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嫌なことを思い出して落ち込んでいる女性

嫌なことばかり思い出すのはなぜ?つらい記憶を頭から消し去る方法

嫌な記憶を思い出してつらい、人からされて嫌だったことが頭をよぎる…。嫌なことばかり思い出してしまう理由と対処法を、薬に頼りすぎない治療に定評がある精神科医の平光源さんが解説します。

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嫌なことばかり思い出す3つの理由

過去の失敗を振り返ってつらくなったり、人に言われたことを思い出したりして落ち込んではいませんか? 嫌なことをくり返し思い出してしまうことは、誰にでもあります。しかし、沈んだ気持ちが続いている人は、物事のとらえ方や思考のクセに原因があると考えられます。

嫌なことを思い出してしまうのは、危機管理能力が高すぎる、ネガティブ思考が強いなどの理由があります。次から、その理由をくわしく解説します。

(1)危機管理能力が高すぎる

イライラする女性

嫌なことばかり思い出す人の特徴として、危機管理能力が高すぎることがあげられます。一見優れた能力に思えますが、先を予想してトラブルを回避しようとするあまり、最悪の事態を考えることがクセになっています。

休日なのに仕事のことを考えて憂鬱になったり、新しいことに挑戦するときに過去の失敗がよぎって不安になる人は、これに当てはまるかもしれません。

このような人は、何をするにも「思った通りにいかなかったらどうしよう」「前もダメだったからうまくいかないかも」と、リスクや失敗が頭から離れません。これが嫌なことばかり思い出す原因に。

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(2)ネガティブ思考が強い

2つ目の理由は、ネガティブ思考が強いことです。嫌なことばかり思い出してしまう人は、楽しかったことや良かったことよりも、悪かったことを優先して思い浮かべる傾向があります。

例えば、仕事のプロジェクトの場合。ネガティブ思考が強い人は、プロジェクトが成功しても、良かったことには目を向けずに「もっとああすれば良かった…」と後悔するばかり。一方ポジティブな人は、成功を素直に喜ぶことができ、失敗しても「できなかったことは次に活かせばいい」と切り替えられます。

ネガティブ思考が強い人ほど、マイナスな感情を引きずるクセがあり、嫌なことばかり思い出してしまうのです。

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(3)本能で過度に失敗を恐れている

3つ目の理由は、必要以上に失敗を恐れているからです。

そもそも人間を含むあらゆる動物は、思い出したくなくても嫌なことを思い出すようにできています。

動物は、敵の力を見誤ってケガをしたり、逃げ損ねたりして失敗をすると死んでしまいます。失敗を未然に防ぐために、日ごろから不安や恐怖を感じ、危険に備えます。つまり人間も、嫌なことを思い出すのは失敗から身を守るための本能なのです。

ほかの人と比べて過度に失敗を恐れている人は、動物としての本能は優れているものの、生きづらさを感じやすい傾向があります。

夜の方が嫌なことを思い出しやすいのはなぜ?

眠れない女性

寝ようとして目を閉じると嫌なことが浮かんで、眠れなくなった経験がある人は多いのではないでしょうか。

人間は昼よりも夜の方が、嫌なことを思い出しやすいとされています。夜は昼に比べて感情的になりやすい時間帯です。誰でも自分の気持ちをコントロールすることが難しくなり、嫌なできごとを思い出しやすくなったり、負の感情を切り替えられなくなったりします。

反対に日中は、夜の睡眠によって脳がリフレッシュされ思考力が高まるとき。仕事や勉強、家事に集中できるため、ネガティブな感情に支配されることなく、前向きに過ごせます。

嫌なことばかり思い出してしまったときの対処法

嫌な気持ちをポジティブに切り替えようとする人が多いのですが、それはなかなか難しいものです。気持ちではなく、行動を変えることでうまく感情をコントロールできます。

物事を悪い方ばかり考えて眠れない夜や、つらいことをくり返し思い出してしまうときに、次から紹介する方法を試してみてください。

心の中で「ストップ」と唱える

嫌なことを思い出したら「考えるのはストップ!」「考えても仕方がない」と、心の中で唱えましょう。これを何回か続けると、頭の中がリセットされて、くり返し思い出していた嫌なことが消え去っていきます。

嫌なことを何度も思い出し続けていると、「あのときこうすれば良かった」「私はダメ人間だ」などとネガティブ思考のループにはまってしまいます。嫌な記憶が少しでもよぎったら、自分自身でマイナス思考を断ち切る練習をして、心を守ることが大切です。

笑ってみる

笑顔な女性

嫌な記憶が頭から離れないときは、無理にでも笑ってみてください。気持ちが沈んで笑うことすら難しいときは、口角を上げて“ニッコリ笑顔”を作るだけでも大丈夫。家族や仲のいい友達、かわいい動物のことを考えながら笑うとより効果的です。

