現在志向バイアス|経済行動の心理学

現在志向バイアスとは、将来に得られる "大きな" ベネフィット(価値)と、今すぐに得られる "小さな" ベネフィット(価値)を天秤にかけて、後者を選択してしまうという人間の心理特性のことです。

例えば、
◆ 今すぐ、あなたに "100万円" をプレゼントします。
◆ 1年後に、あなたに "200万円" をプレゼントします。

と言われたら、明らかに200万円のほうが得なのですが、それでも、ちょっと迷ってしまいませんか?

中には、100万円を手にして、なんらかの投資でそのお金を1年で200万円以上に増やせる人がいるかもしれません。

ひょっとして、長期デフレの日本であっても、ある日、突然、ハイパーインフレが起こるかもしれません。

あるいは、1年経ったら相手の気が変わって、1円も 貰えないかもしれません。

しかし、100万円を自力で増やす術がなかったとしても、あるいは、ハイパーインフレが起こらないとわかっていても、そして、”必ず” 1年後に200万円がもらえると約束されていたとしても・・・。

「今すぐの100万円」 と 「1年後の200万円」 のどちらを取るのか、迷う人がいるはずです。

それだけ、時間的に先に(将来に)得られるベネフィット(価値)は、過小評価されてしまうのです。

逆に言えば、今、得られるベネフィット(価値)は、過大に評価されるのです。

◆ 1年後の体重5kg減量よりも、目の前のポテトチップス。
◆ 3年後の有名大学合格よりも、目の前のYoutube。
◆ 5年後のマイホーム購入よりも、目の前の新車購入。

明日から頑張ろう。今日くらい良いじゃないか。頑張った自分へのご褒美だ。

どんな言葉を並べたとしても、それは言い訳でしかありません。そして、その根底には「現在志向バイアス」という人間の脳のクセが横たわっているのです。

逆に、このような「現在志向バイアス」を利用して、商品を販売しようとする人達もいます。

◆ 今すぐ、ダウンロード!
◆ 本日限りの限定品!/先着100名さま!
◆ 明日から結果が出るダイエットサプリ!

これらは、現在志向バイアスを突いたキャッチコピーです。

目の前にあるベネフィット(価値)を過大に評価していまい、本来の価値以上の何かを感じて必要以上にお金を支払わないように注意しましょう。