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農林水産省

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見直そう!豆のチカラ

1 豆のこと、もっと知りたい。

日本人にとって、古くからなじみの深い食材である豆。豆腐や納豆、味噌、醤油といった加工品の原料としてだけでなく、和菓子づくりにも欠かせません。さらに節分などの行事にも用いられ、日本人の暮らしの中に息づいてきました。今回は、豆に関するさまざまな情報を紹介します。

写真:様々な豆

豆の基本のキ

世界で食用とされている豆は約70から80種類あるといわれています。日本ではどのような豆が栽培され、どのように使われているのでしょうか。

多種多様な豆の世界

一般的に「豆」とは、植物分類学上、マメ科に属する植物の種子をさし、世界で約650属1万8,000種に及び、植物ではキク科、ラン科に次ぐ一大グループです。日本の市場で流通している豆の主な分類と、それらの特徴をまとめました。

※「豆類」とは乾燥穀物向けに収穫される作物のみを指し、同じマメ科でも、野菜に分類されるさやいんげんなどは対象外。油の抽出や種子用が目的の作物も、「豆類」には含まれないとされています(国連食糧農業機関の「マメと派生産物」の定義による)。

ダイズ属

「豆の王様」「畑の肉」と呼ばれるほど栄養価の高い大豆。豆腐をはじめ、納豆、味噌、醤油、大豆油などの原料として、日本人の食生活を支えている重要な豆です。おなじみの黄大豆のほか青大豆、黒大豆、赤大豆、茶大豆など、熟した豆の色で種類が分かれます。全国的に栽培されていて、未成熟な状態で収穫されたものは「枝豆」として食べられています。枝豆は枝付きのまま、茹でて食べたことがその名の由来です。

写真:フクユタカ
写真:丹波黒
上:フクユタカ 下:丹波黒

ササゲ属

ササゲ属の仲間には小豆、大納言、ささげ、緑豆などがあります。小豆は和菓子に欠かせないあんの原料で、主な産地は北海道。小豆の中でも大粒な品種群は大納言と呼ばれます。

ささげは小豆に似通っているものの、別種とされています。小豆は煮たときに皮が破れやすいため、腹が割れる「切腹」を連想させることから武家社会で嫌われたといわれ、赤飯を炊く際、主に関東地方では、小豆より皮が破れにくく煮くずれしにくいささげが使われたそうです。

写真:小豆
写真:ささげ(褐色)
上:小豆 下:ささげ(褐色)

インゲンマメ属

インゲンマメ属は、豆のサイズや色、柄が多種多様。代表的なものは、金時豆、うずら豆、大福豆、白花豆、紫花豆、とら豆、手亡、レッドキドニーなどがあります。国内の主な産地は北海道です。

諸外国では煮物、焼き物、サラダなどさまざまな料理に広く使われていますが、日本では多くがあんや和菓子、煮豆、甘納豆の原材料として作られています。残りは小袋入りの乾燥豆として流通し、家庭料理に使われています。

写真:大福豆
写真:とら豆
上:大福豆 下:とら豆

ソラマメ属

完熟したそら豆は乾燥させて使用することが多く、煮豆、おたふく豆などの材料に使われます。熟す前の黄緑色のものは野菜として店頭に並び、塩茹でにして食べるのがポピュラーな食べ方です。

莢(さや)が空を向いていることから「空豆」と呼ばれるほか、莢の形が蚕に似ていることや、蚕が繭を作る時期においしくなることなどから、「蚕豆」と書いて「そらまめ」と読むこともあります。

写真:そら豆
そら豆

エンドウ属

若い莢を食べるさやえんどうや、熟す前の状態のグリーンピース(青えんどう)のほか、成熟してから収穫した赤えんどう、白えんどうなどがあります。また、豆苗はえんどう豆の若菜で、葉と茎を食べます。

写真:青えんどう豆
青えんどう

ラッカセイ属

江戸時代に中国から日本へ渡来した際に「南京豆」などの名がつきましたが、その後、普及して「落花生」の名で知られています。由来は、花が地面に落ちて、地中に豆ができることから。脂質を多く含むことから、海外ではピーナッツバターや搾油原料に使われます。国内の主な産地は千葉県、茨城県です。

