横須賀と横浜で料金差のある学童保育事情について、神奈川新聞「追う! マイ・カナガワ」取材班が昨年12月に取り上げたところ、県内各地からさまざまな課題が寄せられた。その中で、川崎市の保護者や学童運営者からは「川崎は民設学童への公的補助がなく、運営に困っている」という声が。有志団体が先月から、市に学童施策の検証を求める陳情を出すため、署名活動も始めたという。人口154万人、子育て世代も多い川崎市で、なぜ補助が出ないのだろうか─。
同市では、全市立小114校に独自事業「わくわくプラザ」(わくわく)を設置しており、保護者の就労に関係なく全児童が無料で利用できる。一方で、市に届け出ている民設学童は企業運営などを含めても24カ所。同様に全児童対象の「放課後キッズクラブ」を全校設置している横浜市内には民設学童も222カ所(企業運営以外の補助対象)あり、比較すると川崎はかなり少ない。
学童事業は国の基準を踏まえ、各自治体が条例で定めて実施しているが、国や県からの分を含めた補助金の配分は自治体ごとに自由に決められる。民設学童も補助している横浜市と異なり、川崎市では国・県を含め補助金を交付しておらず、特に現在8カ所ほどある保護者や地域住民らが運営する「自主学童」は資金繰りに困っているという。
その保護者ら有志が立ち上げた「川崎市の学童保育の充実を求める会」は「川崎でも学童を必要とする家庭が年々増加している」と訴え、(1)現状のわくわくが条例基準や制度に沿って運営され、かつ保護者のニーズを満たしているか(2)民間学童を補助事業とすべきか─について検証することを求めた陳情を、同市議会に来月提出する予定だ。
現場の実情を探るため、市内の自主学童を訪ねた。
やりがいはあるのに…
川崎の民設学童、なぜ補助金ない?市は独自施策、現場苦悩
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放課後の居場所として、自宅のようにくつろいで過ごす子どもたち=川崎市宮前区の学童「スキップ鷺沼」 [写真番号:1113922]