原発事故から12年、岸田首相は、処理水の放出を早ければ8月24日に始めるという大きな決断を下しました。これに対し中国は強い反発を示しています。
【岸田文雄首相】
「具体的な放出時期については、気象・海象条件に支障がなければ、8月24日を見込みます。今後数十年の長期にわたろうとも、ALPS処理水の処分が完了するまで、政府として責任をもって取り組んでまいります」
福島第一原子力発電所から出た処理水について、岸田首相は、「国際社会の正確な理解が確実に広がりつつある」と述べ、条件が整えば放出開始日を24日とすると表明しました。
福島県では9月1日から、底引き網漁が再開されます。そのため政府は8月中に放出を始めて、海水のモニタリング結果を示し、安全性を強調したい考えです。 福島県の漁師からは、風評被害を懸念する声が聞かれますが…
【政丸水産 志賀金三郎さん】
「買ってくれる人には、丁寧に『この魚は大丈夫だよ』と訴える」
福島県の内堀知事は22日午後、東京電力の小早川社長に要望書を提出し、漁業などへの新たな風評被害が発生しないよう必要な対策を講じるよう求めました。
【東京電力 小早川智明社長】
「何よりも風評対策。もし風評対策にも関わらず損害が生じた場合には速やかに、適切に賠償を行うこと、こうした取り組みをしっかりと私の責任のもと、実現してまいりたい」
また処理水放出を巡っては、こんな課題も…
【岸田文雄首相】
「一部にみられる輸入規制等の動きに対しては、あくまでも科学的根拠に基づき、早期撤廃をするよう求めていく」
処理水放出に強く反発してきた中国は、22日も会見で日本を批判しました。
【中国外務省報道官の会見】
「この措置は自分勝手で無責任で、われわれは強く反対する」
上海市民は22日の日本政府の発表について…
【上海市民】
「怒りが沸いてきます。これは環境汚染であり、命に対して無責任です」
(Q.処理水はIAEAの基準を下回っていますが?) 「それはよく分かりません」
【上海市民】
「気分はよくないです」
(Q.中国の原発からも排水が流れていて、日本より数値が高いという話は?) 「よく知りません」
【上海市民】
(Q.これからも日本の魚を食べますか?) 「私たちが普段食べている水産物は日本のものとは限りませんから、輸入を制限して口に入らないようにすればいいと思います」
中国は7月、日本から輸入した水産物に対し、一部を抜き取って放射線量を調べる方法から、全てを検査する方法に変更。全ての検査は日にちがかかり、鮮魚が腐ってしまうため、事実上の日本の水産物の締め出しとなりました。この影響か、6月には日本円で約71億円だった日本からの水産物の輸入額が、7月には約47億円と34パーセントほど減少しました。
22日、日本人が営む上海の日本料理店を訪ねると。
【カメラマンリポート】
「以前は日本産の魚を使っていたということですが、今は他の産地の魚に切り替えたということです」
【三丁目寿司居酒屋 寿 山崎将明社長】
(Q.やはり全量検査の影響は?)
「影響は大きいです。日本産のものを使わないで日本食のレストランを運営しなければならない。心境的には早く日本のものを使いたい」
この料理店のお客さんで、日本に旅行に行ったばかりという人からはこんな声もありました。
【日本料理店の客】
(Q.処理水放出は心配ですか?)
「特に心配していません。周りの大人には食べるなと言われていますが、私は別に気にしません」
日本の環境省は、懸念を示している一部の国・地域対して個別に説明会を開催し、科学的根拠に基づいた説明していく考えです。
(関西テレビ「newsランナー」8月22日放送)