扇(扇子)は縁起が良い?理由やプレゼントの際に気を付けたいポイント

扇子といえば、日本では縁起の良い品物として有名です。お祭りやお祝い事など、おめでたい場面で扇子が用いられるのを見かけたことがあるでしょう。縁起物である扇子は、贈り物のシーンにも喜ばれます。ご家族やお世話になった方へのプレゼントに扇子を選んではいかがでしょうか。こちらの記事では、扇子の縁起が良いとされる理由をお伝えします。贈り物で気を付けたいポイントも併せてお伝えするため、ぜひ参考にしてみてください。

扇(扇子)は縁起が良い?

大切な方へのお祝いをはじめとした、おめでたい贈り物のシーンでは、縁起の良い品物を選びたいですね。日本では古くから扇(扇子)は縁起が良いと考えられてきました。そのため、さまざまなお祝い事やおめでたい場面で、扇子を贈る習慣があります。縁起物として親しまれてきたことから、プレゼントをお探しの方にもおすすめです。扇子が贈り物に選ばれる場面として、以下の例が挙げられます。

【扇子を贈る場面の例】

長寿祝い 61歳の「還暦」、70歳の「古希」、77歳の「喜寿」、80歳の「傘寿」、88歳の「米寿」、90歳の「卒寿」、99歳の「白寿」、100歳の「百寿(紀寿)」などに扇子を贈ります。
退職祝い6.5寸用 お世話になった方の定年退職や、永年勤続をお祝いして扇子を贈ります。
卒業祝い 学校を卒業したお子さんへの記念品として扇子を贈ります。
新築祝い 住まいの新築や引越しによる新生活をお祝いして扇子を贈ります。
開店・開業祝い  新規開店や、起業・独立などをお祝いして、装飾品の扇子を贈ります。
成人式  成人式のお祝いに、記念撮影の着物姿に似合う扇子を贈ります。
七五三 お子さんの成長をお祝いして、記念撮影の着物姿に似合う扇子を贈ります。

お祝いにお勧め扇子

このように、扇子を贈るのに適した場面は数多くあります。なお、扇子といえば夏に涼をとるために使う「夏扇子」がよく知られていますが、贈り物の場面では別の種類の扇子が選ばれることも珍しくありません。たとえば、自宅や店舗の装飾品として用いられる「飾り扇子」は、扇面に縁起の良いモチーフが描かれたものも多く、贈り物にもよく選ばれます。プレゼントにどんな扇子を選ぶべきか迷ったら、どうぞお気軽に老舗の伊場仙までお問い合わせください。

 

扇子は縁起が良いとされる理由

扇子は、七五三のようなお祝いの儀式で身に付けることが多いだけでなく、吉祥文様(=縁起が良い絵柄のこと)として着物や帯にあしらわれることもあります。なぜこのように縁起物とされているのでしょうか。ここでは、日本で「扇子は縁起が良い」と考えられている理由をご紹介します。

形が末広がりのため

日本では、古くから「末広がり」の形は縁起が良いと考えられてきました。末広がりとは、先のほうへかけて徐々に広がっていく形状のことを指します。そこから、未来へ向かって広がっていくと捉えられ、永久的な発展や繁栄、繁盛などを意味するようになったのです。なお、扇子の一種でありお祝い事に用いられる「祝儀扇」を、「末広」と呼ぶことがあります。これは、おめでたい末広がりの形が由来となった呼び方です。

幸せや富の象徴のため

扇子は平安時代に生まれた道具です。やがて宮中に広まると、貴族の女性たちの装飾品として、華やかな色柄があしらわれた扇子が用いられるようになりました。当時の扇子は一部の高貴な身分の人が使うもので、まだ庶民には使われていなかったようです。こうした背景から、扇子が幸せや富の象徴になり、幸運を連想させる縁起物として扱われるようになったとする説もあります。

