MakeUseOf:ビギナーから中堅のフォトグラファーは、自分の写真が「のっぺり」していて、奥行きがないことに気が付いていると思います。これを乗り越えるのは骨が折れる作業ですが、やってやれないことはありません。以下に、6つのコツを紹介します。これを機に、もっとイキイキとした、奥行きの感じられる写真を撮れるようになりましょう。

手前に物を置く

手前に物があると、見る人の視線がまずそこに注がれ、それからその他の部分に移動します。このように、カメラからの距離が異なる2つの物を見せることで、奥行きを印象付けることができます。これは、ポートレートや商品の写真では自明のようですが、風景写真でも効果を発揮します。

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たとえば上の写真を見ると、最初に目が行くのは自転車でしょう。次に、背景に視線が移ります。このように手前に物を置くと、写真の中に複数のレベルの奥行きがあることを強調できるのです。もう1つの例がこちら。

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何が手前の物として機能しているかわかりますか? 柵です。柵があるおかげで、遠くにある湖や木々に奥行き感が生まれます。次に風景を撮影するときは、このアイデアを思い出してみてください。一気にいい写真が撮れるようになるはずです(風景写真には露出合成も有効です)。

リードラインを使う

写真の印象は、見る人の視線の動きに大きく左右されます。そこで、視線の動きをガイドすることで、印象をコントロールできます。人間の視線は線を追う傾向があるので、写真の中に線を作ることで、視線をそれに沿わせることができるのです。

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上の写真を見ると、写真左下から中心へと視線が移っていくでしょう。この写真に奥行きを感じるのはそのためです。「収束」線を利用するのも1つの方法です。現実世界で距離を判断するときに私たちがやっている現象を模擬することで、奥行きを表すのです。下の写真では、道路の両側の屋根のラインが、中心に収束しています。

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これら2つの方法はどんな写真にも通用しますが、特に風景写真で普及しています。でも、大きさや奥行きの感覚を出しづらい町中や屋内では、収束線を見つけると非常に便利です。そのようなシチュエーションでは、このセクションの1枚目の写真のように縦長の写真でも効果を発揮します。

ローアングル

視線より低い位置や目で見るのと違うアングルで撮ると、ユニークな写真になるだけでなく、奥行きを印象付けることができます。地面をたくさん入れることで、前面と背面の違いが強調されるのです。

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この写真は、手前に興味の対象を置くテクニックも使っていますが、根本的にはそれよりも手前にある地面そのものが、前面と背面の違いを強調し、奥行きを出す役割を担っています。

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上の2枚はどちらも、ローアングルで撮ることで地面と建物の間に強力なコントラストを生み出しています。これにより、手前にある地面は非常に近く感じられ、奥にある建物は大きく浮き上がって見えるのです。さまざまなアングルで同じ被写体を撮ることは、スキルを積むためのエクササイズにもなります。ですから、次に写真を撮るときは、どんどん低いアングルからの撮影にチャレンジしてみてください!

光のコントラストを見つける

実世界で景色を見るとき、目は光と陰を参考に奥行きを判断しています。特に陰は、物と物の位置関係を知るための情報を多く含みます。これを、写真でも最大限に利用しましょう。

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上の写真では、アンビルの光がグラデーション状に変化しているのに加え、陰で暗い背景があることでシャープなコントラストが生じ、前面にあるアンビルが「ポップ」に見えています。これを逆に利用しても、同じような効果が得られます。

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このように光と陰を扱うときは、露出の調整が難しいかもしれません。一般的には、露出不足になることが多いようです。そんなときは、編集で光をいじるのも1つの方法です。それから、暗い場所での撮影を練習すると、これらの難しいシチュエーションでも最適な露出を得られるようになるコツがわかってくるでしょう。

フレーム内にフレームを

写真に奥行きを与える、非常に楽しい方法です。写真のフレーム内にフレームになる何かを入れて、景色を切り取ります。簡単な例が、窓やドア越しに写真を撮ることでしょう。

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見た人は、景色の「中」にいるような感覚を味わえます。撮影した本人も、そのときの気持ちを思い出すことができるでしょう。とはいえ、必ずしもこの通りにする必要はなく、背景を使って前面を切り取ったり、また自然の物をフレームとして使うこともできます。

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この写真では、木がフレームの役割を果たしていますが、完全に背景を切り取っているわけではありません。むしろ、写真の3辺、いや2辺にしか存在していません。それでも、同じような効果を得ることができるのです。

被写界深度で遊ぶ

被写界深度とは、焦点が合う距離の範囲を指します。たとえばこの写真は、被写界深度が非常に浅い例です。

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焦点が合っている部分は非常に狭く、本の背表紙の一部に過ぎません。残り部分はボケています。これは、人間の目が遠いところにあるものをはっきり見ることができないことと似ているため、奥行き感のある写真を得ることができます。でも、必ずしもここまで浅くする必要はありません。人物写真なら、もっと深い被写界深度を使っても同じ効果を得ることができます。

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上の写真では被写体に焦点が定まり、背景はボケているため、両者に明確な違いが生じています。「のっぺりとした写真」現象に立ち向かうには、被写界深度の使い方を練習するのがよさそうです。

合わせ技

これらのテクニックを同時に使うことで、どんどん写真が面白くなります。たとえば、被写界深度を浅くして前面に物を置いてみたり、フレーム内にフレームを置いてローアングルから撮ってみたり。ここで紹介した方法は単独でも効果を発揮しますが、1枚の写真の中で組み合わせることで、いっそうの奥行き感を出すことが可能です。練習を積み重ねて、のっぺりとした写真から卒業しましょう!

Fed Up With Flat Photos? Add a Sense of Depth with These 6 Tips|MakeUseOf

Dann Albright(訳:堀込泰三)

Image credits: Beverly Goodwin via flickr, Beverly Goodwin via flickr, Andrés Nieto Porras via flickr, Photo by Shutterstock.