私たちはみな、誰かと友情を築いたり、失ったりする過程を通して成長する。自然な距離感で円満に離れていく人もいれば、それができない人もいる。

私は新しい州に引っ越した際、生涯の親友だと思っていた人から部屋を借りた。私たち2人はすべてのことを一緒にこなし、同じ価値観を持ち、とても楽しく過ごしてきた。

しかし私は、その関係が有害であることに徐々に気付き始め、私たちの関係は変化していった。

精神科医のエリザベス・ネザートンさんは、「健全な友情とは、お互いが自分のニーズを満たすことができる相互関係であることが基本です」と話す。「そのニーズがどんなものか、そしてその特定の友情がそのニーズをどう満たすかは、個人や友情によって、そして私たちの人生が変化し、友情が育まれ進化するにつれ、時間とともに変わるものです」

しかし、あなたがその人のことを信頼できない、その人との境界が存在しない、その人があなたの人生にほとんど関心を示さないといった場合、その関係は有害な友情と言える可能性が。

two women arguing on the street
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私の元ルームメイトは、彼女のトラウマについて話してくれたものの、私の人生に興味を示すことはなかった。

私は彼女といるときはいつでも疲れ果てた気分で、“ガスライティング”(些細な嫌がらせを行ったり、誤った情報を信じ込ませることで精神的に追い込む、心理的虐待の一種。映画『ガス燈』から名付けられた)を受けている感覚を抱き、そして慎重に振る舞わなくてはいけないと感じるようになった。

私は最終的にその友情が自分にとって有害であると認識し、家を出ていく選択をした。が、その相手が自分にとって“毒友”であるかを最初に見破ることは簡単なことではない。

有害な友情のサイン、どう見極める?

“毒友”は以下の特徴のいずれか、またはすべてに当てはまる可能性がある。あなたの周りにもこんな人がいないか、チェックしてみて。

1. あなたの人生に興味を示さない

その人は、いつも自分の人生や目標、または悩みについて一方的に話してばかり? 「一般的に、毒友はすべての時間、エネルギー、会話を支配しようとします」と述べるのは、オンラインセラピーコーチである精神科医のシェリー・ソマーフェルトさん。

「毒友はあなたにサポートを返してくれることもありませんし、してくれたとしても不誠実に感じることがあります」

2. 嘘をついたり、不誠実な態度を見せたりする

ニューポート・ヘルスケアの外来診療ディレクターを務めるクリスタル・バーウェルさんによると、嘘をついたり不誠実な言動をとったりすることは、有害な友情の兆候である可能性があるそう。

「あなたに対し嘘をついたり、不誠実だったりする場合、その友情におけるストレスや心配事が増える場合があります」と彼女は説明。こうした状態になると、将来的にその人への信頼を取り戻すのは難しくなる。

3. 約束に現れない

大きなことでも小さなことでも、その人があなたのために駆けつけてくれることを期待できる?「毒友は、あなたと会う約束をしたにもかかわらず、キャンセルしたり待ち合わせに来ないことがよくあります」とインヴィクタス・サイコロジカル・サービスのフォーレスト・タリー博士は指摘する。

4. 場の雰囲気を悪くする

有害な友人の近くにいると、疲れ果てたように感じることも。「悲しみや恐怖、苛立ち、怒りをしばしば感じるかもしれませんが、友人のニーズを最優先することに慣れてしまうと、こうした感情を押し殺してしまう場合もあります」と、臨床心理士のスラジ・ワゲージさんは言う。

「その人といるときのあなたの感情がネガティブなものなら、それはその関係が有害であるというサインです」とネザートンさんも付け加えている。

    girlfriends in conflict are sitting on the bench and sulking each other
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    では、有害な友情を終わらせるには?

    特定の人間関係が有害であるとわかった場合は、その関係を終わらせるか、今後その人を自分の人生にどう関わらせるか強い境界線を引くなど、あなたのメンタルヘルスを守ることが何よりも重要となる。

    友情を終わらせることはかなり難しく、決して心地いいものでもなく、傷付くこともあるが、あなたの感情的なウェルビーイング(健康や幸せ)を守るためには必要なこと。

    私は、元ルームメイトとの絆を完全に断ち切り、友情を終わらせる決心をした。同居していたアパートから引っ越しただけでなく、SNSをブロックするという境界線も引き、再び関わることのないようにした。

    これは私と彼女の精神衛生上ベストな状況だったが、友情の形は人それぞれ。とはいえ、絆を断ち切るにせよ、新たな境界線を設けるにせよ、有害な友情を終わらせる方法はたくさんある。助けが必要な場合に、専門家が提案する以下の項目を見ていこう。

    会話を準備する

    友情を終わらせたり、新しい境界を設定することについて友人に話すことを不安に感じるかもしれない。そのひとつには、会話が2人にとって不快で感情的なものになるかもしれないという心配もあるはず。

