タンポポの種類や見分け方を、県立自然史博物館生物研究係の大森威宏さん(56)に教えてもらいました。
在来種、外来種、雑種… 大きく分けて60種
タンポポはキク科タンポポ属の植物で、世界中で見られます。昔から日本にある在来種、外国から入ってきて定着した外来種、在来種と外来種から生まれた雑種があります。
タンポポの分類は難しく、大まかに分けると世界中で60種あるとされますが、細かく分けて1600~2500種とする説もあります。外来種は1900年ごろに北海道で見つかり、全国に広がっていきました。その後、80年ごろから雑種も確認されるようになりました。
タンポポの増え方は二つあり、種類ごとに異なります。一つはめしべに花粉が付く受粉を利用して種を作る方法。もう一つは花粉を利用せずに種を作る方法です。
受粉する場合は親の遺伝子を半分ずつ受け継ぎます。一方、花粉を利用しない場合は親の遺伝子をそのまま受け継ぐという違いがあります。
種には綿毛がついていて、風に乗って遠くに運ばれるようにできています。子孫を残すため、条件の良い場所に種が落ちる確率を高める工夫です。
在来種同士の受粉じゃまして雑種に 外来種のセイヨウタンポポ
これまで日本では、外来種のタンポポが増えて在来種は減っていると考えられてきました。しかし、畑の周辺など昔から土地の使い方が変わっていない場所では在来種が多いのです。
問題になっているのは、雑種が増えていることです。外来種の中でも、特にセイヨウタンポポは在来種のタンポポと受粉することが分かっています。
在来種のタンポポのめしべにセイヨウタンポポの花粉が付くと、同じ在来種の受粉がじゃまされてしまいます。すると、純粋な在来種のタンポポが減ってしまうのです。
タンポポの見分け方を紹介!
総苞の形や向きに注目
県内のタンポポは主に5種類の在来種と3種類の外来種、そして雑種に分けられます。一部のタンポポの見分け方を紹介します。
大切な手がかりになるのがタンポポの花の下の緑色の部分「総苞(そうほう)」です。内
側を内片、外側を外片と呼びます。総苞の形や向きである程度区別することができます。