派閥全廃、首相判断苦慮も 自民内に存続論
自民党が22日に開いた政治刷新本部の会合では、派閥の解散を巡り賛否が交錯した。岸田派などの解散決定を受けて派閥全廃論が勢いを増す中、慎重な意見も目立った。自民は25日に政治改革の中間取りまとめを公表するが、岸田文雄首相(党総裁)は解散を求める党内外の声に苦慮しそうだ。
「それぞれの派閥関係者が自らどうけじめをつけ、説明責任を果たすかは重要だ」。首相は会合に先立つ同本部役員会で、他派閥の今後については個別の判断に委ねると強調した。
首相が18日に岸田派解散を打ち出すと、安倍、二階両派も続いた。22日の刷新本部では「廃止しないと分かりにくい」などと全派閥が足並みをそろえるよう促す意見が上がった。無派閥の青山繁晴参院議員らが議員連盟を立ち上げるなど、派閥解体を求める動きは党内で強まっている。
一方、麻生太郎副総裁は首相に麻生派存続の意向を伝達。茂木派会長の茂木敏充幹事長も方針を明らかにしていない。
首相は岸田派解散に踏み切ったが、閣僚経験者は「首相は急ぎ過ぎた」と指摘。安倍派中堅も「自分だけ解散して後は野となれ山となれだ」と不満を示した。22日の刷新本部でも、出席者が「派閥の是非が論点ではない」「見直すべきは功罪の『罪』だ」とくぎを刺した。
自民が22日にまとめた論点整理では、派閥について「お金と人事からの完全な決別」を明記した。ただ、事実上派閥の存続が前提とも言え、「存続派」「全廃派」双方に配慮した内容だ。全派閥の解散が視野にあるのかどうか首相の真意は見えず、石破茂元幹事長が22日の会合で「全てなくすべきという考えなのか」とただしたのに対し、首相は「(岸田派解散は)けじめだ」と応じるにとどめた。
解散賛成派のベテランは「世論は当然派閥をなくすと思っている」と指摘。25日の中間取りまとめに向け、首相は難しい決断を迫られそうだ。