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aff 2022 JULY 7月号
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海ではたらく!未経験でも学べる場所がある 漁師になろう!

海ではたらく!未経験でも学べる場所がある 漁師になろう!

漁師に興味はあるけれど、資金の確保や技術の習得方法などが分からず諦めている人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、実際に未経験者から漁師になった2人の若者とその師匠へのインタビューや、漁師に憧れる方が第一歩を踏み出すための情報を紹介します。

Iターン漁師さんに密着レポート! Iターン漁師さんに密着レポート!

生まれ育った地元を離れ、
長崎県にIターンした若手漁師の
古川佑宇さんと吉住駿さん。
おふたりはどんなきっかけで漁師を目指し、
長崎県へとやってきたのでしょうか。
おふたりの「これまで」と「これから」に迫りました。

一本釣り漁師を目指しアニメで憧れた五島へ 一本釣り漁師を目指しアニメで憧れた五島へ

いまやクレーン作業もおてのもの。スムーズな操作で網を釣り上げ、
船底の活魚倉で魚を生きたまま保存。沖合の生簀へと移し替える。

古川佑宇さん(25歳)五島漁業協同組合 古川佑宇さん(25歳)五島漁業協同組合

古川佑宇さんは長崎県の五島漁業協同組合に所属し定置網漁業に従事する、漁師歴6年になる若手漁師。実は古川さんは、長崎から遠く離れた埼玉県の出身です。
「小さい頃、祖父に釣りを教えてもらってから釣りが大好きになり、いつからか釣りを仕事にしたいという思いが強くなりました。五島に来たのは、都会育ちの書道家と五島の島民の触れ合いを描いた漫画原作のアニメ『ばらかもん』に影響を受けたから(笑)。どうせ漁師になるなら、気候も人も温かい五島でやりたいと思いました」
高校卒業後、漁業就業支援フェアに参加し、漁業学校「ながさき漁業伝習所」の就業前研修を受講。そこで出会ったのが、漁師歴60年の師匠の柿森強さんでした。

力いっぱい網を引き上げる古川さん(右から3人目)「漁で使う網やロープがとにかく重くて、最初は体力的にとても厳しかったです」

「強面だし言葉もよくわからなくて怖かったけれど、一本釣りが希望だった僕に『海と漁の勉強をするなら、定置網を知っておきなさい』と、親切に定置網漁を教えてくれました。一本釣りにはない大漁の時の喜びに魅せられて、今では定置網漁一本でやっています。
体力的な厳しさと船酔いも克服し、立派な漁師となった古川さんですが、18歳で親元と地元から離れ五島で漁師修業を始めた時には、寂しさもあったと振り返ります。
「最初は友達もいませんから、少し寂しかったですね。移住当時は埼玉時代の友達と電話やLINEをして気を紛らわせていました。でも、田舎暮らしが不便だと思ったことはないですね。もともと、そんなに外を出歩くようなタイプじゃないですし」

軽快な足取りの古川さん(右から1人目)「1回だけ落水したことがあります。それからより気を引き締めるようになりました」

引退した漁師の方の定置網を今年から受け継ぎ、独立した漁師として操業をはじめた古川さん。しかし、「まだまだ課題がたくさんあります!」と謙遜します。
「細かいミスがあります。例えば網の入れ方でも、その日の潮の流れや風の向きでやり方が異なる。そうした自然環境に対応しきれていないところを改善していきたいです」

漁師師弟対談 VOL.01 漁師師弟対談 VOL.01

柿森:最初来た時はやれるかなって心配だったけど、海のない埼玉から、自転車で何時間もかけて海に釣りへ行っていたと聞き、それなら辛抱できるかと思った。何回か「埼玉に帰れ!」と怒ったこともあったけど、それでも「頑張る!」って食らいついてきた。その根性は大したもんだし、漁師の仕事には一番大切な気持ちだよ。

古川:柿森さんはとても頭の回転が速く、自分がまだやっていないことも先回りしてアドバイスしてくれる。まだまだ敵いません。

柿森:手先も器用だし仕事の覚えも早い。あとはもう少し早起きしてほしいな。早い時間に網上げをする時は、まだ眠そうだ(笑)。

古川:これから頑張って早起きします(苦笑)。

Q:漁師は危険な仕事もあるのでは? A:確かに海上で行う仕事だし、危険が全くないとは言い切れません。でも、危険な行為は先輩漁師が注意してくれるし、水揚げする際の機械も、近年はより安全に扱えるように進化しています。必要以上に不安を感じることはありません!

修学旅行の漁体験で漁師への挑戦を決意 修学旅行の漁体験で漁師への挑戦を決意

「子供の頃から海が好きだった」という駿さん。しかし、沖合での
操業では「結構、長く船酔いに苦しめられました」と苦笑します。

吉住 駿さん(28歳)志々伎漁業協同組合 吉住 駿さん(28歳)志々伎漁業協同組合

吉住駿さんも大阪から平戸市に移住してきたIターン組。高校2年生の時の修学旅行で志々伎(しじき)で漁師体験したことが大きな転機となったといいます。
「大阪の都会とは真逆の田舎で定置網漁を体験しました。これまで釣りもやったことがない自分にとって、とても新鮮な体験でした」
漁師の仕事を魅力的に感じ「挑戦してみたい」と、修学旅行で漁業体験を企画していた会社へ連絡。「志々伎体験振興会」の仲介で翌年の夏に再び志々伎を訪れ、師匠である吉住隆さんのもと本格的な漁師の仕事を体験しました。