神聖なもののため

扇子は神様に奉納する舞に使用されてきました。舞を神様に捧げることで、無病息災や五穀豊穣を祈っていたのです。やがて舞に使われる扇子自体にも神聖な力が宿っていると考えられ、縁起物になったとする説もあります。なお、扇子は茶道でも特別な役割で用いられる道具です。たとえば茶席では、挨拶の際に膝の前へ「茶扇子」を置くことで境目(結界)を作り、相手の方を敬う気持ちを伝えます。

贈り物に扇子を選ばないほうが良いケース

ここまでお伝えしたように、扇子は縁起物であることから、基本的には贈り物に適した品物だとされています。その一方で、お祝いの場面の中には、扇子がプレゼントに向かないと考えられている場合もあります。以下の贈り物と縁起に関しては諸説あり、考え方はさまざまです。扇子が向かないとされているケースについても確認してみましょう。

結婚式のとき

諸説ありますが、結婚祝いの贈り物に扇子を選ばないほうが良いとする考え方もあります。その理由は、扇子には「広がる」という要素があるため、新郎新婦の距離が広がってしまうことを連想させるためだといわれています。ただし、こちらはあくまで一つの考え方です。扇子を贈り物に選ぶときは、プレゼントを受け取る方の気持ちに配慮しながら検討すると良いでしょう。

 

なお、扇子は結婚式で和装をする際の小物として用いられています。たとえば、新郎新婦が和装をする場合は扇子を身に着けるのが一般的です。女性の第一礼装である白無垢や色打掛を着た花嫁さんは、「筥迫(はこせこ)」や「懐剣(かいけん)」などの持ち物と合わせて末広を持つことで知られています。また、男性の第一礼装である黒羽二重五つ紋付を着た花婿さんも、扇面が白地の扇子「白扇(はくせん)」を手に持ちます。

 

結婚式では新郎新婦だけでなく、和装で列席するゲストも扇子を身に着けるのが一般的です。たとえば、新郎新婦の家族の女性は、第一礼装の黒留袖や色留袖などを身に着けますが、帯に末広を挿して挨拶などで使います。新郎新婦の家族の男性は、新郎と同様に第一礼装の黒羽二重五つ紋付を身に付けて、白扇を手に持ちます。

 

このように、扇は縁起が良いとされており、結婚式でも主役や列席者に使われるアイテムです。結婚祝いでは選ばないほうが良いとする説もありますが、基本的には縁起物として知られています。

 

中国の文化圏で恋人に扇子を贈る時

中国の文化圏でお祝いをするときは、基本中国語で、扇子は「善行(シャンズ)」と同音異義語で、「優しさ」「善行」を意味することから、友達へのプレゼントに最適です。また、結婚式や求婚の際に贈り物として使われることもあります。民間伝承では、扇子は邪気を払い、愛を定着させる縁起物としても使われています。

しかし、扇子を恋人同士で贈ることはあまり人気がありません。その理由は、中国語で扇子(シャンズ)の発音が、「散(シャン)華」という言葉を連想させるためです。扇子は夏に使い、冬には捨ててしまうという事もあり、別れをイメージさせることからです。

また、中国では扇子は縁起物としても贈られ、芸術作品としても評価されています。書道扇面は、美の楽しみを与える優雅な芸術の贈り物とされています。現在では、中国伝統文化に興味のある人にとって、扇子を贈ることは良い選択と言えます。

このように、世界各地の様々な習慣によって、実際の象徴的な意味も国や地域によって大きな違いがあります。文化の異なる方への贈り物のシーンでは、相手の文化的な背景まで配慮してふさわしい品物を選択しましょう。

縁起物の扇子はおめでたい場面のプレゼントにぴったり!

ここまでお伝えしたように、扇子は古くから縁起物として知られています。長寿祝いや成人式、七五三などのさまざまなお祝い事で、贈り物に適しています。縁起の良い素敵なプレゼントをお探しなら、扇子を選んではいかがでしょうか。プレゼント選びでは、相手の方の気持ちに配慮して品物を決めると安心です。お伝えしたポイントを参考にしながら、おめでたい場面にふさわしい贈り物をお選びください。