写真:落花生
落花生

ヒヨコマメ属

ひよこ豆は鳥のくちばしのような突起があり、文字どおりひよこのような形をした小粒の豆。日本でもカレー、スープ、サラダなどの材料として利用される機会が増えています。世界の生産量の約3分の2がインド産です。

写真:ひよこ豆
ひよこ豆

ヒラマメ属

ヒラマメ属に属するレンズ豆は、直径約4から8ミリメートル、厚さ約2から3ミリメートルほどで、凸レンズのような形をしています。扁平な形をしていることから、「ひらまめ」とも呼ばれます。皮付きのものだけでなく皮むき加工をほどこしたものが広く流通しています。主な生産国はインドやトルコなどで、日本では主にカレー、スープ、サラダ、付け合わせなどに用いられています。

写真:レンズ豆
レンズ豆(皮無し)
写真提供:(公財)日本豆類協会

詳しくはこちら

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1012/spe1_01.html

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1606/spe2_01.html

豆たちの来た道

日本でおなじみの大豆、小豆、ささげ、いんげん豆、べにばないんげん、えんどう、そら豆、落花生はいつ、どこからやってきて、栽培されるようになったのでしょうか。

日本の豆の来た道を調べてみると、ほとんどが中国を経由して伝わり、大豆が弥生時代の初期に、次に小豆が、えんどうやそら豆は8世紀頃伝わったとされています。

栽培については、農耕の開始とともに穀類と並ぶ作物として生産されるようになったといわれています。乾燥豆は貯蔵性が高いうえ、高たんぱくな栄養食として重宝されてきました。また、マメ科植物の根に共生する根粒菌の働きによって、地力(ちりょく)の維持・向上が望めることなどから、各地で栽培されるようになりました。

豆たちはこうして日本にやって来た

紀元前 弥生時代

大豆

ツルマメを起源とし、中国では数千年前から栽培されていた。日本へは弥生時代初期に、中国から朝鮮半島を経て、伝わったとされる。

300 古墳時代

600 飛鳥時代

小豆

原産地は東アジアとされてきたが諸説ある。古代遺跡からの小豆種子の出土例では日本が最も古いことから、日本が起源という説も。また、『古事記』にも小豆の名が記されている。

700 奈良時代

えんどう、そら豆

えんどうは新石器時代の遺跡から種子が発見されており、人類と古いかかわりを持つ豆のひとつ。日本へは遣唐使が中国から持ち帰ったとされる。そら豆は西アジアや北アフリカで発祥したと考えられており、中国には前漢時代(紀元前126年)に伝わり、日本へは奈良時代にインドの僧侶によって、中国経由でもたらされたという説もある。

800 平安時代

ささげ

アフリカが原産と考えられており、平安時代の東大寺の記録に、ささげを意味する豆の名が残されていることから、この頃までに中国から渡来したと考えられている。

1200 鎌倉時代

1300 室町時代

1500 戦国時代
安土桃山時代

1600 江戸時代

いんげん豆

中央アメリカから南アメリカが原産地と考えられている。ヨーロッパ経由で中国に伝わり、江戸時代(1654年)に中国の渡来僧 隠元によって伝えられたという説が一般的。

落花生

南米原産で、日本へは中国から伝来したため「南京豆」の別名がある。日本での本格的な栽培は1874年、政府によるアメリカからの種子の導入と栽培の奨励から。

べにばないんげん(花豆)

江戸時代末期、オランダ人が持ち込み、花の観賞用として栽培。食用としては明治時代に入ってからで、1914年には北海道で本格的に栽培を開始した。

1900 明治時代
大正時代~

豆の魅力、再発見!