定置網が仕掛けられているのは、港から船で15分ほどのところにある五島灘の沖合。網を機械で海面近くまで引き上げる。

「大変だったのは親方の平戸弁です。言い方が強いから怒っているように聞こえるし、指示されても何を言っているのかわからない(苦笑)」
体験であれ一生懸命仕事を覚えようとする駿さんの姿に、吉住さんは「本気なら世話をするよ」とひと言。駿さんはこの言葉で漁師になることを決意しました。それから9年、いまでは吉住さんにも翌日の漁の内容や方法などを提案するなど、一人前の漁師として活躍しています。

定置網から引き揚げた魚を船の魚槽へと移し替える。「やはり魚が多く獲れた時は嬉しいし、漁師としてのやりがいを感じます」と駿さん。

お気づきかもしれませんが、駿さんの名字も吉住です。駿さんはここ志々伎で漁師として生きていくことを決意。前々から吉住さんの「あとは任せたから」という言葉もあり、2019年に吉住家の養子となったのです。
「結婚して子供が生まれたことが大きいですね。それを機に、ここで根を張って生きていこうと決意しました。実は、夏に3人目が生まれます」
定置網とカゴ、潜水と多彩な漁を行う駿さんですが、この夏からはイカ漁も開始。生まれくる子供のため、駿さんはさらに仕事への意欲を増しています。

漁師師弟対談 VOL.02 漁師師弟対談 VOL.02

吉住:漁師になって9年にもなるから、駿君は今や潜水なら私よりも深く潜るし、たくさん獲ってくる。もう一流の腕前よ。

駿:そうですか?でも、どんな漁でもやっぱりたくさん獲れると当然嬉しいし、それが漁師にとって一番のやりがいですよね。

吉住:私は漁師を50年やっているけど、気持ちは始めた頃となにも変わらんの。というのも、漁は自然相手の仕事だから、毎日たくさん魚が獲れるわけじゃない。季節はもちろん、天気や潮の流れで漁の仕方や場所も少しずつ違ってくる。いまだに勉強中なんだよ。駿君も漁に対して、常に前向きな気持でやってほしいね。

駿:まだまだ親方には見習うところばかり。がんばります!

まずは理想の漁師像を明確にし
ネットやフェアでの情報収集も!

漁師になりたい、または漁師に興味があるという人は、まず自分がなりたい漁師像を明確にしましょう。将来は自分の船で操業したいのか、遠洋漁業を行う大型船で活躍したいのか、そのいずれかで学ぶべき学校や研修機関も異なるからです。
理想の漁師像が明確になったら次は情報収集です。検索サイトでもすぐに漁師の求人情報へとアクセスできますが、お勧めは各地で開催される「漁業就業フェア」への参加です。現役の漁師の方をはじめとした、多くの漁業関係者が参加するこのフェアでは、データではわからない、漁師という仕事の生の情報を得ることができます。

どんな漁師になりたいか?

即戦力となる
漁師を育成する「漁師学校」

漁師になるための資格は存在しません。水産系の学校出身でなくても、また、一度は別の業界で就業していても、もちろん未経験でも漁師になる道は開かれています。しかし、いきなり漁業会社の就職試験を受けたり、漁師さんに弟子入りするのは敷居が高いと感じる方もいるでしょう。
そこで提案したいのが全国に17校ある〝漁業学校〟です。これらは漁業に特化したカリキュラムで構成され、実践的な知識や漁業技術について教育することで、即戦力となる漁業者の育成を目的としています。そのため、業界からは大きな信頼が寄せられ、卒業生の就職率も高いものになっています。

漁師学校分布図
Q:船酔いする人でも漁師になれますか? A:どんなに身体が丈夫な人だって船酔いする人はします。でも、いくら船酔いがひどい人でも、がんばって船に乗り続けることで、半年くらい経てば慣れてくるはず。そうやって多くの人が船酔いを克服して漁師になっています!

漁師になりたいと思う人を
バックアップ!

水産庁が行った調査では、新規に漁業就業した際の課題として「漁業に必要な技術・知識の不足」、「独立資金の確保」という回答が多く見られます。
そこで国では、漁業学校等で学ぶ人に向け、就業準備金として年間150万円を最長2年間交付して、漁師を目指す人が安心して学習や研修に集中できるようにサポートするなど、さまざまな支援制度を設けています。

ピックアップ ピックアップ

漁師になりたい人のための情報満載!

漁師のポータルサイト
「漁師.jp」をチェック!

〝漁師ポータルサイト〟「漁師.jp」では、漁業への就業を目指す人に向け、漁業の種類や多彩な漁法の紹介をはじめ、各種セミナーや漁業就業支援フェアといった情報を数多く提供しています。また、同サイト内の「漁業求人情報検索システム」では全国各地の求人情報へアクセスが可能。さらに、「支援情報検索システム」では、各都道府県における新規漁業就労者に対する支援制度を確認でき、担当部署の問い合わせ先も記載されています。漁師に興味を持った方は、活用してみてはいかがでしょうか。

今週のまとめ

未経験でも漁師になることができます。
実践的な知識や技術を学ぶことが
できる漁業学校や
就業準備金など
国の支援制度が設けられています。

(PDF:11,628KB)

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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