“笑うこと”には、次のような効果があることがわかっています。

リラックスできる

笑顔を作ると、心身をリラックスさせる作用がある「アルファ波」という脳波があらわれます。脳と体が緩んで、たかぶった感情を鎮めてくれます。

感情がコントロールできる

笑うことで脳の血流がアップ。思考をつかさどる大脳の一部「大脳新皮質」に流れる血液量が増え、思考力が回復して、マイナスな感情に振り回されにくくなります。

幸福感が得られる

脳から幸せホルモンといわれる「オキシトシン」や「エンドルフィン」が分泌されます。幸福感が高まり、嫌な記憶にこだわらなくなります。

呼吸が深くなり気持ちが落ち着く

声を出して笑うと横隔膜が緩み、自然と「深く息を吸って吐く」ことをくり返すようになります。呼吸が深くなることで緊張がおさまり、心がラクに。

このように心と体はつながっています。楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるのです。おもしろいことや楽しいことがなくても、笑顔を自分で作ることで自然と嫌な気持ちが消え去っていきます。

呼吸を整える

心が落ち着かないときは、まずは深呼吸をしてみてください。不安を感じたり、ネガティブになっているときは、心身を興奮させる交感神経が優位になり、呼吸が浅くなっています。深く呼吸をすることで、心身をリラックスモードに切り替える副交感神経が働き、気持ちが落ち着きます。

次から心を安定させる呼吸法を2つ紹介しますので、どちらも楽な体勢で行ってみてください。眠れない夜にもおすすめです。

4・4・8呼吸法

「4秒・4秒・8秒」のリズムで呼吸をくり返し、副交感神経を優位にする呼吸法。次第に心が軽くなるのを実感できます。

【やり方】
4秒かけて息を吸い、4秒息を止め、8秒かけて吸った息をゆっくり吐きます。これを2分ほどくり返します。

瞑想する女性

チベット式呼吸法

チベットに古くから伝わる呼吸法。全身が緩んで頭の中が整理され、不安な感情がおさまるでしょう。

【やり方】
4秒かけて息を吸い、4秒かけて吐きます。息を吸うときに頭の中で「心は」、吐くときに「緩まる」と唱えてください。息を吐くときには、全身の力を緩めるイメージで行うのもポイント。

続けて4秒かけて息を吸い、4秒かけて吐き、次は吸うときに「私は」、吐くとき「ほほえむ」と唱えます。息を吐き終わったら、実際にニッコリほほえんでください。これを4セット行います。

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ポジティブ行動で嫌なことから意識をそらす

落ち込んでいたのに、友達と遊んでおしゃべりしたら心が軽くなった経験がある人も多いのでは? 人と話す、出かけるなどのポジティブな行動をとることで、自然とネガティブ感情を切り替えることができます。嫌なことを思い出してしまうときは、自分が「楽しい」「心が落ち着く」と思える行動をとってみてください。

おすすめのポジティブ行動は…

  • スイーツを食べる
  • 音楽を聴く
  • 友達に電話をかける
  • 運動をする
  • 歌を歌う
  • 好きなタレントの動画を視聴する
  • 好きな香りを楽しむ
  • 絵を描く など

嫌なことを思い出したら、なるべく早めにネガティブな感情から意識を遠ざけることが重要です。

嫌なことを思い出さないようにする方法

誰でもふとした瞬間に嫌なことを思い出して、気落ちした経験があるはず。普段の生活で嫌なことを思い出しにくくする予防策を解説します。

「嫌なこと」を「いいこと」に変換してみる

考える女性

嫌なことを思い出したら、その記憶を頭の中でポジティブなものに変換してみましょう。次の例のように「いいこと」に換えてください。

  • 上司に怒られた→期待してくれているから怒られるんだ!
  • 自分の発言で誰かを傷つけたかも→今気づけて良かった。今度謝ろう。
  • 失敗ばかりでつらい→失敗を経験したから、やり方を覚えた。次はうまくやれるはず。

多少無理やりポジディブ変換してもOK。頭のなかで反芻するうちに悪いことばかりではないと思えるようになります。

すべての物事は、悪い側面だけではなくいい側面もあります。この思考のクセがつくと、物事を両面から見られるようになり、ネガティブ感情にとらわれにくくなります。どんなできごともいい経験だと思えて、「嫌なことばかり思い出す」という回数が減るでしょう。

嫌なことを思い出してしまう自分を許す

いつも嫌なことを思い出す人は、「自分は人より劣っている」と責めてしまうことがあります。責めるのではなく自分を許して、自分自身で心を労わってください。

人から言われた言葉が忘れられない人は、それに耐えた自分を褒める。過去の失敗を引きずりがちな人は、悔しがるほどがんばった自分を肯定しましょう。

日ごろから自己肯定のクセをつけると、「次は失敗せずできるかも」「自分なら大丈夫」と考えられるようになります。憂鬱な気持ちや不安感が減り、嫌なことを思い出しにくくなるでしょう。

まとめ:嫌なことばかり思い出すときは、ポジティブな気持ちに切り替えよう

嫌なことばかり思い出す原因は、マイナスな感情に引っ張られていたり、失敗から身を守るためだとお伝えしました。負の感情が浮かんでしまったときでも、自分を責めずに認めてあげてください。

嫌な気持ちになったら、なるべく早めに気持ちを切り替えることも大切。今回紹介した呼吸法やポジティブ行動を取り入れてみましょう。

また、普段の生活から嫌なことを思い出さないように、つらいできごとがあったら、ポジティブな方向に考える練習を。続けるうちに次第に肯定感が高まり、ネガティブな自分を変えることができます。

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