ひと粒ひと粒は小さいですが、栄養価に優れており、生活習慣病の予防や、健康な体づくりはもちろん、美容にも効果がある豆。普段の食生活にぜひ豆を取り入れてみませんか。

豆には3大栄養素のたんぱく質、脂質、炭水化物が含まれており、それぞれの構成割合によって炭水化物グループと脂質グループに分けられます。

どちらのグループにも、生体機能の維持・調整に必要なミネラル類や、糖質や脂質の代謝を助けるビタミンB群、さらに、ポリフェノールなどの機能性成分や、便秘の予防・改善に役立つ食物繊維が豊富に含まれています。

日本では、甘く味付けされた調理法が多いですが、海外では煮込み料理など、さまざまな調理法で食べられています。

図:炭水化物グループ(小豆、ささげ、いんげん豆、えんどう、そら豆) 炭水化物50パーセント以上、たんぱく質約20パーセント、脂質約2パーセント
図:脂質グループ(大豆) 炭水化物約30パーセント、たんぱく質約30パーセント、脂質約20パーセント
図:脂質グループ(落花生) 炭水化物20パーセント以上、タンパク質約25パーセント、脂質約50パーセント

参考資料:『七訂 食品成分表2020』(女子栄養大学出版部刊 監修:香川明夫)、
『すべてがわかる!「豆類」事典』(世界文化社刊 監修:加藤淳・宗像伸子)、
『「豆」元気、きれい。…豆のチカラ、再・発・見。…』((公財)日本豆類協会刊 監修:近藤和雄 料理指導:牧野直子)

作ってみよう 郷土の豆の加工品

たんぱく源や保存食として、古くから日本各地で生産されてきた豆。それぞれの地域で収穫された豆を利用して、その土地の風土や食文化に根差したさまざまな加工品や郷土料理が作られてきました。家庭で簡単に作れる豆の加工品を紹介します。

大豆

打ち豆

打ち豆は大豆を原料として、福井県をはじめとした北陸地方や東北地方で保存食として作られています。

写真:打ち豆

材料

青大豆(または大豆、黒大豆)
100グラム(適量)

作り方

1

青大豆を洗い熱湯に浸す。 ※浸す時間は豆の大きさなど状態により異なる。(写真は約8ミリメートルの青大豆で約20分浸けて戻した)

写真:青大豆を熱湯に浸す
2

皮がむけない程度に膨らんだら、木槌または金づちにサラシなどをまいて、トントンとつぶす。

写真:青大豆を軽くつぶす
3

つぶした打ち豆は風通しの良い所で1日程度乾燥させる。

POINT

コツは大豆を柔らかくし過ぎないこと。つぶした打ち豆は乾燥させるか、そのまま冷凍庫で保存もできます。味噌汁の具材、煮物、酢の物などに使われます。打ち豆は10分ほど煮ると柔らかくなります。

レシピ提供:『再発見!福井の食』(福井県農林水産部農業技術経営課編)

そら豆

しょうゆ豆

香川県の代表的な郷土料理。そら豆は米の裏作として栽培されていました。そのそら豆を使った「しょうゆ豆」は、特に農繁期には常備食として各家庭で作られていたようです。

写真:しょうゆ豆

材料(4人分)

乾燥そら豆
1カップ
唐辛子
2本
[A]
砂糖
大さじ3から5
醤油
2分の1カップ
1カップ強

作り方

1

そら豆をほうろく(なければフライパン)で芯まで火が通るように、とろ火で20分から30分ほどじっくり煎る。

2

Aの調味料を合わせ、種を取り除いた唐辛子の輪切りを入れてひと煮立ちさせ、煎ったそら豆を熱いうちに入れ火を止める。

3

火を止めて時々打ち返しながら、ひと晩くらいおき、味を含ませれば出来上がり。

POINT

Aの調味液にそら豆を入れてひと煮立ちさせると、早く柔らかくなります。また、煎った豆を2時間から3時間、水に漬けてから調味液に入れる方法もあり(調味液の水は2分の1カップ)、そら豆がより柔らかくなります。甘さは好みにより調整を。

レシピ参考:香川県農政水産部「さぬき味の歳時記」
写真提供:香川県農政水産部農業経営課

落花生

落花生味噌

千葉県の郷土料理。脂質やたんぱく質が多く含まれる落花生は、かつて食料が豊富ではなかった頃から食材として重宝されてきました。味噌と甘味のバランスが良い落花生味噌は、ごはんのお供やお茶うけに愛されています。

写真:落花生味噌

材料(4人分)

