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金利が上がると経済はどうなる?
金融政策が私たちの生活に及ぼす影響について

2023/03/22
(提供元:CyberKnot

日本は超低金利時代といわれますが、この状態がいつまでも続くわけではありません。金利が上がるとどうなるかを知って、必要な備えをしておきましょう。本記事では、金利上昇が我々の生活に与える影響について説明します。

そもそも金利とは?

そもそも金利とは?

金利が高いか低いかで、多方面に影響が出ます。そもそも金利とは何か、金利が上がると経済はどうなるかを確認しておきましょう。

金利の仕組み

金利とは、お金の貸し借りをする際に発生する手数料です。金利は常に一定ではありません。物の値段と同様、お金に対する需要と供給のバランスによって変動します。金利はお金の取引をする「金融市場」で決定されます。

金利と株価の関係

一般的には、金利と株価はシーソーのような関係です。金利が上がるとお金を借りにくくなるため、企業は設備投資に消極的になります。その結果、売上や利益が減って、株価が下がる傾向があるのです。逆に、金利が下がるとお金を借りやすくなり、企業は設備投資を行い積極的に事業拡大します。売上・利益が増え、株価が上がります。

金利と物価の関係

金利は、物価とお金の価値のバランスをとるものです。物価が上がるとお金の価値が下がり、物価が下がるとお金の価値が上がります。物価上昇時には金利が上昇し、お金の価値を上げる方向に働きます。逆に、物価下落時には金利が低下し、お金の価値が下がる方向に向かうのです。

為替と金利の関係

円安になった場合、海外から物を購入する際に支払う代金が増えます。輸入物価上昇に伴い国内物価も上昇傾向となり、金利が上がります。逆に、円高になった場合には物価が下落し、金利が下がるのです。

我が国の金融政策

金融政策とは物価や経済の安定を図るための政策で、中央銀行により実施されるものです。日本の中央銀行である日本銀行(日銀)でも、世の中に出回るお金の量や金利の調整を行っています。

日銀が操作する対象となる金利を「政策金利」といい、政策金利を上げることを「利上げ」下げることを「利下げ」といいます。

長引く超低金利時代

日銀は1999年に「ゼロ金利政策」を導入して以降、ほぼ一貫して金融緩和策を取ってきました。金融緩和策とは、政策金利の引き下げや資金供給量の増加により景気を回復させる政策です。これにより、日本では20年以上、超低金利時代が続いています。

日銀は金融緩和策を継続

日銀は2022年12月、金融緩和策を一部修正し、長期金利の上限引き上げを行いました。日銀の黒田総裁は「利上げや金融引き締めではない」ことを強調しており、金融緩和策は当面維持されるものと思われます。

金利が経済活動に与える影響

日本では超低金利の状態が続いていますが、いずれは金利が上がることが予想されます。金利が上がると、我々の生活や企業活動は大きな影響を受けるでしょう。以下、金利上昇による影響について、具体的に説明していきます。

金利が上がると住宅ローンはどうなる?

金利が上がると住宅ローンはどうなる?

我々の生活で金利の影響が大きいものといえば、住宅ローンです。金利が上がると、住宅ローンはどうなるかを説明します。

住宅ローン金利の決まり方

住宅ローンの金利には固定金利と変動金利があり、借入時には次の3つの金利タイプから選択できます。

金利タイプ 特徴
全期間固定金利型 借入の金利が返済終了まで全期間にわたり一定
変動金利型 半年ごとに金利が変化するが、返済額は5年ごとに見直し
固定金利期間選択型 当初一定期間の金利を固定

変動金利の決まり方

住宅ローンの変動金利は、短期プライムレートに連動しています。短期プライムレートとは、金融機関が貸付期間1年以内の融資を行う際の最優遇金利のことです。短期プライムレートは日銀の政策金利に連動します。つまり、変動金利は金融政策の影響を受けやすいのが特徴です。

固定金利の決まり方

住宅ローンの固定金利は、代表的な長期金利である「新発10年物国債の利回り」を基準に決まります。国債の利回りに影響を与えるのは、投資家の将来予測です。つまり、住宅ローンの固定金利は、投資家の将来予測の影響を受けます。

金利上昇でローンの返済額が増える

2022年12月に日銀が長期金利の上限を引き上げたことを受け、2023年1月、大手都市銀行は10年固定型の住宅ローン金利を引き上げました。今後日銀が短期金利を引き上げれば、変動金利も上がることが予想されます。

変動金利型・固定金利期間選択型は注意

住宅ローンの金利が上昇すると、トータルの返済額が増えます。既に住宅ローン契約をしている人の場合、全期間固定金利型なら影響はありません。

一方、変動金利型では返済額が増えるため、返済計画の見直しが必要になるでしょう。固定金利期間選択型でも、固定金利期間終了時点の金利水準でその後の金利が決まるため、影響を受けてしまいます。

住宅ローン利用者が金利上昇に備えるには

変動金利型や固定金利期間選択型の住宅ローン利用者は、金利の動向に注意しておき、金利上昇への備えをしておきましょう。1つの方法として、超低金利の間に全期間固定金利型に借り換えるという選択肢も考えられます。しかし、大手銀行では既に住宅ローン固定金利の引き上げを行っており、全期間固定金利型に借り換えるメリットがなくなりつつあります。

貯蓄や繰り上げ返済を考える

元金均等返済の場合、金利が上昇すると毎月の返済額が増えてしまいます。返済額が増えても対応できるよう、無駄な固定費を削るなど家計の見直しをしましょう。また、貯蓄を増やすことも大切です。

元利均等返済の場合にも、毎月の返済額のうち利息の割合が増え、返済総額がふくらんでしまいます。利息の負担を減らすには、繰り上げ返済が有効です。

金利が上がると企業活動はどうなる?

金利が上がると企業活動はどうなる?

金利上昇は企業の活動にも大きな影響を与えます。金利が上がると企業活動がどうなるかをみてみましょう。

設備投資がしにくくなる

企業は、金融機関などから資金調達して事業を行っています。金利が高いと、資金調達のコストが増えてしまいます。設備投資も難しくなり、積極的な事業拡大がしにくくなるでしょう。金利上昇により、企業の活動は抑制されることになります。

利益が減少することも

企業が金利上昇後も同じ利益を得るには、コストが増大した分を価格に反映しなければなりません。しかし、実際には値上げが難しいことも多いでしょう。金利上昇コストを価格に転嫁できなければ、利益が減ってしまいます。

金利上昇に向けた企業の対応策

金利が上昇すれば、借入金の利息負担も増える可能性があります。金利が上がる前に、借入金をできるだけ返済しておきましょう。また、金利が上がっても継続可能なビジネスモデルを構築しておくことも有効な対策です。

まとめ

金利が上がると住宅ローンの返済総額が増えるなど、我々の生活への大きな影響があります。企業においても金利によって事業活動が抑制されかねないため、金利上昇に備えた対策が必要です。金利が上がるとどうなるかを想定し、対応を考えておきましょう。



著者プロフィール

著者 森本 由紀

AFP(日本FP協会認定)、行政書士、夫婦カウンセラー

大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。

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