計測機器や各種センサの原理・使い方を徹底解説

気泡センサとは?動作原理と実用例を解説

2022.11.17

液体の中に気泡が混入すると、その液体を扱う人体や機械に大きな影響を与えることもあります。そうした影響を未然に防ぐために使われるのが気泡センサです。今回は、気泡センサについて、原理、用途も含めて詳細に解説していきます。

 

気泡センサとは?

気泡センサとは、液体の中の気泡を測定するための機器です。主には液体を満たしたチューブ内の気泡の存在を検出するために使用されます。

 

気泡センサの種類と動作原理

気泡センサには、大きくわけて3つのタイプがあります。光電式、静電容量式、超音波式の3つです。いずれも非侵襲的に気泡の存在を確認できるタイプです。

 

|光電式

光電式センサは、チューブ内の気泡や液体によって遮られるビームの受信信号によって気泡の存在を確認するタイプです。センサが設定された閾値以上か以下かを判断し、閾値を超えるとセンサの出力が切り替わる仕組みになっています。測定精度が環境光の変化や、センサ面の汚れ、液体の透明性、温度変化などで左右されてしまうことがデメリットです。

 

|静電容量式

静電容量式は、光電式に比べてより幅広い材料と直径のチューブに使用可能です。 また、チューブ内壁を汚すような血液などの液体に使用した場合でも信頼性の高い測定をできるのが利点です。また、超音波式に比べるとコストが安くすむので、気泡検出のためのコスト効率のよい方式でもあります。ただし、一定以上のチューブサイズでない計測できない、5mm以下のマイクロバブルの検出には適していないなどのデメリットがあります。

 

|超音波式

超音波式は、トランスデューサが片側で超音波を発生させ、チューブを通して反対側のトランスデューサに伝え、その信号強度から気泡の存在を認識するタイプです。超音波が液体を通過する一方で、気泡を通過できずに反射される特性を利用しています。超音波式は、径の細いチューブやマイクロバブルの検知にも適しています。また、一度工場で校正すれば、現場での校正は必要ありません。超音波式は、高精度の気泡検知が要求される分野で活用されているタイプです。

 

気泡センサの使用例

気泡センサの使用例として、医療技術、バイオテクノロジー、半導体産業の3つについて解説していきます。

 

|医療技術

気泡センサは、多くの医療機器、分析機器、実験用機器をモニターするために不可欠な部品となっています。たとえば、手術中に一時的に心臓と肺の機能を代行し、人間の血液と酸素の循環を維持する心肺バイパス術(CPB)では、動脈ポンプから出る血液内の気泡の存在を確かめるためにチューブにクランプされて利用されます。これによって手術中に空気塞栓を起こすリスクが生じたときに動脈ポンプを自動的に停止できるのです。

ほかには、透析装置でも気泡センサが用いられています。透析装置には、圧力、流量、液面など監視して、異常を検出するためのセンサが必要となり、気泡センサはそのシステムの中の重要な要素です。気泡センサは、透析装置の前面パネルに組み込まれ、血液を患者に戻す前の最後の安全部品として機能しています。

 

|バイオテクノロジー

バイオテクノロジーでは、バイオプロセスの上流および下流にモニタリング用に気泡センサが設置されることがあります。液体の流量、容積と気泡の混入度合いを迅速かつ正確に測定することで、ポンプ制御にフィードバックしたり、液体の吐出や充填をコントロールしたりします。

 

|半導体産業

半導体産業では、たとえばシリコンウェーハを製造するプロセスにおいて気泡センサが重要な役割を担っています。製造プロセスの中で使われるウェーハの洗浄液が過剰になったり、不足したりすると洗浄プロセスを正常に完了できずに、最悪の場合だとウェーハを廃棄しなければなりません。そのため、工程の中で利用される洗浄液の流量を正確に測定し、製造に大きな影響を及ぼす気泡の有無を確認することが重要なのです。

 

SONOETECの超音波式流量・気泡センサ

株式会社クローネでは、SONOTEC(ソノテック)社の気泡センサを取り扱っています。SONOTEC社は、1991年に設立された超音波測定技術のリーディングカンパニーの1つです。SONOTECは、安全性が高く、高精度で、外部からの影響にも強く、長寿命な超音波式の流量・気泡センサを開発・製造・販売してます。SONOTECのセンサは、医療産業、バイオテクノロジー、ライフサイエンス、製薬分野、食品・飲料、半導体産業など、さまざまな分野で活躍しています。ISO9001(品質マネジメントシステム)と、ISO13485(医療機器の品質マネジメントシステム)の認証も取得済みです。

ここでは、SONOTECのSONOFLOW(ソノフロー)シリーズと、SONOCHECK(ソノチェック)シリーズをご紹介します。

 

|SONOFLOWシリーズ

SONOFLOWシリーズには、超音波式のクランプオン型流量センサと、同じくクランプオン型で気泡検出も可能な流量・気泡センサがあります。

いずれも非侵襲性センサなので、液体に接触させることなく流量や気泡を測定可能で、特に衛生基準の厳しい場面において適したセンサです。チューブの外側に取り付けるクランプオン型なので、センサが汚染されたり、接続部から液体が漏れたりするリスクもありません。PVC、シリコン、PFA、PTFE等、様々なチューブ素材に対応しています。

特長

  • 非侵襲的なクランプオン型
  • 流量測定と気泡検出が可能(55は流量測定のみ)
  • 高精度な計測可能
  • 医療用用途にも配慮した設計
  • 長寿命でいつでもスムーズに動作

 

|SONOCHECKシリーズ

SONOCHECKシリーズは、気泡測定を目的としたクランプオン型の気泡測定装置です。SONOCHECKシリーズのセンサでは、液体の監視だけでなく、ウェット・ドライも判断できます。そのため、容器の液体が満タンか空を判定したり、水位センサとして応用したりすることも可能です。

特長

  • 非侵襲的なクランプオン型
  • 自己調整式の気泡センサ
  • カスタマイズ可能なモジュールシステム
  • マイクロバブルも検出可能
  • 最高水準の安全性
  • ユーザーによるセンサの感度調整が可能

 

まとめ

気泡センサは、わずかな気泡の侵入すら許されない場面では、システムの品質を保持するための重要な測定器の1つとなっています。医療分野を筆頭に、精度、安全性、寿命において高い水準が求められる分野では、超音波式の気泡センサがおすすめです。株式会社クローネでは、超音波式の流量・気泡センサの世界的な大手であるSONOTEC社のセンサを複数取り扱っています。「気泡センサについて、さらに詳しく知りたい」という方は、ぜひ株式会社クローネまでご相談ください。専門スタッフがすぐに対応いたします。

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