知らないと損？「自己都合退職」と「会社都合退職」の違い

退職の理由はさまざまですが、大別すると「会社都合退職」と「自己都合退職」の2種類があります。両者は名前の通り、退職となった理由が自身と会社どちらに起因するのかにより区別されます。

その違いは呼び方だけではありません。例えば、失業給付金（失業保険）の支給開始日や給付日数・手当などに違いがあります。ちなみに、昨今は新型コロナウイルスの影響による業績悪化で、「会社都合退職」となるケースが増加しています。

倒産や事業所の廃止、経営難によるリストラ、解雇など、会社側の都合により、労働者の意思に関わらず一方的に労働契約が解除される退職は「会社都合退職」です。「会社都合退職」の場合、個人が会社に対して退職願などの書面を提出する必要はありません。むしろ、退職願を提出することで、後々自己都合退職として扱われ、失業保険の申請に影響する可能性があるので注意が必要です。

「会社都合退職」では、失業給付金はハローワークに離職票を提出後、待機期間の7日を過ぎた後、約1カ月後に1回目の支給を受けられます。また、給付日数は90日〜330日です。

転職、自身の結婚・出産・転居・病気、家族の介護など、労働者の事情による退職は「自己都合退職」です。また、悪質な規律違反、法律違反などにより懲戒解雇された場合も「自己都合退職」として処理されるケースが多いようです。「自己都合退職」の場合、会社に退職の意思を伝え、必要に応じて退職届などの書類を提出します。一般的には、会社に対し退職する意向を伝えるのは、退職希望日の1カ月以上前とする会社が多いです。「自己都合退職」では、失業給付金は待機期間の7日にプラスして2カ月間は受け取れません。また、給付日数も90日〜150日と、会社都合よりも短いです。

「自己都合退職」よりも「会社都合退職」の方が失業給付金を早くもらえますが、いったん「自己都合退職」で退職したことになっていても、「会社都合退職」にできるケースもあります。具体的には、パワハラやセクハラ、給与の未払いや大幅な減給、長期にわたる長時間労働など、会社側の問題が原因で退職した場合などです。このような場合、ハローワークが「会社都合退職」と認定・判断すれば、後からでも「会社都合退職」にできます。

退職後に別の会社に履歴書を提出する際、退職理由の欄には「会社都合退職」の場合は「会社都合により退職」、「自己都合退職」の場合は「一身上の都合により退職」と記載します。また、面接では前職の退職理由について質問をされるかもしれません。会社の倒産など労働者ではどうしようもない理由による会社都合退職ならば、そのまま伝えても差し支えないでしょう。しかし、懲戒解雇など自身の問題による退職だった場合は、しっかりと対策を練っておく必要があります。素直に自分の問題点を反省し、どう改善していくのかを答えられるようにしましょう。

◎「会社都合退職」は倒産やリストラなど、会社側に退職の原因がある場合に適用されます。失業給付金が早く、長く受け取れるなどのメリットがあります。
◎「自己都合退職」はキャリアアップのための転職や家庭の事情など、労働者に退職の原因がある場合に適用されます。 会社都合退職と比較すると、失業給付金を受け取るまでに時間がかかる点などがデメリットです。
◎どちらになるかで、退職後の活動に違った影響がありますので、退職時によく確認しておきましょう。