しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2023年12月18日(月)

輸出殺傷兵器 21品目

ライセンス生産 弾薬や銃・砲身

与党提言受け

写真

(写真)ドイツからのライセンス品である155ミリりゅう弾砲FH70(陸上自衛隊提供)

 日本の軍需企業が他国の企業から設計図などの技術を得て国内で生産するライセンス(使用許諾)生産の武器をめぐり、弾薬、銃、砲身の21品目など大量の殺傷兵器が含まれていることがわかりました(表)。防衛省が本紙の取材に、79品目のライセンス品のうち一部を開示しました。政府はこうした武器の輸出原則改定に突き進んでおり、日本も国際紛争で殺りくの当事者になる危険があります。

 政府は、ライセンス品のライセンス元国への移転は米国に限定していました。防衛装備庁によれば、弾薬や砲身などの火器はほとんどライセンス品で、欧州各国からのものが多数。リストによれば、火器のライセンス元国は8カ国で、うち7カ国は欧州です。このため、従来の原則では、日本から弾薬類の海外移転はできませんでした。

 これに関して武器輸出に関する与党実務者協議の提言(13日決定)が米国以外のライセンス元国への移転も可能にするよう求めたのを受け、政府は22日にも武器輸出三原則と運用指針を改定し、これら弾薬などの移転を可能にする方向です。「国際紛争の助長の回避」との三原則の理念を完全に形骸化させるものです。

 弾薬をめぐっては、ロシアのウクライナ侵略を受け、自民党内から、ウクライナへの提供を求める声があがりました。欧米各国がウクライナやイスラエルに提供することで自国の備蓄分が枯渇。このため、日本に弾薬類の移転を求める声があがっていました。

 与党実務者協議の提言も「装備品の需給がひっ迫」しており、「同盟国、同志国との間での完成装備品の移転に係る国際協力」を強調しています。

 提言は、ライセンス元国から第三国への移転に関し、戦闘地域への移転が無いよう求めていますが、具体的な歯止めは示していません。(小林司)

開示された弾薬・砲身・銃のライセンス品
ライセンス元 種別・名称
米国 【誘導弾等】シースパロー/改良ホーク/
PAC2/PAC3/70ミリロケット弾
【艦艇搭載武器】62口径5インチ砲/垂直発射装置(VLS)
英国 【火砲・弾薬】81ミリ迫撃砲/81ミリ迫撃砲用りゅう弾/
16式機動戦闘車の砲身/155ミリりゅう弾砲用りゅう弾
フランス 【火砲・弾薬】120ミリ迫撃砲/120ミリ迫撃砲用りゅう弾
ドイツ 【火砲】155ミリりゅう弾砲FH70/90式戦車の砲身
イタリア 【艦艇搭載武器】54口径127ミリ速射砲/62口径76ミリ速射砲
ベルギー 【小火器】5.56ミリ機関銃MINIMI
スウェーデン 【火砲・弾薬】84ミリ無反動砲/84ミリ無反動砲用りゅう弾
ノルウェー 【弾薬】20ミリ多目的弾

pageup