余命わずか三年となる呪いをかける不気味な男。「呪いは成就した!!」と高笑いする男に、呪いをかけられた側は涙を流すが――？
「オヤジが美少女になってた話」(アクションコミックス)や「ヤンキー悪役令嬢 転生天下唯我独尊」(ヴァルキリーコミックス)などの作品で知られる漫画家の赤信号わたるさん。ウェブ上では個人制作作品も数多く発表しており、2024年1月には無料電子書籍「赤信号わたるの漫画交差点【短編集】(3)」を公開した。
有名な昔話の筋書きを筋肉の力で捻じ曲げてしまう「全てを筋肉で解決する金の斧・銀の斧」や、電車内での不穏なやり取りを描く「電車あるある」など、展開やラストにひねりが効いた漫画が数多く収録された短編集。
なかでも「呪い屋」シリーズは、不吉な出で立ちで呪いをかける“呪い屋”の男が、意表を突いた呪いの活用を見せる短編だ。
人を不幸にするはずの「余命三年」の呪いを、今日生きられるかも分からない瀬戸際の病人にかけ「三年生きられる奇跡」に変えてしまう柔軟なアイデアや、商業連載と並行して個人制作作品を描くことでの影響など、作者の赤信号さんに話を訊いた。
■「200％マッチかミスマッチ過ぎるか」印象的なキャラクターの作り方
――オチとの落差が際立つ呪い屋の男のデザインが秀逸です。キャラクター作りでこだわったポイントを教えてください。
【赤信号わたる】呪い屋ということで不気味な見た目にしようとは思ってました。あとはオチに沿って、かの某ブラックな医者っぽさも出そうとしています。
――悪いことにしか使えなさそうな呪いの内容をこう活かすか！という驚きも大きいです。どんなところからヒントを得ましたか？
【赤信号わたる】それが、キッカケは全然覚えてないんです。何かしらに影響は受けたと思うのですが…。コメントで『三年とうげ』(※韓国の民話。同作を採用している小学校の国語教科書もある)という作品を挙げている人が多かったのですが、恥ずかしながらこれは今回初めて知りました。やっぱり同じことを考える人はいるんだなぁと少し悔しかったですね。
――また、1話4ページほどの尺の中でキャラクターを印象的に描く、の立て方の工夫があれば教えてください。
【赤信号わたる】僕のキャラは大抵の場合、題材に対して200%マッチしてる奴か、逆にミスマッチ過ぎる奴かのどちらかである場合が多いのですが、今回は両方で、呪い屋という職業(？)にピッタリな見た目に、通常と真逆の動機をつけたことが印象を強めているのだと思います。
――本作をはじめ、収録作品の多くは「ヤンキー悪役令嬢 転生天下唯我独尊」と並行した時期の制作かと存じます。連載と個人制作とで互いに影響した部分などはありましたか？
【赤信号わたる】短編で発見した技法やリズム感を連載で取り入れることもあるので、たしかに作品同士で影響し合ってますね。
――今年の漫画制作の抱負や、挑戦したいことなどあればメッセージをお願いします。
【赤信号わたる】とにかく今自分がおもしろいと思ったものを追求して沢山描いて、沢山発表して、沢山恥をかいていきたいです。アンパンマンのやなせたかし先生が『三かく主義』と仰っていて「絵をかく、詩をかく、恥をかく」だそうで、最高だと思います。見習いたいですね。
取材協力：赤信号わたる(@GoAkashin)
