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民進党・頼氏がリード 野党共闘が難航―台湾総統選まで3カ月

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【図解】台湾総統選の立候補予定者

【図解】台湾総統選の立候補予定者

  • 11日、台北市で開かれた後援会設立総会で演説する台湾総統選候補の頼清徳副総統(中央)
  • 教育関係者の集会で気勢を上げる台湾総統選候補の侯友宜・新北市長(手前中央)=10日、台北市
  • 11日、台北市で開かれた宗教関係者の昼食会に出席した台湾総統選候補の柯文哲・前台北市長(中央)

 【台北時事】来年1月13日に投開票される4年に1度の台湾総統選まで3カ月となった。現段階では、蔡英文政権の親米親日路線を引き継ぐ民進党の頼清徳副総統(64)がリードを保っている。最大野党・国民党候補の侯友宜・新北市長(66)は、他の野党候補との共闘を実現できず、伸び悩む。頼氏が当選すれば、1996年の直接選挙開始以来初めて同じ政党が3期連続で政権を維持することになる。中国の習近平政権は民進党を「台湾独立勢力」と敵視しており、総統選後、中台関係は一層緊張する可能性がある。

台湾、総統選介入への警戒広がる 中国演習、「恐怖」演出か

 台湾メディアTVBSが9月下旬に公表した世論調査結果では、支持率で頼氏が34%とトップ。第3党、民衆党の党首、柯文哲・前台北市長(64)が22%で続き、侯氏は僅差の21%で3位に甘んじた。無所属の鴻海(ホンハイ)精密工業創業者、郭台銘氏(72)は9%にとどまる。

 ◇「親中」で苦戦の侯氏

 「国民党は中国寄り。台湾で生まれ育った人は頼清徳を支持するよ」。侯氏の牙城、台湾北部の新北市役所で10日、市民の劉慧真さん(65)はきっぱりと語った。台湾では独立でも中台統一でもない「現状維持」を支持する人が多数派だ。国民党は強い組織力を持つが、「親中国」と見なして拒否する人が多く、野党分裂のあおりで侯氏は苦戦している。

 頼氏は11日夜、台北市で、中国広東省などからの移民である「客家」の人々でつくる後援会の設立総会に参加した。客家は従来、国民党への支持が厚いとされてきたが、切り込みを図った形だ。頼氏は「民進党は一貫して客家に最も親しい政党」とアピール。1000人以上の出席者から大きな拍手を浴びた。

 一方、警察官僚出身の侯氏は外交手腕などの資質が不安視され、各世論調査で国民党支持層すら固め切れていない。侯氏は10日の「双十節」(建国記念日)を記念して台北市で開かれた教育関係者の集会に出席。「当選すれば教育予算を1%増加させる」と訴えたが、拍手は少なく盛り上がりに欠けた。

 ◇譲らぬ柯、郭両氏

 野党分裂は、民進党に「漁夫の利」となるため、侯氏陣営は柯氏に立候補を取り下げ共闘するよう働き掛けている。しかし、若者を中心に一定の人気がある柯氏は強気で、「世論調査で支持される方が総統候補になるべきだ」と主張。今のところ譲歩する気配はない。

 「変える好機だ」。台北市では郭氏の写真やスローガンが車体に貼られたバスやタクシーが目立つ。一代で世界的な企業家となった郭氏の名は知れ渡っているものの、無所属のため、出馬には有権者の1.5%に当たる約29万人の署名が必要。陣営によれば署名は30万人を上回ったが、引き続き署名集めの拠点が各地に置かれている。長年、中国政界と関係を構築してきた郭氏が人気を得れば、支持層が重なる侯氏にとって逆風となる。

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