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すべての錠剤に対応する可食性インクへのチャレンジ

課題

可食性インクとは、食品衛生法に基づく食品添加物公定書をベースに、食用色素を色材として使用した、食品または食品添加物だけで構成・製造されたインクのことです。もちろん食品に直接印字することもでき、食べても安心。無臭なので食品への匂い移りなどもありません。

可食性インクへの経験と実績から、開発がどんどん進み、どんな食品にも印字できるようになりました。中でも「可食性備長炭インク」は、和歌山特産の備長炭からできたインク。食品添加物に相当する植物炭末色素で、当然食べても安心。マンゴーやナシなど果物のほか、せんべいやまんじゅう、お茶パックにも印字可能。この開発の成功が、業界の課題であった「錠剤」への挑戦となりました。

錠剤への印字は、メーカーのブランド価値を高めるだけではありません。正しく飲んでこそ効能が見込める薬の誤飲防止に大きな役割を果たします。

その中でも問題となったのは「OD錠」と呼ばれる「口の中で溶ける薬」です。基本的に薬は、口の中では溶けずに飲み込むことで効果を発揮するもの。一方、OD錠は水がなくても飲めるラムネ状の薬ことをいい、表面がまったくコーティングされずに崩れやすいことから、通常のシルクスクリーンでは印刷できないという問題が発生していました。

また通常OD錠は、文字や柄などが浮き出るエンボス加工が施されています。ただこの場合、文字が同系色で読みにくく、お年寄りの薬の飲み間違いも発生。これは製薬会社も大きな課題として問題視していました。

要点

  • 開発の経験と実績を生かし、どんな食品にも印字できる「可食性備長炭インク」を発表。食品添加物に相当する和歌山特産の備長炭で、高級果物の産地やブランド名、生産者ナンバーを記したりと用途は多岐にわたり、開発の成功が、ここ近年の業界の課題であった「錠剤」へのチャレンジとなりました。
  • 中でも、表面がまったくコーティングされず崩れやすい「OD錠」への印字に挑戦。今までのエンボス加工ではなく、表面にくっきりと印字することで、誤飲をなくすとともに信頼性のあるメーカーとしてのブランド価値を高めていきます。

対策

OD錠に印字する場合、通常のシルクスクリーンでは、印刷時に接触して薬の粉が付いてしまうという問題点を改善。紀州技研が持つインクジェットプリンターであれば、その問題を一気に払拭。もともと対象物にインクを直接吹き付ける方式なので、非接触のまま印字作業を進めることができます。この技術を生かして、錠剤専用のインクジェットプリンターとインクの開発を進めました。

課題となったのはインク。今までのものでは、太陽光の当たり具合や時間の経過とともに、染料が消えてしまうおそれがありました。消えてしまっては、インクジェットプリンターに変えた意味がなくなってしまいます。そこで当社では、紀州の備長炭からできた可食性備長炭インクの「顔料」に着目したのです。

インクジェットプリンターで使用するインクには顔料と染料があります。顔料は、水に溶けきった染料と違い、粒子が大きく着色力が強いことから、時間の経過や太陽光などで、文字が消えることはありません。可食性備長炭インクも、炭末の粒子で、色落ちしにくい顔料が主体。そこで当社では、この顔料インクにこだわり開発を続け、2015年に世界初となる「高解像度(ドロップオンデマンド方式)インクジェットプリンター」と「速乾性アルコール顔料インク」を発表しました。

世界初となったのは、360dpiの高解像度(ドロップオンデマンド方式)インクジェットプリンターに対応したアルコール顔料インクの印字に成功したこと。従来、速乾性のあるアルコール顔料インクは、低解像度(連続方式)インクジェットプリンターでしか印字できず、文字や柄の見にくさが目立っていました。それをドットの密度を高めたことで、より鮮明に読みやすく、綺麗に印字することができるようになりました。しかも薬の錠形を選ばず、OD錠からNC錠、FC錠、カプセル、糖衣錠まで、すべての錠剤に印字が可能。印字速度は業界最速の60m/分(1000mm/秒)まで対応しています。

インクとしての最大の特徴は、自社開発の速乾性アルコール顔料インクによる優れた「耐光性」と「耐湿性」。水性顔料インクでは印字しにくいFC錠や糖衣錠に対しても、速乾でかつ高い接着性を誇っています。現在は特許申請も終了し、実際に製薬会社などに導入され、一般ユーザーの方々に常飲されています。

要点

  • 錠剤の中でもOD錠と呼ばれる「口の中で溶ける薬」への印字が最大の課題。通常のシルクスクリーンでは、印刷時に接触して薬の粉が付いてしまう問題が発生していました。
  • 自社で開発した360dpiの高解像度(ドロップオンデマンド方式)インクジェットプリンターとアルコール顔料インクにより、すべての錠剤に高精細&速乾印字が可能になりました。
  • 水性顔料インクでは印字しにくいFC錠や糖衣錠に対しても、速乾でかつ高い接着性を誇り、さらに優れた耐光性と耐湿性で、特許も取っています。

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