落花生
100グラム
大さじ1
砂糖
60グラム
味噌
80グラム
サラダ油
適量

作り方

1

フライパンに油をひいて、こがさないように弱火で15分から20分くらいゆっくりと落花生を煎る。

2

落花生をよく煎ったら酒と砂糖を入れ、砂糖がとけたら味噌を加え弱火で5分から6分煮詰めて出来上がり。

POINT

落花生は小ぶりの豆を選ぶとよいでしょう。落花生をこがさないようにして、十分火が通るように煎ることがおいしく作るポイントです。砂糖、味噌を加えてからは煮すぎないこと。冷めてから固くなってしまいます。

レシピ提供:千葉県農林水産部担い手支援課「ちばのふるさと料理」
写真提供:ちば県女性農業者ネットワーク

煮汁も有効活用!
小豆の煮汁がヒンヤリとろけるスイーツに。

小豆を煮ると渋(アク)が出るので、一般的に和菓子を作る際には、煮出した煮汁を捨てる「渋抜き」を何度か行います。ただ、小豆の煮汁の中にはポリフェノールや鉄分、カリウムなどが含まれているので、捨ててしまうのはもったいない! そこで、煮汁を有効活用したスイーツをご紹介します。

小豆の煮汁はなんと冷蔵庫で冷やすだけで、ゼリー状になるのです。これは小豆に含まれているペクチンとセルロースのなせるワザ。ゼラチンや寒天を加えなくても簡単にできる小豆のお手軽スイーツです。

写真:小豆煮汁ゼリー
小豆煮汁ゼリー

今回教えてくれたのは

監修者プロフィール

(公財) 日本豆類協会

豆類に関する学術の振興、豆を通じた食育の推進と豆食文化の創造、発展を図り、国民の食生活の改善向上に寄与することを目的に1965年に設立された団体。

<外部リンク>https://www.mame.or.jp/

豆と健康-大豆は栄養豊かな健康食

-医学博士 家森幸男教授

私は長年にわたって脳卒中ラットの研究を続けてきました。当時(1960年代)日本人の死亡原因第1位だった脳卒中のリスクを軽減したかったからです。ラットによる実験の結果、脳卒中と塩分の摂り過ぎの関係が明らかになり、加えて同じ量の塩分を摂取していても、大豆や魚などのたんぱく質を摂っていれば、脳卒中になりにくいこともわかったのです。そのことを私は、人から得られたデータで実証したかったので、24時間の尿を採取する装置や簡便かつ正確に測れる血圧計を開発し、1985年から世界60以上の地域で1万4,000人以上から24時間分を集めて、分析を始めました。尿のバイオマーカーを調べれば、普段の食生活がわかります。この疫学調査によって、大豆の摂取量が多い地域ほど、動脈硬化や心臓病などの循環器疾患が少ないことが判明しました。大豆には脂質の吸収を妨げる働きがあるため、肥満の予防にも有効です。肥満が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを高めることがわかっています。塩分や脂質が多い食事は避け、大豆を含む和食を中心とした食生活を心がけ、感染症や生活習慣病を予防していきましょう。

専門家プロフィール

医学博士

家森 幸男教授

医学博士。京都大学名誉教授。現在、武庫川女子大学教授、同大学国際健康開発研究所所長、兵庫県健康財団会長、NPO法人世界健康フロンティア研究会理事長。世界で初めて脳卒中ラットの開発に成功し、脳卒中が栄養で予防できることを実証。著書に『大豆は世界を救う』『大豆ダイエットレシピ』(ともに法研)、『ついに突き止めた究極の長寿食』(洋泉社)などがある。

写真:家森 幸男教授

編集後記

豆は私たちの生活に欠かせないもので、様々な加工品や食べ方がありますね。そんな豆の中でも、私が一番おいしいと思うのは塩ゆでにしたそら豆です。数年前まで、千葉県館山市の父の友人が、旬の時期になるとそら豆を送ってくれました。ほんとうにおいしいそら豆なので、食べているときが幸せで、山ほどいただいたそら豆がそれこそあっという間になくなってしまったものです。(ちなみに千葉県はそら豆の収穫量、出荷量とも、全国で鹿児島県に次いで第2位だとか。)(広報室SD)

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