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流言やデマ、巧妙化に危惧 SNSや生成AI、どう対応―関東大震災100年

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関東大震災当時の新聞に掲載された朝鮮人に関する記事(国立国会図書館所蔵)

関東大震災当時の新聞に掲載された朝鮮人に関する記事(国立国会図書館所蔵)

 100年前に発生した関東大震災では、事実無根のさまざまなデマや流言が飛び交い、大きな混乱が生まれた。現代社会では情報を発信、収集する手段としてSNSの活用が進む一方、生成AI(人工知能)などを使った巧妙な偽画像が投稿された例もあり、専門家は「情報の真偽が確認できないときは拡散しないことを心掛けてほしい」と話している。

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 災害時に被災状況や犯罪に関連したデマや流言が広まる例は多く、関東大震災では「富士山が噴火した」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」など根拠のないうわさが広まった。新聞社が火災で焼失したことなどにより情報・通信網がまひ。チェック機能が働かず、発行された新聞には誤報も掲載されたという。

 日本大学の中森広道教授(災害社会学)は災害と流言の関係について「人々の感じる潜在的な不安が流言という形で表れる。(関東大震災では)火災が起きた理由や治安、生活などに対する不安や不満から、根拠のない話を作ったり広めたりしたのでは」と推測する。

 近年は、情報の拡散力が強く、被災状況を把握しやすいことから、自治体などで災害時のSNSの活用が進んでいる。しかし、2016年4月の熊本地震では「動物園からライオンが逃げた」という文章と偽の画像が投稿、拡散され問い合わせが殺到する事態に発展。昨年9月に台風15号の影響で静岡県内が記録的な大雨に見舞われた際には、住宅が水没したように見える写真が投稿されたが、生成AIを用いて作成された偽画像と判明した。

 ソーシャルメディアについて研究する国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授は、SNSにより「(デマの)訂正情報も広まりやすくなった」とメリットを挙げる一方、生成AIで画像を作る技術が進化していることから「(偽物か否か)判断する技術も高度化していく必要がある」と指摘する。

 その上で、「政府自身が正しい情報を迅速に発信するプラットフォームをつくるべきだ」との考えを示している。

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