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第1節 農業総産出額と生産農業所得等の動向


我が国の農業総産出額(*1)と生産農業所得(*2)は長期的に減少していましたが、近年はおおむね横ばいで推移しています。農業総産出額の内訳を見ると、畜産の割合が最も高く、次いで野菜、米となっています。本節では、農業総産出額や都道府県別の農業産出額、農業所得(*3)等の動向について紹介します。

*1、2 用語の解説1を参照

*3 用語の解説2(4)を参照

(農業総産出額は8.9兆円)

農業総産出額は、ピークであった昭和59(1984)年から長期的に減少傾向が続いていましたが、近年、米、野菜、肉用牛等における需要に応じた生産の取組等により、平成27(2015)年以降は増加傾向で推移しました。令和元(2019)年は、野菜、鶏卵等において、生産量の増加に伴い、価格が低下したこと等により、前年に比べ1.8%減少の8兆8,938億円となりました(図表2-1-1)。内訳を見ると、畜産の割合が最も高く36.1%、次いで野菜が24.2%、米が19.6%となっています。

図表2-1-1 農業総産出額

データ(エクセル:34KB / CSV:4KB

令和元(2019)年の部門別の産出額を見ると、米の産出額は、前年に比べ0.1%増加の1兆7,426億円となり、5年連続の増加となりました。この要因は、一部の地域で大雨や病害虫等の影響により作柄が悪化し、全国の生産量が減少したこと等から、相対取引価格が前年に比べ上昇したこと等が寄与したものと考えられます。

野菜の産出額は、前年に比べ7.3%減少の2兆1,515億円となりました。この要因としては、北海道でトマト、たまねぎ、にんじん等については生産量が増加し、価格が低下したことや、ねぎ、キャベツ、だいこん等の葉茎菜類や根菜類については生育が良好で低価格で推移したこと等が影響したものと考えられます。

果実の産出額は、前年に比べ0.1%減少の8,399億円となりました。この要因としては、ぶどうにおいて優良品種の生産が拡大したことや、りんごにおいて生産量が減少し価格が上昇した一方で、日本なしについては自然災害等の影響で生産量が減少したこと、みかんについては天候不順等により品質が低下し価格が低く推移したこと等が影響したものと考えられます。

畜産の産出額は、前年に比べ0.1%減少の3兆2,107億円となりました。この要因としては、生乳については牛乳・乳製品の消費が堅調に推移する中、牛乳等向け生乳の取引価格の引上げや生乳生産量が上昇したこと、肉用牛については、生産基盤の強化に伴い和牛の生産頭数が増加したことや、交雑牛において堅調な需要を背景に価格が上昇したこと等から産出額が増加した一方、鶏卵については需給緩和により価格が低水準で推移した影響から産出額が減少したこと等が影響したものと考えられます。

(都道府県別の農業産出額上位の主力部門は、畜産と野菜)

都道府県別の農業産出額を見ると、北海道が1兆2,558億円で1位となっており、2位は鹿児島県で4,890億円、3位は茨城県で4,302億円、4位は千葉県で3,859億円、5位は宮崎県で3,396億円となっています(図表2-1-2)。

農業産出額上位5位の道県内で産出額が1位の部門を見ると、北海道、宮崎県、鹿児島県で畜産、茨城県と千葉県で野菜となっています。

図表2-1-2 都道府県別の農業産出額

データ(エクセル:40KB / CSV:4KB

(生産農業所得は3.3兆円)

生産農業所得は、農業総産出額の減少や資材価格の上昇により、長期的に減少傾向が続いてきましたが、平成27(2015)年以降は、農業総産出額の増加等により増加傾向で推移しました (図表2-1-3)。

令和元(2019)年は、農業総産出額の減少等により、前年に比べ4.8%減少の3兆3,215億円となりました。

図表2-1-3 生産農業所得

データ(エクセル:30KB / CSV:3KB

(1経営体当たりの農業所得は194万円)

1経営体当たりの農業粗収益は、平成29(2017)年以降横ばいで推移しており、令和元(2019)年の農業粗収益は前年に比べ0.9%増加の892万円となりました(図表2-1-4)。農業経営費は前年に比べ1.7%増加の697万9千円となり、農業所得は、農業経営費が増加したことから、前年に比べ1.7%減少の194万1千円となっています。

図表2-1-4 1農業経営体当たりの農業経営収支

データ(エクセル:30KB / CSV:1KB

(事例)品質向上の取組等により面積当たりの売上げの向上を実現(静岡県)

高設栽培による栽培風景

高設栽培による栽培風景

資料:遠州夢咲農業協同組合

遠州夢咲農業協同組合のいちご委員会の面積当たりの売上金額

データ(エクセル:29KB / CSV:1KB

静岡県の遠州夢咲(えんしゅうゆめさき)農業協同組合のいちご委員会は、近年、高齢化等の影響により徐々に生産者数・面積共に減少しており、令和元(2019)年度は、生産者数が平成20(2008)年度から20.4%減少の144人、面積が同29.9%減少の3,414aとなっています。

一方で、担い手が不足し産地が維持できなくなるとの危機感から、出荷作業を集中して行うパッケージセンターの開設や高設栽培技術の導入等により、品質の向上、農作業負担の軽減、出荷時期の分散等に取り組んでいます。

このような取組により、令和元(2019)年度の1パック当たりのいちごの単価は平成20(2008)年度から29.1%増加し、いちご委員会全体の面積当たりの売上金額も平成20(2008)年度から52.6%増加しました。また、いちご委員会全体の生産者数が減少する一方で、新たにいちごの栽培を開始する農家は増加しており、令和元(2019)年度の全生産者144人のうち42人が平成20(2008)年度以降の新規栽培者となっています。



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