    ただし、関係解消の理由を明確にしておくことが重要なため、まずはその準備しておくのが吉。

    ・信頼できる友人や専門家に相談する

    信頼できる友人やメンタルヘルスの専門家を見つけることで、自分の気持ちを明確にし、あなたのウェルビーイングを守るための実用的な措置を講じることができる。

    より安心を求めるなら、「カウンセラーがあなたと毒友との会話を仲介することもできます」と、セラピストで作家のポール・ホークマイヤー博士は助言する。

    ・言いたいことをすべて書き留める

    相手に話したいポイントを忘れないように書き留めておくのもおすすめ。毒友に会う前には、ひとりで、もしくは大切な人と一緒に、言いたいことをきちんと伝える練習をするのもいいかもしれない。

    close up of adult hands writing with pen and paper
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    話すときは正直に

    友情を終わらせる理由については誰にも説明する義務はないが、あなたの立場を説明することで、あなたの境界を友人に理解してもらいやすくなるかもしれない。また長期的には、自分の境界について正直になり、それを守る方がいいと専門家は言う。

    ・決めたことを明確に

    「これらの友情を終わらせるための最良の方法は、問題についてあなたが考えたことを相手に直接伝え、友情を維持できないと伝えることです」とタリー博士。これには、あなたが受け入れられない、相手の特定の振る舞いを伝えるということも含まれる。

    「その関係のなかでどのように感じたかを正直に話し、友達ではいたくない理由を説明しましょう」

    ・あなたの対応可能な時間や、彼らとの接触を制限する境界を設定する

    またソマーフェルトさんは、相手との時間やコンタクトの取り方に明確な制限を設けることが大切だとコメント。もしその相手との接触を完全に断つのであれば、あらゆる連絡手段を排除し、SNSのアカウントや電話番号をブロックしたり、出くわすかもしれない場所を避ける、といったことが考えられる。

    もしくは、相手との時間や接触を制限する境界線を設定することも。「ノーと断ってもいいですし、つねに相手に対応しなくてもいいのです。特に、有害な関係ではそうするべきでしょう」とソマーフェルトさん。

    quality time keeps a bond alive
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    またネザートンさんは、あなたが問題があると感じる特定のパターンに境界線を設定することもできると話す。

    「何があなたを悩ませているのか、フィードバックを検討してはどうでしょうか」「例えば、『私があなたに内緒で伝えたことを、あなたが職場のグループに話してしまったことで、私は傷付いた。あなたがプライベートな情報を他の人と共有しないことは、私にとっても、私たちの友情にとっても重要なことなの』というように」

    ・耳を傾けてもらえない場合は、向き合う必要はない

    「相手は、怒りや悲しみを表してくるかもしれません。特に、これまであなたから不満を聞くことなくニーズを満たしてもらうことに慣れていた場合は、そうなるでしょう」とワゲージさん。「もしそうなっても、それはあなたが何かを間違えているということではありません」

    相手があなたの話を最後まで聞こうとしない場合は、会話に参加しないこと。絶えず守りの姿勢を取ったり、あなたの名前を呼び続けたり、あなたの思いを相手に伝えることができないようにしてくるときは、会話をやめてその場を去るべきというサイン。

    couple looking serious
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    この時点であなたはすでに言いたいことを伝えており、今後は新しい境界で前進していくことが必要。もし直接伝えきれなかった場合は、手紙を書いてもいい。

    その後は自分を大切にケアして

    有害な友情から立ち直るのは簡単なことではないかもしれない。私の場合、元ルームメイトと離れたときは非常に傷付きやすくなり、愛する人たちからのサポートが必要だと感じた。

    また、元ルームメイトと共有した素敵な思い出のいくつかを振り返り、正しい決断だったのかと不安になることもあったが、最終的には、有害な友情を終わらせて人生を続けていくことは間違っていなかったと気付くことができた。

    ・境界線を越えない

    相手との間に明確な境界線が引かれたら、もう一度友情を取り戻すことはせず、その境界線を忠実に守るようにしよう。「その相手にもう一度手を差し伸べないことです。相手から一緒に何かをしようと誘われても、丁重に断りましょう」とタリー博士は語る。

    コミュニケーションの繋がりを完全に断ち切り、必要に応じて電話番号やSNSをブロックすることもできる。自分の境界線と、必要だと思うものを尊重して。

    ・いい友人に囲まれるようにする

    元ルームメイトとの経験がトラウマのようになってしまった私だったが、大切な人たちのサポートによって乗り越えることができた。

    girlfriends in the city
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    ネザートンさんは、友人のサポートが必要なときは素直に頼り、自分のニーズを満たしてくれる関係に、時間やエネルギー、感情を費やすべきだと話す。

    「健康的な友情とは、相互関係にあるものです。互いに相手の人生を豊かにし、理解され、活力をもらえたと感じる相互作用が働きます」とワゲージさん。このような友達は、あなたに必要な方法であなたを愛し、大切にし、支えてくれるはず。

    ・自分を第一に考える

    あなた自身のニーズと感情的な幸せを尊重し、有害な友情を終わらせることが正しい決断だったと知ること。厄介な状況や事態の混乱を避けるために、自分のニーズよりも他者のニーズを優先させてしまうこともあるが、まずは何よりも自分自身と向き合うことが必要となる。

    「自分自身を第一に考え、あなたとあなたの人生にとって何が健康的なことかを考えてください」とゾマフェルトさんはアドバイスする。

    young woman watching sunset while enjoying nature
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    健全な関係にフォーカスし、セルフケアをより意識して、自分が幸せでいるために必要なものを優先させるようにしよう。

    ※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

    Translation: Ai Ono From Prevention