また、合鴨が虫を落とすために稲の茎をつつくのが刺激となって、稲が丈夫に育ち、株も増えるという嬉しい効果もあります。

自然農法
農薬だけでなく、化学肥料も有機肥料も一切使わずに栽培する方法です。一般的な農薬を使う慣行栽培と比べて収量も少なく手間もかかるのですが、昔ながらの栽培方法で土中の微生物と水の恵み、太陽光の力で、より自然に近い状態で作物を育てられます。

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まとめ
農薬は病害虫を防ぐため、雑草を取り除くため、育ちを調整するために使われます。農薬ができた当初は危険だったので、その頃のイメージを持つ人が多いのですが、今では安全性がしっかり検査されているため、使い方を守れば安全です。とはいえ、自然に近い農法で作られるにこしたことはありません。無農薬・化学肥料不使用のお米もぜひ食べてみてくださいね。
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