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農林水産省

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簡単にできる!傾斜畑の土壌流亡対策

ポイント

  • 傾斜畑の土壌流亡対策は「土層改良」と後作緑肥の「部分不耕起」。
  • 「土層改良」:収穫後にカットソイラーや心土破砕機を施工。圃場表面を流れる水を地下に浸透させ、土壌流亡を抑制。
  • 「部分不耕起」:後作緑肥をすき込まない「部分不耕起帯」を設置。圃場表面の水の流れを分断し、流出土壌をキャッチ。
  • 2つの対策法を併用することで抑制効果がさらに向上。
  • 生産者が普段使用している作業機を使って取り組み可能。

営農でできる2つの土壌流亡対策技術

対策技術

傾斜畑では、大雨や長雨、春の融雪時などに地下に浸透できない余剰水が圃場表面を流れ、土壌流亡が発生しやすい。技術1では土層改良により表面を流れる水を地下に浸透させる。 技術2は後作緑肥すき込み時に部分不耕起帯を設けることで、水の流れを抑え、流出土壌を補足する。

土層改良後の土壌断面と土壌の硬さ

土壌断面と硬さ

1) 小麦収穫残渣を利用した有材補助暗渠機「カットソイラー」の施工断面。
2) プッシュコーンを用いて土壌の硬さを測定。

カットソイラーによる土層改良により、土壌が膨難化するとともに亀裂などの水みちが形成される。一般的に使われているサブソイラなどの心土破砕機も有効。


後作緑肥を用いた部分不耕起の様子

部分不耕起

1) 積雪前10月頃に撮影。奥が高く手前が低い。
2) 秋の裸地状態時の豪雨や春の融雪時には、表面を流れる水による土壌流亡が問題となる。

後作緑肥をすき込む際に、等高線に沿って緑肥をすき込まない不耕起帯を設置し、表面を流れる水を抑える。


無処理区に対する春先の土壌流亡量削減率

土壌流亡量削減率

1) 現地5事例における実証結果。春先の侵食溝測量により土壌流亡量を算出。
2) カットソイラーの施工間隔は20m以下で実施。
3) 不耕起帯の幅は約5m、等高線方向に30~50m間隔で帯状に設置。

無処理区に対する各処理区の土壌流亡量は、土層改良で20~30%、後作緑肥の部分不耕起で約20%減少した。これらを併用することで土壌流亡抑制効果はさらに向上し、減少率は30~50%となった。


土壌流亡対策、併用の手順と効果の実証

使用手順と効果実証

1 対策前には、圃場表面を流れた融雪水によって土壌流亡・侵食溝が発生。
2 8月:小麦収穫後に土層改良を実施。その後、後作緑肥を栽培。
3 10月:緑肥すき込み時に部分不耕起帯を設置。
4 対策後、翌年4月には土壌流亡が発生していない。

農林水産省のコメント

土壌流亡効果に係る実際のデータが記載されていること、これまで土木的対策が主流であった土壌流亡対策について、農業者自ら営農で解決できるなど導入に当たっての費用も軽減されること、緑肥による地力維持効果も期待できること、から生産現場における普及資料として活用が見込まれると考える。
【生産局農業環境対策課課】

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本研究成果は「農林水産省委託プロジェクト研究、農林水産分野における気候変動対応のための研究開発」(課題名:豪雨に対応するためのほ場の排水・保水機能活用手法の開発)の支援を受けて得られたものである。

成果に関するお問い合わせ先

地方独立行政法人北海道立総合研究機構
中央農業試験場   農業環境部   環境保全グループ
電話番号:0123-89-2001


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