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2023.02.08

今こそ、東京からの首都移転を議論するべきなのかもしれません。

今こそ、東京からの首都移転を議論するべきなのかもしれません。

もう、かなり前になりますが、日本の首都移転について活発に議論されたことがありました。

ご存知のとおり、アメリカの首都はニューヨークではなく、ワシントンDCです。最も栄えている都市と、政治の中心である首都が別の都市なのです。何かとアメリカに右に倣えの日本なのですから、日本だって、首都を東京から移転させれば良いじゃないか。そうすれば、東京の土地の価格が下がって良いじゃないか、という意見がありました。

一方、フランスのパリのように、一極集中の首都もあります。首都移転に反対する人の中には、東京は、パリのような海外の都市と国際的な競争をしているのだから、「首都移転によって東京の足を引っ張ってはいけない」という人もいました。

この手の話は、賛成・反対、いろいろと意見が分かれるわけですが、基本的には自分が得をするほうを応援するのが世の常です。

ですから、人口の多い東京と、人口の少ない地方都市との間で、首都移転の議論をしたところで、東京の圧勝に終わるのは当然です。

ところで、どうして、当時、首都移転の議論が活発になったかと言えば、東京の土地の価格が高騰して、とんでもないことになったからです。いわゆる、「不動産バブル」です。しかし、その不動産バブルが弾けて、土地の価格が下がってしまい、いつの間にか首都移転の話を耳にすることもなくなりました。

それから30年が経ったわけですが、最近、岸田首相が言い出した「異次元の少子化対策」のためにも、再び、首都移転を真剣に考えれば良いのにな、と私は思うのです。少子化の原因は、子育てにお金と労力がかかり過ぎることです。それは、みんながわかっています。だからこそ、高等教育を無償化しようという動きがあります。

しかし、子育てにかかるお金は、教育費だけではありません。都心に自宅マンションを購入する場合に、子供が一人なのか二人なのかで、検討するマンションの間取りが変わります。子供が一人であれば2LDKで良いけれど、子供が二人いるなら3LDKにしなければいけない、とか。子供が三人なら、あるいは、四人なら・・・。2LDKと3LDKでは、1000万円くらいは価格が違うでしょう。だから、子供の数が増えれば増えるほど、検討するマンションの立地はより郊外になります。でも、職場と自宅の距離が離れれば、多くの子供を育てる親にとって、気力と体力の消耗がより激しくなります。

そんなしんどい思いをするのであれば、子供の数を絞って、都心に近いところでちょっと余裕を持って暮らしたいと考える人が多いのではないでしょうか。

今、新型コロナウィルスの登場によって、テレワークが日本社会に根付き始めました。これは、子育て世代にとっては、うれしいことだと思います。まずは、少子化対策としても、日本政府がテレワークを推進しいくことが必要なのかもしれません。

さらに、ここで思い切って、首都移転まで踏み込めば、地方が活性化されて、右肩下がりの日本経済に大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。テレワークを上手く活用すれば、東京から新首都への引越を強制されることも最小限に留めることができます。

それでは、もし、日本で首都移転を実現するとすれば、どこに首都を移すべきか、妄想してみましょう。

過去に、日本の首都移転が議論された際には、福島県や三重県などが有力な候補に挙がっていました。しかし、当時も福島県は、降雪の影響があるのではないかと不安視されていました。一方、三重県は、日本の中央に位置しているものの、日本全国からの交通アクセスが不便だとの指摘がありました。

しかし、テレワークが普及した世の中では、もう、交通アクセスの良さは首都であるための必要条件ではありません。

それでも、東京からのアクセスくらいはクリアしておかないといけない、とうことであれば、奈良市あたりはどうでしょうか。中央リニア新幹線が開通すれば、東京から1時間での移動が可能になります。名古屋からだと、20分くらいでしょうか。新大阪からは10分くらい?そうすれば、西日本からのアクセスも問題なさそうです。

奈良なら、富士山が爆発しても影響はありませんし、海がないから津波も来ません。ただし、地面を掘れば、あちらこちらで遺跡が出現するのがリスクです。

と、ここまで日本の首都移転について語りましたが、私は首都の移転先が必ずしも奈良でなけばいけないと思っているわけではありませんし、それどころか、絶対に首都を移転しなければいけないとも思っていません。

何よりも大事なことは、この30年間、何も変わらなかった(本当は、いろんなことが変わりましたが)日本を、大きく変える「きっかけ」が必要なのではないかと思うのです。その「きっかけ」さえあれば、日本の状況は大きく好転するかもしれません。もちろん、地道に一歩一歩改善していくことも大切ですが、ここまで来たら、思い切った仕掛けが必要です。

その日本を大きく変える「きっかけ」が何であるのか、日本中のみんなで考え続けることが大切だと思うのです。 「あきらめるな、日本!」